ストレスによる肝鬱化火が進行し、胃腸障害が出てきているのが、「痰熱擾心」です。西洋医学で説明すると、ストレスで自律神経系のバランスが崩れ、下痢や便秘などの消化器系の障害が出てきた状態です。対策としては、弱った胃腸を整えることと、乱れた水分のバランスを調節することが必要です。【解説】酒谷薫(医療法人社団醫光会理事長)

解説者のプロフィール

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酒谷薫(さかたに・かおる)

医療法人社団醫光会理事長。医学博士、工学博士、東京大学大学院新領域創成科学研究科共同研究員(前特任教授)、日本中医薬学会理事長。81年、大阪医科大学医学部医学科卒業。87年、同大学院医学研究科修了(医学博士)。脳神経医学の第一人者として活躍する一方、北京日中友好病院への赴任中に東洋医学と出合って以降、専門の脳神経外科とともに東洋医学の研究も行う。最新刊『自分でできる! 熟睡脳のコツ』(ビジネス社)が発売中。

[別記事:不眠体質を熟睡体質に変えるために知っておきたい!東洋医学のしくみと基本→

痰熱擾心チェックリスト

下痢や便秘がよくある
過敏性腸症候群かもしれない
口の中がネバネバする
タンやツバが多くなった
舌の表面が赤く、舌苔が厚い
ゲップがよく出る
おなかの上の方がつかえた感じがする
のぼせ、ほてりがある
口臭が気になる

当てはまる項目が3つ以上ある場合は、「痰熱擾心(たんねつじょうしん)」の状態であると判断できます。

痰熱擾心とは?

ストレスで胃腸にダメージが。ゲップや上腹部のつかえも特徴

画像: 痰熱擾心とは?

ストレスによる肝鬱化火が進行し、下痢や便秘といった胃腸障害が出てきているのが、「痰熱擾心」です。

体に熱がたまり、水分のバランスが崩れ、口の中がネバネバとして気持ち悪くなったりタンやツバが増えたりします。

さらに、ゲップが出やすくなって、上腹部が鈍く痛み、のどが詰まったような感じがすることもあります。

特徴は、舌に現れます。舌苔が厚くなって、色が赤や黄色になっているときは、痰熱擾心の可能性が高いでしょう。

西洋医学で説明すると、ストレスで自律神経系のバランスが崩れ、下痢や便秘などの消化器系の障害が出てきた状態です。

さらに、内分泌系のバランスの障害で「ストレスホルモン」が過剰に分泌され、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などが引き起こされることもあります。

痰熱擾心にはこんな食事を

対策としては、弱った胃腸を整えることと、乱れた水分のバランスを調節することが必要です。

胃腸症状を整えるのは、発酵食品や乳酸飲料の他、トマト、パイナップル、ダイコン、タケノコなどです。

最近の研究では、乳酸飲料を継続的に摂取すると、ストレスが軽減して不眠症も改善するという結果が出ています。「脳腸相関」といって、脳と腸は密接に関係しているからです。

また、水分のバランスを調整する食材としては、アスパラガス、トウガン、カボチャ、キュウリ、シソなどが挙げられます。

避けてほしいのは、油っぽいもの、甘味料、アルコール、冷たい牛乳です。香辛料の入った辛いものやショウガなど体を温めるものも控えましょう。

画像: この記事は『安心』2022年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年9月号に掲載されています。

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