健康効果抜群な大麦は、スーパーの穀類の売場で手軽に購入できます。一般的なのは丸麦、押し麦、もち麦ですが、食感の好みや食べやすさで選ぶとよいでしょう。定番の調理法は「炊く」、「ゆでる」。ゆでた大麦はスープの具やトッピングなどいろいろな料理に使えるので、冷蔵庫に常備しておくと便利です。【解説】田中雅子(料理研究家・雑穀クリエイター)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

田中雅子(たなか・まさこ)

料理研究家、雑穀クリエイター。雑穀を中心としたレシピ開発や講演、企業との共同商品開発、メニュー指導など幅広く活躍。自宅にて料理教室「m-kitchen」を主宰している。監修書籍に、『雑穀をおいしく食べるRECIPE BOOK』(朝日新聞出版)。雑穀のオリジナルブレンド「ヘルシーエイジングミレット」をプロデュースし、販売も行う。

和・洋・中どんな料理にも使えて便利!

私が雑穀と出合ったのは、20年以上前のことです。雑穀とはヒエやアワ、ハトムギ、そして今回詳しくご紹介する「大麦」など、日本人が昔から食べてきた主食以外の穀物のこと。いろいろな料理にアレンジできて、使い方も簡単、しかも栄養価も高いと知り、すっかり虜になりました。

そして雑穀クリエイターの資格を取得し、その魅力を伝える活動を続けています。なかでも大麦は、料理教室の生徒さんにもよくお勧めする穀物の1つです。

大麦は、素朴なおいしさがいちばんの魅力ですが、和・洋・中さまざまな料理に使えて利便性が高い点もメリットです。白い粒の品種が定番ですが、どんな食材と合わせても色が映え、料理の見栄えもアップします。

健康効果も抜群です。水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく含んでおり、毎日食べているうちに、「気がついたら便秘が解消した」といった声もよく聞きます。大麦をはじめとする雑穀をよくとっている私や、私の2人の娘、さらには孫も、便秘知らずです。

大麦はスーパーマーケットの穀類の売場で手軽に購入できます。いくつかの種類がありますが、一般的なのは丸麦押し麦もち麦です。

3つともどんな料理にも合うので、調理法で使い分けるというより、食感の好みや、食べやすさで選ぶとよいでしょう。

店頭で購入しやすい大麦

画像1: 【大麦の使い方】麦ご飯の炊き方を覚えよう!ゆでて常備すると便利!食感も楽しい大麦はゴマを振る感覚で和洋中どれでも使える

丸麦
精麦された丸い大麦。押し麦のように平らにされていない分、プチプチとした食感が楽しめる。

画像2: 【大麦の使い方】麦ご飯の炊き方を覚えよう!ゆでて常備すると便利!食感も楽しい大麦はゴマを振る感覚で和洋中どれでも使える

押し麦
大麦を蒸してローラーで平らに押しつぶし、乾燥させた物。水分の吸収率が高く、やわらかく食べやすい。

画像3: 【大麦の使い方】麦ご飯の炊き方を覚えよう!ゆでて常備すると便利!食感も楽しい大麦はゴマを振る感覚で和洋中どれでも使える

もち麦
もち種で、粘性がありモチモチとした食感。大麦のなかでも特に水溶性食物繊維(β-グルカン)の含有量が多い。

使い分けのPOINT!

プチプチした食感を楽しみたい人は丸麦、食べやすさを優先したい人はやわらかい押し麦、モチモチした食感が好みの人や、栄養価にこだわりたい人はもち麦がお勧め。

「どれをどの料理に使ってもOK。それぞれの食感や味わい、食材との相性を楽しんでください」(田中先生)。

画像4: 【大麦の使い方】麦ご飯の炊き方を覚えよう!ゆでて常備すると便利!食感も楽しい大麦はゴマを振る感覚で和洋中どれでも使える

おひたしと和えたりスープに加えたり

定番の調理法は、「炊く」、「ゆでる」。ポイントをご説明しましょう(炊き方、ゆで方は、下項参照)。

炊くときは、米の3分の1量の大麦を加えるのがお勧め。白米2合(300g)に対し、大麦が約100gということです。これはしっかり健康効果を得たいかた向けの量なので、雑穀ご飯に慣れないというかたは、大麦の割合を減らして、調整してください。

炊いたご飯は、麦ご飯としてそのまま食べるだけでなく、とろろご飯にしたり、リゾットにしたりするのもお勧めです。

また、ゆでた大麦はいろいろな料理に使えるので、冷蔵庫に常備しておくと便利です。冷蔵で2〜3日、冷凍で2週間保存できます。ホウレンソウのおひたしに和えるなど、和食にも合います。ゴマを振るような感覚で使うといいでしょう。

最近の大麦は品種改良も進み、ほとんど臭みはありません。それでも雑穀臭さが気になるかたは、炊くときや、ゆでるときに、セロリやパセリの茎、レモンの皮などを少量入れると臭み消しになります。

また、ゴマ油やオリーブオイルをほんの少量加えるのもお勧め。大麦の形がくずれず、ツヤが出て、うま味も残ります。

主食としてとる以外の方法で摂取量を増やしたい場合は、トッピングではなく具材の1つとして、たっぷり使いましょう。ミネストローネなどスープの具にしてもおいしいですよ!

大麦は食物繊維が豊富ですが、ビタミンCはほとんど、Dはまったく含まれません。ですから、それらを補える食材と合わせると、栄養バランスも高まります。

私はビタミンCが豊富な果物に合わせてスムージーやフルーツサラダにしたり、ビタミンDがとれる干しシイタケの出汁と組み合わせたりしています。

ぜひ皆さんも、おいしく、便利な大麦を食卓で活用してください。

麦ご飯の炊き方

分量と下準備

画像: 分量と下準備

・米の重量に対し、おおよそ1/3量の大麦を加えるのがお勧め。
 例:米2合(約300g)の場合、大麦は約100g。
・スーパーなどで販売されている大麦は、とぐ必要はないが、気になる場合は軽く洗う(袋の表示を確認する)。 

手順

画像1: 手順

❶白米はといで炊飯器に入れ、目盛りに合わせて水加減する。大麦と、大麦の2倍量の水(大麦100gの場合は水200ml)を加え、軽くかき混ぜる。通常どおりに浸水させる。
❷通常モードで普通に炊く

画像2: 手順

大麦のゆで方

分量と注意点

・一度にゆでる量は大さじ3程度がお勧め。大麦はゆでると約2倍にふくらむので、大量にゆで過ぎないほうがよい。

手順

画像3: 手順

❶たっぷりの湯を沸騰させ、大麦を加える。大麦が湯の中で踊るくらいの火かげんがよい。
❷13分~18分程度ゆでる(かための食感が好みなら13分、やわらかい食感が好みなら18分)。

画像4: 手順

※サッパリとした食感を楽しみたい場合は、ゆで上がりを水で取り、サッと洗う。

画像5: 手順

※たくさんゆでた場合は、冷蔵庫で2~3日、冷凍で2週間保存可能(冷凍する際はラップに包む)。

調理のPOINT!

画像: 調理のPOINT!

炊くときやゆでるときに、セロリやパセリの切れ端、レモンの皮などを少量加えると、臭み消しになるのでお勧め。

画像: この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年11月号に掲載されています。

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