足をしっかりともみほぐした後は、体の中をきれいに掃除したような感じになりますね。血液がきれいになったような、不思議な爽快感があります。スッキリとして、朝ごはんもおいしく感じられる。だから僕は、公演などで地方へ行くときにも、棒とクリームの足もみセットを持参しています。【体験談】佐藤B作(俳優)

プロフィール

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佐藤B作(さとう・びーさく)

福島県福島市出身、早稲田大学商学部中退。劇団東京ヴォードヴィルショー主宰者。1973年、劇団東京ヴォードヴィルショー結成。劇団として1986年にゴールデンアロー賞を受賞したのをはじめ、これまで数々の演劇賞に輝く。舞台だけでなく映画、テレビドラマ、CMでも活躍。今年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演し、話題を集めた。

初めての足もみ体験でウソのように腰がらくに

僕はもうかれこれ20年以上、毎朝自分の足をもんでいます。

自分の足だけでなく、共演者などでちょっと具合が悪そうな人がいたら、休憩時間などに「よかったら足を触らせてもらえませんか?」と断ってから、もむこともある。「体がらくになった」とか言ってもらえて、これで結構、好評なんですよ。

家内(女優のあめくみちこさん)は「若い女の子の足ばかりをもんでいる」などと言っているようですが、そんなことはありません。

最近だと、大河ドラマでご一緒した(坂東)彌十郎さんの足をもみましたね。あの人、体が大きいのに心配性なのか、薬とかいろいろとお飲みになっている。

だから、「やめられるなら、薬はやめたほうがいいよ。代わりに足をもみなさいよ」と勧めているんです。足もみの効果は、この20年で、僕自身の体で確信していますからね。

僕は、50歳を過ぎたころから、めまい、ぎっくり腰、がんと立て続けに患いました。めまいは体を十分に休めればある程度は抑えられるし、がんは手術をした。しかし、腰は容易じゃなかったね。

腰は、最初は地方公演で行った福岡で、歯を磨いているときにギクッとやっちゃって。このときは、背中と腰をガムテープでガチガチに固定して舞台に立ちました。

その後、ホテルで紹介された鍼の先生に診てもらったら、少し調子がよくなって。そこへ3~4年ほど通ったかな。飛行機で。贅沢な治療だよね。

まぁ、おかげである程度はらくになったんですけど、それでも痛みがぶり返すことがある。でも、足もみと出合って、それを習慣にしてからは、まったく腰は痛まなくなりました。

初めて足もみを体験したのは、舞台のけいこ中にみんなで行った東京・代官山の和食屋さんです。

その店では、月に何度か福島から足もみの先生(佐々木崇先生)を呼んでいた。先生に足をもんでほしい人もその日に集まって、治療会のようなことをしていたんですね。

たまたま僕らが行った日が、ちょうどその治療会の日でして。そこで「僕は腰が悪いんだ」と言ったら、おかみさんが「じゃあ、もんでもらいなさいよ」と勧めてくれました。それが、初めての足もみ体験です。

このときは、「ウワーッ」と叫びたくなるほど痛かった。でも先生は、涼しい顔で「我慢してください」って。だから必死で耐えていたら、5分ほどでウソのように腰がらくになったんです。これは神業だなと思いましたね。

後で知ったんですけど、実際にその佐々木崇先生という方は、すごい人だったんですよ。東洋医学はもちろん、西洋医学も内科、外科と学んで、いろんな人の足をもんで、全身に対応するツボを独学で見つけたのだとか。

その神業のような足医術で僕の体も診てもらいたいと思い、週末にほかの患者さんたちを診るために先生が上京される際に、僕の家にも来ていただけるようにお願いしました。

その後、先生の施術を受けながら、自分でも足をもみ始めたんです。400ページくらいある、分厚い辞典のような先生の著書を参考にして、最初は見様見真似ですね。おかげで、腰はかなりらくになりました。

僕の息子もぎっくり腰をやったときに先生に足をもんでもらったんですけど、このときも、たった5分で痛みが引きました。あれは本当に神業だね。だけど、とにかく痛いんだ。涙が出るくらい痛い。自分でもむときは無意識に加減するのか、そこまで痛くはないんだけどね。

コロナ禍で先生が上京できなくなっちゃってからは、もっぱら自分で足をもんでいます。

画像: 佐々木崇先生の著書『足医術』の「足診区図表」を見る佐藤さん。足もみでわからないことがあったら必ずこの本に戻るという。

佐々木崇先生の著書『足医術』の「足診区図表」を見る佐藤さん。足もみでわからないことがあったら必ずこの本に戻るという。

お酒を飲むせいか肝臓のツボがゴリゴリ鳴る

僕は毎朝、朝食の前に3時間くらいかけて体のケアをしています。

まずは、柔軟体操。それから腹筋・背筋運動などをして、その後に足をもむんです。先生の治療では片足を1時間くらいかけてもむんですが、自分では20分くらいかな。合計40分。テレビを見たり、音楽を聞いたりしながら足をもんでいます。

その後は階段昇降。わが家はマンションの11階ですが、毎朝、家内に1階まで朝刊を取りに行かされるんですよ。このとき、マンションの内階段を使って往復するんです。

足もみをした後は血液の循環がいいのか、長い階段昇降も不思議と苦になりませんね。それに、僕よりも年配で上の階にお住まいの方も、同じように階段を昇り降りしていますし。

ときどき階段で会ったときにお話しするんですけど、その方は階段昇降で足のむくみが消えて、よく眠れるようになったんだとか。いい下半身トレーニングだよね。

話がそれちゃいましたね。

足もみでは、指でもむだけでなく、太さや先端の丸みの異なる3種類の棒も使っています。

棒は、ツボに当ててグッと押し込んだり、こすったりするんだけど、細い棒のほうが圧がかかる分、痛い。足の裏にある腸や心臓、肝臓などの内臓のツボは棒で刺激します。

僕はお酒を飲むせいか、肝臓のツボを押すときは、すごいよ。ゴリゴリゴリゴリ、すごい音がする。で、また痛いんだ、そこが。でも、そうやって朝に足もみでケアをすると、夜にはまたおいしくお酒をいただけます。

そういえば、足もみを習慣にしてからは、お酒の抜けがよくなったな。今はめったに二日酔いにはなりません。

めまいが起こったときツボを押すとすぐ治まる

画像: 取材現場で女性記者に足もみを施す佐藤さん。

取材現場で女性記者に足もみを施す佐藤さん。

もむのは、左足からと決まっています。最初は一番気になる腰のツボから刺激します。外くるぶしの外側の下に親指を差し込んで、隙間を広げるようにグッグッグッと上から押し込む。

佐々木先生の足医術は、「足にある全身に対応するツボを刺激して、その部位の血流をよくすることで自然治癒を促す」というものなんですが、腰の場合は、このくるぶしへの刺激で、ずれていた骨盤の位置が元に戻るらしいです。

ちなみに、左のくるぶしは腰の左側、右のくるぶしは腰の右側に対応します。目や耳などの首より上の部位は、足とは逆側に対応します。

腰の次は、めまいのツボ。足の甲の、小指と薬指につながる骨の間を探っていくと、痛みを感じる箇所がある。そこがめまいのツボです。

私、ゴルフ場でめまいに襲われ、そのまま1週間入院したことがあるんですよ。あのときはぐるぐるぐるぐると、ひどいめまいで、吐き気もあった。検査では、耳の三半規管に問題があるとしかわかりませんでした。 

自分でストレスや疲れも関係していると気づいてからは、ある程度は抑えられるようになりました。でも、今でもめまいのツボを押すと痛むね。毎日押していても痛い。痛む位置も毎日違う。

それでも、めまいが起こったときにここを押すと、たいていすぐ治まります。予防にもいいみたいですね。血流が改善して耳石(三半規管の中にたまるカルシウムの小さな粒)の位置が変わるそうです。

そして、外くるぶしの下にあるひざのツボ、内くるぶしの下の筋肉の隙間にある背骨のツボ。ここは脊柱管狭窄症によく効くらしい。

さらに、足の親指。ここは頭。押すとボケないツボです。親指が硬くなるとボケやすいのだとか。そう聞いたせいか、ここを指でもんでいると、セリフの覚えがよくなるような気がしますね。

親指の下の方は肩と首。中指と薬指は目。薬指と小指は耳です。このあたりはもむと痛がる人が多い。僕も痛い。

足指をもみ終わったら、足の裏にクリームをぬって、内臓のツボを棒でゴリゴリ刺激する。固い箇所をほぐしていく感じでね。棒で押しもみしていると、足の裏がだんだん赤く、柔らかくなっていくのがわかります。

こうやって足をしっかりともみほぐした後は、体の中をきれいに掃除したような感じになりますね。足もみをする前よりも血液がきれいになったような、不思議な爽快感があります。

地方公演のときは足もみセットを必ず持参

画像: 足もみのときにぬるクリームと、足をもむための棒3本を常に携行。棒は1本ごとに先端の形や厚さが異なっている。

足もみのときにぬるクリームと、足をもむための棒3本を常に携行。棒は1本ごとに先端の形や厚さが異なっている。

足もみをした後は、スッキリとして、朝ごはんもおいしく感じられる。だから僕は、公演などで地方へ行くときにも、棒とクリームの足もみセットを持参しています。

今は、腰は痛まないし、めまいもほとんど気にならない。

実は、14年前に胃がんが見つかったときも、ガーッと集中して足をもんでいたら、一時期がんが消えたんですよ。医師が「あれ? 消えましたね」と不思議がっていた。

まぁ、がんはしたたかですから、すぐに復活しちゃって、結局手術はしたんですけれど。でも、朝から晩までずーっと足をもみ続けることができるのなら、がんの克服も夢じゃないかもしれませんね。

家内はヨガ信奉者で、最初は、僕が足をもんでいる様子を見て、「何を始めたのやら……?」という顔をしていた。

でも、最近は腰などで不調があると「どこを押せばいいの?」などと聞いてくる。ハッキリとは言わないけれど、たぶん家内も効果を感じているんじゃないかな。

佐藤B作さんに聞いた
効果てきめんの足ツボBEST3

No.1 腰痛のツボ

重度のぎっくり腰を経験したが足もみを始めてから再発なし!

画像: くるぶし下の隙間。

くるぶし下の隙間。

外くるぶしの下に親指を差し込む。右の腰が痛いなら右足、左の腰が痛いなら左足に行う。

画像: 押す手の指がめり込むくらい強く押すとよい。

押す手の指がめり込むくらい強く押すとよい。

No.2 めまいのツボ

ここを押すとすぐに症状が治まる!

画像: 小指と薬指につながる骨の間。

小指と薬指につながる骨の間。

小指と薬指につながる骨の間を探っていくと痛みを感じる部分がある。ここがめまいのツボ。手の親指で強く押す。

No.3 ボケ防止のツボ

親指をもむのは頭の働きに効果あり!

画像: 親指の腹。

親指の腹。

頭に効くのは足の親指の腹。「ここを押すとボケない」とのこと。「セリフの覚えがよくなる気がする」と佐藤さん。

画像: この記事は『安心』2022年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年11月号に掲載されています。

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