日本から直行便で約6時間。ベトナムの首都ハノイはベトナムらしさが感じられる都市です。特に旧市街は昔ながらの趣を残した家が並び、人々の生活を垣間見られるところが魅力です。ただ旅行者が気をつけなければいけないのは、バイクの数が多いこと。経済発展の勢いを象徴するように、けたたましくクラクションを鳴らす場面に出くわすことが多々あります。〈連載42〉
ベトナムの道端にゃんこ
3664kmの猫旅
ごちゃごちゃと混み合う市場では、進む私を上手に避けて、いっさい身体に触れることがありませんでした。ベトナムの人の肌感覚というか、優れたセンサーを身につけているのでしょう。そんな街の「猫たち」の人と同様に生まれながらに持っている"道端での身のこなし"をお伝えします。


雰囲気のある路地です。歩行者の横をスレスレに通り過ぎるバイク群
とはいえ、当のベトナムの方々は往来の危険をさらりとかわす術を持っています。

道端の猫を避けて走るバイク。見ていてヒヤヒヤです

何事もなかったように歩道に戻ってひと休みしている子猫。慣れっこです
道端で生きるコツは境界線
旧市街の1階はほとんどが飲食店や商店が軒を連ねます。
奥行きがないお店、極端だと道端で商品を並べているお店も多く、旅行者にとっては少々歩きづらいものです。
おそらく、そんなお店でお世話になっている猫たちの居場所も当然道端。

奥行きのない店周辺で暮らす白猫
見ていると猫たちも自覚があるようで、一段高くなっている歩道からは降りません。

歩道と道路の境界線をしっかり守ります
いくら相手が、上手によけるのが得意なベトナム人でも、用心するに越したことはありませんからね。猫たちの生活の知恵のようです。

歩道のバイク駐車で歩行者が車道を歩く羽目に

扉の隙間から出てきたキジトラ猫

早朝のご近所パトロールのようです

もちろん車道側を避けて通ります

歩道で店開きする飼い主のお手伝い中?
お店でのんびり暮らす親子猫
観光名所であるハノイ大教会の近くを歩いていたら、ベトナム料理のフォー専門店に茶トラ猫の姿がありました。

フォー専門店の外の席にいる茶トラ猫
店主と同じように暇そうに客待ちをしています。写真を撮っていたら、中からかわいい従業員猫が出てきました。
母とは違う毛柄の白黒の子猫です。

店の外をのぞき見しています
恐る恐る店外の様子を伺う子猫に母は優しく毛繕い。

茶トラの母猫が子猫を毛繕い中

ハチワレの柄が綺麗に三角形の子猫
そのおかげか外に興味は持つものの道路には降りずに引き返して行きました。
白黒の子猫もこの地で生きるルールを守って成長していくのでしょう。

微笑ましい親子の姿にほっこりします
ベトナム第2の都市ハノイは、旧市街など観光をするにもとても魅力的な街。そして猫たちが自然に生活の中に溶け込んでいる街でもありました。
作者プロフィール
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ)

盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に「ソトネコJAPAN」「猫と世界遺産の街カレンダー」(洋泉社)、「ワル猫カレンダー」「ワル猫だもの」「サーバルパーク」(すべてマガジン・マガジン)、「どやにゃん」(辰巳出版)など。企画・デザインでは「ねこ検定」「ハシビロコウのすべて」「ゴリラのすべて」(すべて廣済堂出版)など。
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