手の甲にシミが浮き出ている、シワが目立つ、肌色が悪い、血管が浮き出ているといった「手の老け見え」。手のマッサージで血流を改善すると、皮膚のターンオーバーが正常化、健康な細胞が新しく生まれてくるようになり、ふっくらと血色のよい、若々しい手に近づくことが期待できます。【解説】小村菜緒(菜のはなインナーケアクリニック from Tokiko Clinic院長・美容皮膚科、美容内科医)

解説者のプロフィール

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小村菜緒(こむら・なお)

2019年、鳥取大学医学部卒業。同年4月より大阪府済生会千里病院にて内科、外科、救急勤務。21年4月よりトキコクリニック勤務。22年4月、トキコクリニック梅田院院長(現、菜のはなインナーケアクリニック from Tokiko Clinic)に就任。病気を治すために病院に通うだけでなく、より快適に生活を送るために、気軽にクリニックに相談することが当たり前の世の中にしていくことを目標としている。

肌トラブルの回復に役立つことが期待できる

手は体のなかでも「年齢が出やすい場所」だといわれています。手の甲にシミが浮き出ている、シワが目立つ、肌色が悪い、血管が浮き出ているといった「手の老け見え」に悩んでいる人は少なくありません。

また、コロナ禍で手洗いや手の消毒を行う機会が増えたことにより、手荒れに悩む人も多くなっていると思います。

手は顔と同じように常に外に出ているため、紫外線にさらされやすくて、シミができやすい部位だといえます。

加えて、作業をしたり、物を持ったりと、手は日常生活のさまざまな場面で頻繁に使われます。そのため、外からの刺激を受ける機会が非常に多いものです。

特に今のご時世は、新型コロナウイルス対策で手洗いやアルコール消毒を頻繁に行うので、外部からの刺激が蓄積しやすい状況だといえるでしょう。ですので、非常に乾燥しやすい部位でもあります。

また、摩擦によって肌の表面が傷つき炎症が起こると、「炎症後色素沈着」が起こって、皮膚が黒ずむことがあります。そのため、顔の皮膚と同じように、手もいたわる対策が求められます。

日ごろから酷使している手をいたわりつつ、手荒れのケアや、手の老化予防として有効なのが「手のマッサージ」です。

なぜ、手のマッサージが手荒れや手のアンチエイジングに役立つのか、その理由を簡単に説明しましょう。

手は体の末端にあり、手の血管の多くは、非常に細い毛細血管です。そのため、手は全身のなかでも血流が悪くなりやすいのです。

皮膚の細胞は、一定のサイクルで新しい物に生まれ変わっています。これを「ターンオーバー」と呼びますが、血流が悪いと、ターンオーバーが乱れてしまいます

皮膚は表面の表皮とその奥の真皮、皮下組織などから成り、真皮の血管が表皮にも栄養しています(酸素や栄養を供給すること。)。新しい細胞は表皮の一番下にある基底層で生まれますが、血流が悪いと新しい細胞が生まれにくくなります。

画像: 肌トラブルの回復に役立つことが期待できる

そのため、手の血流が悪くなると、肌のハリや弾力が低下したり、色ツヤが悪くなったり、手荒れが治りにくくなったりと、手の老化が加速するのです。

手のマッサージは、血流をよくする効果が見込めます。そして、表皮の基底層にも栄養がきちんと行き渡り、皮膚のターンオーバーが正常化。健康な細胞が新しく生まれてくるようになり、古い細胞との入れ替わりがスムーズに進みます。

その結果、手荒れや日焼け後の黒ずみ、ケガのあとの色素沈着といった肌トラブルの回復に役立つでしょう。シワやたるみ、血色の悪さなどの改善に役立ち、ふっくらと血色のよい、若々しい手に近づくことが期待できると考えられます。

肌に摩擦は大敵!こすらずツボを押そう

それでは、私がお勧めする手のマッサージを紹介しましょう。詳しいやり方は、下項の図をご参照ください。

マッサージは、必ずハンドクリームを塗って行い、肌をこすらないように注意します。これは保湿に加え、摩擦を避ける意味もあります。肌にとって摩擦は大敵。何もつけないと、色素沈着などのトラブルを招くおそれがあります。

さらに、手のマッサージを行うときに、併せてもむとよいお勧めの場所が3つあります。

爪のつけ根

各指の爪の生え際から約2ミリ下に、井穴(せいけつ)というツボがあります。自律神経のバランスを整えるといわれています。爪と指先にハンドクリームをなじませるときに、併せて刺激しましょう。

指のつけ根

各指の間の水かき部分には、八邪(はちじゃ)というツボがあります。冷えやむくみに効果があり、体のだるさを解消して、元気を与えるといわれているツボです。各指を根元から先端までマッサージしたあとに刺激するといいでしょう。

親指と人差し指の間

手の甲を上にして、親指と人差し指の骨が交差する部分に、合谷(ごうこく)という万能のツボがあります。コリに対して有効なツボとしても知られています。

こうしたマッサージは、血液やリンパの流れの改善に加えて、ツボの効果が期待できるので、手を若々しく保つ以外に、手が冷えやすい人にもお勧めです。デスクワークなどで手を酷使する人、首や肩のコリがある人も行うとよいでしょう。

手のマッサージは、入浴後や手洗いのあとなどに、こまめに行いましょう。私は診察後に必ず手を洗いますが、そのときにハンドクリームをつけて行っています。

手はほぼ一日中動かすパーツ。その分、保湿やマッサージでいたわって大事にしてください。なお、手に外傷や強い炎症のある人、整形外科的な疾患のある人はマッサージを控えてください。

小村先生お勧めの ハンドマッサージのやり方

必ずハンドクリームを使ってマッサージする。
いずれもこすらないように気をつける。
手に外傷や強い炎症のある人、整形外科的な疾患がある人は控える。
仕事や家事の合間、乾燥が気になるときなど、こまめに行う。

ハンドクリームを親指や人差し指につけて、指先を含む指全体や指と指の間(水かき)を押しもむ。井穴や八邪、合谷のツボは、痛気持ちいい力加減で数秒押す。

画像: 小村先生お勧めの ハンドマッサージのやり方

手の甲全体にクリームをなじませながら、指で全体を押すようにマッサージする。手のひらも同様に行う。手首も握るようにしてマッサージする。

画像: 母指球は特にこりやすい部分なので、よく押しもむとよい。

母指球は特にこりやすい部分なので、よく押しもむとよい。

左右の手を入れ替えて①~③と同様にマッサージする。

画像: この記事は『壮快』2022年9月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年9月号に掲載されています。

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