お酢がけ大根おろしとは、酢を混ぜた大根おろしに、シラスをたっぷりのせたもののこと。これに青ノリや黒すりゴマ、オリーブ油をかけていただきます。食欲がないときでも、酸味のあるお酢がけ大根おろしなら、はしが進みます。高齢者には食べづらいといわれる肉料理も、お酢がけ大根おろしを添えれば食べやすくなるでしょう。【解説】武蔵裕子(料理研究家)

解説者のプロフィール

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武蔵裕子(むさし・ゆうこ)

料理研究家。双子の息子と両親3世代の健康を支えてきた経験から、基本を押さえながらも合理的で作りやすく、体に優しいレシピを多数考案。簡単に調理でき栄養も効率よくとれるレシピは、幅広い世代から好評を博している。『食べて元気になる 55歳からのoneチンおかず』(主婦と生活社)、『ムダゼロ献立 実用No.1シリーズ』(主婦の友社)など著書多数。企業へのメニュー開発の提案など、幅広く活躍している。
Instagram:@musashiyuko116

病気を患ってもケロッと回復した父

わが家の朝食は、何十年も前から、野菜の煮物や焼き魚、みそ汁などの和食です。「お酢がけ大根おろし」は、そんなわが家の定番として続いています。

お酢がけ大根おろしとは、酢を混ぜた大根おろしに、シラスをたっぷりのせたもののこと。これに青ノリや黒すりゴマ、オリーブ油をかけていただきます(作り方は下項参照)。

両親は新婚時代から、お酢がけ大根おろしをよく食べていたそうです。父の出身地・滋賀県では「どろ酢」という酢みそを料理に使うことが多いようなので、酸味が大好きな父のリクエストだったのかもしれません。

わが家では、正月を除いたほぼ1年中、朝の食卓にお酢がけ大根おろしが出てきます。そのため、どんな季節でも大根が欠かせない存在になっています。

一度に食べる大根おろしの量は、母と私は大さじ2杯程度。一昨年に94歳で亡くなった父は、毎朝小さめの小鉢1杯は食べ、器に残った汁まで全部飲み干していました。

父は、亡くなる直前の倒れた日の朝も、いつもと変わらない朝食をとっていました。そのおかげかはわかりませんが、全く病気をしなかったわけではなかったものの、本当に元気でした。

70代半ばに心臓のバイパス手術を受け、86~87歳からは糖尿病が悪化してインスリン注射を打っていましたが、病気を患ってもケロッと回復するのです。

あまりの回復の早さに、孫たちからは「じーじは不死鳥だね」と言われていました。父は90歳まで、電動自転車で家の前の坂道を走るほど元気でした。

今年の4月で90歳になった母も、たまに血圧が上がる程度で持病といえるものはありません。カゼもめったにひかないほど、元気に過ごしています。

そんな両親を見た人から、よく「健康長寿の秘訣は何か」と尋ねられます。しかし、2人とも特別な健康法を実践したり、サプリメントを飲んだりしていたわけではありません。

もしかしたら、お酢がけ大根おろしをはじめとする毎日の普通の食事が、体力の土台をつくっていたのかもしれませんね。

毎日ではありませんが、息子たちも朝は和食党で、お酢がけ大根おろしを食べていました。そのおかげか、息子たちも私もムシ歯はありません。お酢がけ大根おろしに必ずのせる、シラスのカルシウムが関係しているのではないかと思います。

酢の代わりにスダチなどを使うことも

武蔵先生が愛用する「おろし器」と「カット大根」

おろし器
武蔵先生のお勧めは、目が粗く滑り止めが付いているおろし器。余計な力を入れず、らくにおろせる上、大根おろしの食感もよくなる。

画像: 右:武蔵先生が最も愛用しているおろし器。目が粗く使いやすい 左:ステンレス製のおろし器などを使うことも。いずれも滑り止めがついていて安心

右:武蔵先生が最も愛用しているおろし器。目が粗く使いやすい
左:ステンレス製のおろし器などを使うことも。いずれも滑り止めがついていて安心

カット大根
カット大根なら、切り口から大根の鮮度を確認できる。 特に、いい品質の大根が入手しづらい春~夏に活用したい。
<大根を選ぶポイント>
①切り口が変色していないか
②すが入っていないか
③みずみずしさがあるか

画像: 【大根おろし】の健康効果を高める食べ方は「お酢」がけ!健康長寿の90代の父は”不死鳥“と呼ばれ母も元気でカゼ知らず

息子たちと暮らしていたときは作る量が多かったので、フードプロセッサーで大根をおろしていました。

母と2人暮らしの今は、上で紹介したようなおろし器で、簡単に作っています。食べるのが2人だけな上、1人当たりの量も少ないので、大根をおろすのは大した手間ではありません。味もおいしいがゆえに、この一品を食べたい一心で作っています。

お酢は、味にあまり癖のない米酢を普段は使っています。スダチなどのかんきつ類が旬のときは、その果汁を使うこともあります。

食欲がないときでも、酸味のあるお酢がけ大根おろしなら、はしが進みます。高齢者には食べづらいといわれる肉料理も、お酢がけ大根おろしを添えれば食べやすくなるでしょう。

毎日の食卓に少しずつでいいので、お酢がけ大根おろしをプラスしてください。

お酢がけ大根おろしの作り方

画像1: お酢がけ大根おろしの作り方

材料(1人分)
・大根……約100g(3~4cm程度)
・お酢……大さじ1/2~1程度
・シラス……適量
・黒すりゴマ……適量
・青ノリ(あれば)……適量
・エキストラバージンオリーブ油……適量
※好みや気分に合わせて、材料を変えてもよい。
(例)シラス→チリメンジャコ、エキストラバージンオリーブ油→アマニ油 など

画像2: お酢がけ大根おろしの作り方

①大根をおろしやすい大きさに切り、おろし器ですりおろす。

画像3: お酢がけ大根おろしの作り方

※太いままおろすと力がいるため。1/2~1/4に切るとらく。

画像4: お酢がけ大根おろしの作り方

②大根おろしを汁ごと器に盛り、酢と軽く混ぜ合わせる。残りの材料を全てかける。

食べる量は、1日に大さじ2~3程度でよい。
「一度にたくさん食べる」のではなく、「毎日少しずつ食べる」ことを意識しよう。昼食の定番メニューにしたり、いつもの晩酌のもう一品にしたりすると習慣にしやすい。
1~2人で食べるなら、洗い物が少なく片付けもらくなおろし器を使うのがお勧め。3人以上で食べるなら、フードプロセッサーを使うと大量に作れて便利。

組み合わせてさらにおいしく!

画像1: 組み合わせてさらにおいしく!

【ご飯】これだけでご飯がモリモリ食べられる!

画像2: 組み合わせてさらにおいしく!

【厚揚げ・油揚げ】お酢がけ大根おろしと油揚げのレシピは下項にも。

画像3: 組み合わせてさらにおいしく!

【納豆】納豆にアボカドなどを加えても美味!

画像4: 組み合わせてさらにおいしく!

【キノコ(ナメコ・エノキなど)】ナメタケおろしやナメコ汁にも!

画像5: 組み合わせてさらにおいしく!

【野菜(キュウリ・ニンジンなど)】サラダやあえ物にお勧め!

画像6: 組み合わせてさらにおいしく!

【海藻類(ワカメ・モズクなど)】胃腸に優しい組み合わせ!

お酢がけ大根おろし活用術

サッパリとした味わいのお酢がけ大根おろしは、料理に加えたり、調味料として使ったりするのもお勧め。はしが進む、おいしい食べ方を紹介します。

肉料理や魚介料理に使う

画像: サバのみそ煮缶にのせれば、塩分調整にも役立つ

サバのみそ煮缶にのせれば、塩分調整にも役立つ

脂っこい肉や魚介系の料理にお酢がけ大根おろしを加えれば、食欲がない日でもはしが進みます。調理に使う場合は、ざるに短時間上げるなどして、軽く水気を切ると使いやすいですよ。

画像: 肉料理や魚介料理に使う

煮物や汁物に入れる

画像: 卵スープや和風だしスープと合わせても美味

卵スープや和風だしスープと合わせても美味

お酢がけ大根おろしを入れるだけで、煮汁やスープにとろみがついて食べやすくなります! 誤嚥予防に使ったり、体調が悪い日の養生ご飯として食べたりするのもお勧めです。

画像: 煮物や汁物に入れる

味の濃いものや油ものと合わせる

画像: から揚げに山盛りのお酢大根おろしをのせるのがお勧め

から揚げに山盛りのお酢大根おろしをのせるのがお勧め

酸味が効いたお酢がけ大根おろしは、惣菜やレトルト食品などの味の濃い食品や、揚げ物など油分が多い食材との相性が抜群です。

画像: 味の濃いものや油ものと合わせる

タレや調味料に使う

画像: 油やポン酢と合わせればおいしいドレッシングになる

油やポン酢と合わせればおいしいドレッシングになる

汁までおいしいお酢がけ大根おろしは、タレや調味料としても大活躍。酸味の力で、塩分控えめでもおいしく食べられるので、減塩にも役立ちます。シャキシャキとした食感で、食べ応えもアップ!

画像: ソバやうどんにかけて食べればさわやかな味わいに

ソバやうどんにかけて食べればさわやかな味わいに

お酢の代わりに、レモンやスダチなどのかんきつ類をかけるのも◎! 旬の果実を使うことで、季節感のあるさわやかな味わいに。

画像: タレや調味料に使う
画像: この記事は『安心』2022年10月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年10月号に掲載されています。

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