プロフィール

東海林のり子(しょうじ・のりこ)
1934年、埼玉県生まれ。57年、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。70年に退社後フリーとなる。71年よりフジテレビ「リビング4」、「小川宏ショー」などでリポーター・ナレーターとして活躍。79年、「3時のあなた」に事件リポーターとして出演し脚光を浴びる。88年には同局の「おはよう!ナイスデイ」でロックバンド「X」の追っかけリポートをし、「ロッキン・ママ」として若者から支持を獲得。95年にテレビ朝日「パワーワイド」でキャスターを、96~2005年に同局「ワイドスクランブル」でコメンテーターを務める。近年は、ラジオパーソナリティーや講演会講師としても活動中。
数多くの楽しみを見つけ88歳の今も現役!
「現場の東海林です!」といえば、皆さんのご記憶におありでしょうか。
事件リポーターとして70~90年代を駆け抜けた私は、88歳になった今も現役で、ラジオや講演会でトークのお仕事をいただいています。年を取っても、バイタリティーは尽きません。今日は、そんな私の活力源についてお話ししましょう。
今でこそ、数多くの楽しみを見つけていますが、ロックバンド、それも派手な衣装やメイクでヘヴィメタルなどの音楽を演奏する、いわゆる「ビジュアル系」にハマッたのは、大きかったと思います。
きっかけは80年代の終わり、「X JAPAN」(当時は「X」)のTOSHIくんのラジオに、ゲストとして呼ばれたこと。依頼がきたときに娘に話したら、「Xって、すごいかっこうしていて、怖いのよ」って。よけいに興味がわいて、実際に会ったらとてもいい人たちでね。すっかり好きになったんです。
彼らの音楽は激しい曲が多いため、初めは理解できず、テンポが速いと歌詞も追えません。でも、バラードならわかるし、何度も聴くうち、激しい曲もノリノリで楽しめるように。「Xのよさを伝えたい!」と、プロデューサーにかけ合って、番組内で取り上げてもらいました。
すると視聴率がよかったので何度か特集を組むことに。そこからですね、若い音楽ファンと交流が始まったのは。
特にビジュアル系ファンのなかには、「大人は理解してくれない」と、心を閉ざす子もいます。私がファンと公言したことで、多くの少年少女から、熱いメッセージのこもった手紙が届くようになりました。
「ライブに行くのに反対する親を説得してほしい」と頼まれ、親御さんに電話したこともあります。「ビジュアル系ロックが好きだからって、不良になることはありません!」ってね。
一方、ワイドショーでは、少年事件のリポートを担当することもありました。若い人とつながりを持ち、彼らの考えを知ることは、仕事のうえでも、プラスになったと思います。

ビジュアル系ロックバンドにハマった!
「推し活」で若い人と交わり若々しさを保つ
XのあとはGLAYやL'Arc〜en 〜Ciel、LUNA SEAなど、いろいろなビジュアル系バンドに熱を上げました。ライブに行き、CDを買い、彼らの活躍をファンの皆とともに喜ぶ。そんな「推し活」で若い人と交わることが、結果的に、気持ちを若々しく保つのに役立っていますね。
私は4年前に夫を亡くし、一時は悲しみに沈んでいましたがコロナ禍でハマッたのが、韓国ドラマです。これまで韓流ブームは何度かありましたが、全く無縁でした。今回、初めて見てみたら、そのおもしろいこと!
『愛の不時着』から始まり、もう100本くらい見たでしょうか。Netflixなどの動画配信サービスを使えば、いくらでも見放題ですからね。
今はパク・ソジュンさんという俳優がお気に入りです。彼が出ている別の作品を探したり、そのうちまた素敵な俳優さんを見つけたら、なんていう人か、名前を調べたり。私のなかの韓流ブームは広がるばかりです。
韓国の音楽も好きになりました。BTSが人気ですが、私が好きなのはSEVENTEENというボーイズグループ。ダンスの動きがピタリと合っていてかっこいいんですよ。
さらに最近はタイのドラマも見ています。タイは同性愛に寛容な国で、BL(ボーイズラブ)作品が多く、出てくる俳優さんが、これまたイケメンぞろい。目の保養になります。
日本人のイケメンも、もちろん好きですよ。綾野剛さん、菅田将暉さん、山田孝之さん、松田翔太さん……もう、枚挙にいとまがありませんね。
〝BL好き〟というと、眉をひそめる人もいるでしょう。〝イケメン好き〟も「いい年をして」と思われるかもしれません。
でも、いいんです。自分は70歳近くまで、がむしゃらに仕事をしてきたからこそ、好きなことができる今がある、と思っています。人生一度きりですから新しいこと、これまでしてみたかったことを、恥ずかしがらずにどんどんすればいい。
誰かや何かを好きになり、夢中になる喜び。それこそが心を若く保つ秘訣であり、生きる原動力ではないでしょうか。これからも、心がときめく瞬間を探求しつつ、〝ロックな100歳〟を目指すつもりです。

この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。
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