解説者のプロフィール

野口真紀(のぐち・まき)
料理研究家。料理雑誌の編集者を経て現職。作りやすくておいしい、栄養や健康に配慮したレシピが人気を博している。大のお酢好きであり、家族で外食をする際はテーブルに置いてある酢のおかわりが必要になることも。著書『毎日食べて体すっきり 野菜の酢漬けと展開レシピ』(エムディエヌコーポレーション刊)では、28の簡単な酢漬けと76の展開レシピを紹介している。
合わせ酢に野菜を漬けるだけ
健康な体は、栄養たっぷりの食事からつくられます。しかし、おいしくて健康によい食事を毎日作るのは大変ですよね。
そこで私がお勧めしているのが「野菜の酢漬け」です。
作り方はとても簡単。酢、砂糖、塩を混ぜた合わせ酢に野菜を漬けて、一晩寝かせるだけです。青トウガラシやニンニクなどの風味が強い食材なら、酢だけでもおいしく漬かります。
基本的に、ほとんどの野菜がこの作り方でおいしく仕上がります。さらに面白いことに、同じ合わせ酢でも、野菜によって味わいが違ってくるのです。
私がこの酢漬けを作り始めたのは、自分自身が無類の酢好きだったことがきっかけでした。
わが家は、祖母も母も酢が好きで、食卓にはタマネギの酢漬けや酢豚など、いつもすっぱい料理が並んでいました。その味に慣れ親しんで育った私は、料理研究家となってから、さまざまな野菜を酢漬けにして、その活用法を提案するようになったのです。
野菜の酢漬けはおいしく、見た目も美しいのですが、魅力はそれだけにとどまりません。
①料理がらくになる
漬けた野菜には、酢とその野菜ごとのうま味が染み込んでいます。そのため、おいしい副菜やおつまみとして、そのまま食卓に出すことができます。
おかずとしてアレンジするときも、便利に使えます。例えば、他の食材とあえるだけでおいしいサラダに。酢豚のような味付けが難しい料理も、少し調味料を足すだけで味が決まります。
つまり、野菜の酢漬けさえ作っておけば、調理のたびに野菜を洗う、皮をむく、切るなどの作業が不要になり、味付けもコツいらずになるのです。
②野菜や料理が長持ちする
野菜を酢漬けにすれば、そのまま保存するよりも長持ちします。また、酢には殺菌効果があるので、夏場や湿度が高い日に料理が傷みにくくなります。
③毎日酢をとり健康に!
酢には、疲労回復や血糖値の上昇抑制といった効能があることが知られています。これらの効果は、毎日酢をとることで得られるそう。野菜の酢漬けを毎日少しずつ食べるだけで、無理なく実践できます。
食欲を我慢せず7kgのダイエットに成功
実は私自身も、野菜の酢漬けの健康効果を実感しています。
3年前にダイエットをした際に、野菜の酢漬けを活用したところ、53kgあった体重が1ヵ月半で46kgに減。なんと、7kgものダイエットに成功したのです(身長は158cm)。
私が実践したのは、糖質を控えめにする低糖質ダイエットでした。野菜の酢漬けは、食事の物足りなさを感じたときに重宝しました。たくさん食べても太りにくく、うま味たっぷりで満足感も得られるので、ストレスなく続けられました。
また、私はコロナ禍でもカゼ一つひくことなく、元気に過ごしています。酢には、病気に抵抗する免疫機能を高める効果もあると聞くので、これも野菜の酢漬けの恩恵かもしれません。
野菜の酢漬けをおいしく作るポイントを下にまとめました。皆さんにもぜひ、野菜の酢漬けのおいしさを味わってほしいと思います。
野菜の酢漬けをおいしく作るコツ
しっかり漬けるなら袋を活用すべし
ジッパー付き保存袋か厚手のポリ袋で漬けて、ときどき上下を返せば、野菜全体に酢が行き渡ります。

酸味が苦手な人には米酢がお勧め
基本的には、家庭にある酢で漬けて問題ありません。酸味が苦手な人やお子さんには、まろやかな酸味の米酢がよいでしょう。

色のある砂糖を使えば健康効果アップ
食材を選ぶ余裕がある人は、ミネラル分が残っているきび砂糖などを使うといいでしょう。精製された白砂糖は体を冷やすといわれているので、そうした症状が気になる人にもお勧めです。

[別記事:【75歳料理研究家】おひとりさま暮らしを華やかに彩る「野菜の酢漬け」レシピ→]

この記事は『安心』2022年9月号に掲載されています。
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