結婚相談所が介在するお見合い市場で最終的に結婚できるのは、「素直な人」です。お見合いでは、駆け引きをしている暇なんてありません。加えて、もう一つ大事なのが、等身大の自分を認めること。年を重ねれば重ねるほど、これが難しくなります。自分を過大評価して高望みするのは当然ダメですが、劣等感だらけの人も良縁に恵まれません。【解説】松澤花砂(NPO法人東葛地区婚活支援ネットワーク副代表)

解説者のプロフィール

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松澤花砂(まつざわ・ちさ)

NPO法人東葛地区婚活支援ネットワーク副代表。仲人士。印象管理アドバイザー。東京外国語大学外国語学部卒業後、会社員を経て、2013年同法人を設立。婚活支援の実績は1500人以上。行政や法人、各種団体の婚活イベントも請け負う。17年よりシニア食堂も運営。シニアの健康長寿とQOL向上にも努めている。

結婚相談所に向いているのはどんな人?

私は千葉県北西部で、婚活支援のNPOを運営しています。小規模な結婚相談所ですが、ほかの結婚相談所と連係してお見合いを設定し、成婚(結婚が確定する)までのサポートを行っています。会員さんの最高齢は、男性が68歳、女性が70歳。半分以上は45歳以上です。

ある程度の経験があって自己アピールもでき、相手を見極める力のある人は、婚活アプリを利用してもいいでしょう。

一方、「初対面の人と話すのが苦手」「自分の魅力がわからない」「人を見る目に自信がない」という人は、結婚相談所をお勧めします

結婚相談所では、最初から最後までスタッフ(仲人)が伴走します。お相手の身元や収入をチェックしたうえでお見合いを設定し、交際中も適宜アドバイスしつつ、成婚に至るまでお世話をするわけです。

最近は、70~80代の親御さんから「娘(息子)の相談をしたい」というお申し込みを多く受けます。ご本人に会うと皆さん、おとなしくてまじめ。結婚の資質は十分にあるのですが、「職場で出会いがなかった」という事情も共通しています。

ただ、本人にも親御さんにも、「結婚相談所に登録すれば理想の人とすぐ結婚できる」という誤解があります。

50代の男性Aさんは、「子供が欲しい」という希望もあり、最初は30代前半の女性にばかり申し込みをしていました。

「学歴は申し分なく収入も人並み以上ある自分は、若い女性と結婚できる」と思っているのですが、軒並み断られてしまう。ご本人と親御さんに「30代の女性とは、結婚どころかお見合いもできない」とわかってもらうまで、3年かかりました。

等身大の自分を認めることが難しい

結婚相談所が介在するお見合い市場で最終的に結婚できるのは、「素直な人」です。Aさんは元来純粋で優しいかたなので、子供を持つことをあきらめてからは、私のアドバイスをすべて受け入れてくれました。

私たちはデート時の会話までアドバイスします。50代の男性と「今日は気持ちを伝えようね」などと打ち合わせするんです。「恥ずかしくていえない」とモジモジしていたら、「じゃあカードに書いて渡そう」と。

それを素直に実行に移せる人は一歩前進できます。「そんなみっともない」という人は、婚活の大海原で生き残れません。

「何度かデートしていい感じなので、彼ともっと近づきたい」という40代の女性には、「いい香りのするハンドクリームを塗って、手をスベスベにしていきなさい。彼が手をつなぎたいと思うように!」とアドバイスします。

「そんなあざといこと……」という人は、相手との距離を縮めることはできません。

スタッフの指示だけでなく、相手に対して素直になることも、すごく大事です。お見合いでは、駆け引きをしている暇なんてありません。

「相手の男性が黙り込んで、楽しそうじゃなかった」と落ち込んでいる女性には、「それは不機嫌なんじゃなくて、リラックスしているのよ!」といい切って励まします。

お相手が別の相談所の紹介なら、向こうの仲人さんに「もう少しお話ししていただけると、うちの女性会員が安心するので」とお願いします。「そこまでするの?」と驚かれますが、そこまでするのです。

素直であることに加え、もう1つ大事なのが、等身大の自分を認めること。年を重ねれば重ねるほど、これが難しくなります。自分を過大評価して高望みするのは当然ダメですが、劣等感だらけの人も良縁に恵まれません

私たちは日々、自信過剰な人にはクギを刺し、自信のない人には「あなたは優しくて働き者。それだけで人を幸せにする資質がある」といい続けます。

お見合いは、根気よく数をこなして結果を出すという側面もあるので、断られる回数も本人の予想以上に多く、「ご縁だから」とわかっていても傷つきます。婚活で成功するには、気持ちをすぐ切り替えられる「打たれ強さ」も必要。その辺のサポートも、私たちの仕事です。

画像: お見合いでの出会いも熱烈恋愛に

お見合いでの出会いも熱烈恋愛に

前述のAさんは、入会から6年後、同い年の女性と結婚しました。50代どうしのお見合い結婚と聞くと、地味な2人をイメージするかもしれません。

ところが私の知る限り、結婚相談所で知り合って結婚する人たちは、ほぼ100%、「相手のことが好きで好きでたまらない!」という、熱烈恋愛の状態でゴールインします。目をハートにしてお互いを見つめ合う感じです。Aさんは結婚後も連絡をくれますが、今も奥様と仲よしですよ。 

「パートナーが欲しい」という気持ちに、年齢制限はありません。ご縁に恵まれた皆さんは例外なく、全身が若返り、表情が明るくなります。婚活、どんどんしてください。

画像: この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。

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