プロフィール

財前直見(ざいぜん・なおみ)
1966年生まれ。大分県出身。85年、女優デビュー。99年、ドラマ『お水の花道』(フジテレビ系)ほか、テレビ、映画に多数出演。2007年より大分県にUターン。豊かな自然のなかで田舎暮らしを楽しみながら、女優活動を続けている。近年、「終活ライフケアプランナー」などの資格を取得。近著に『自分で作る ありがとうファイル』(光文社)『直見工房 財前さんちの春夏秋冬のごはんと暮らし』(宝島社)がある。
おいしくて気に入り10年近く続けている
生活の基盤を東京から、生まれ故郷の大分県に移したのが、今から15年ほど前。きっかけは子供が生まれたことでした。
私は、18歳で芸能界デビューして以降、東京で独り暮らしをしていました。仕事に追われる毎日で、食事は簡単な物や、いわゆる「ロケ弁」ばかり。体を気遣う余裕はありません。
息子には、かつての私と同じように豊かな自然のなかで、のびのびと育ってほしい──その一心で、移住を決めました。
私の父は、趣味で畑を持っているので、安心・安全な野菜をいつでも収穫できます。多少の虫食いがあっても、採れたての野菜のおいしさは格別です。
一方、母は調理師免許を保有していて、料理がとても上手。季節の保存食や発酵食品を作るのが得意なのです。
今では私も、仕事がない日は父と畑に出て農作業をしたり、母と台所に立ったりして、田舎暮らしを満喫しています。
息子が生まれて3~4年は育児に専念していました。仕事に復帰して少ししたころ、〝健康にいい〟としてブームになったのが、「甘酒」です。
母が愛用していたヨーグルトメーカーで試しに作ったところ、おいしくできてすっかり気に入ったので、続けています。もう、10年近くになるでしょうか。
16穀米のミックス雑穀を入れるようになったのは、5年ほど前です。たまたま頂き物があったので入れてみたら、プチプチした食感が楽しく食べごたえがあるので、常に入れて作るようになりました。
すぐに寝ついて熟睡でき朝はスッキリ目覚める!
我が家で甘酒を食べるのは、主に両親と私の3人です。朝食時のご飯がわりに、スプーンですくって食べています。毎朝の習慣にしたことで、長続きしているのだと思います。
朝食は軽めに済ませるので、甘酒のほかには、おみそ汁と、梅干しなどの常備菜を口にする程度です。それでも、昼になるまで空腹を感じません。おなかにたまる感じがあるのは、雑穀のおかげでしょうか。
作った甘酒は、3~4日でなくなるので、そのタイミングでまた仕込みます。出来上がったら、粗熱を取り、すぐに冷蔵庫に入れるのが肝心です。常温で長くおいておくと、発酵し過ぎて酸っぱくなってしまいます。冷蔵庫保存でも、5~6日で食べ切ったほうが安心でしょう。
こうして、ここ10年ほどで、甘酒は我が家にとって欠かせないものとなりました。ほかの発酵食品や野菜などもとっているので、「甘酒のおかげ」とまでいえるかわかりませんが、以前より明らかに体調がよくなっています。
東京にいたころは、「合間にしかトイレに行けない」といった生活だったので、お通じのリズムが乱れることもありました。今は、便秘とは無縁です。
お通じのよさは、肌の調子とも関係があるそうですね。実際吹き出物などの肌トラブルは、なくなりました。
眠りの質も、高まったようです。以前に比べると寝つくのに時間がかからず、熟睡できるようになりました。朝はスッキリと目覚め疲れを翌日に持ち越すこともありません。
なによりうれしいのは、両親が元気で過ごせていること。今年で父は82歳、母は81歳になりますが、二人ともカゼすら、ほとんどひかないのです。先日も我が家でテレビ収録があったのですが、父は先陣を切って山に分け入りどんどん登るので、ロケ隊の皆さんから「体力がありますね」と驚かれていました。
これからも、自然の恵みをありがたく享受しながら、家族との時間をたいせつに、健やかに暮らしていきたいですね。
財前さんの「雑穀甘酒」の作り方

材料(出来上がり目安量=900ml)
・白米ともち米…1対1で合わせた物…1合
・水…400ml+200ml
・こうじ(乾燥)…200g
Ⓐ
ミックス雑穀(市販の「十六穀米」)ともち麦をおよそ1対3で合わせた物…大さじ2杯
❶鍋に洗った白米ともち米を入れ、400mlの水を入れ1時間以上おき、Ⓐを入れる。
❷中火にかけ、焦げないように混ぜながらお粥を炊く。水200mlを加えて混ぜ、温度を下げてから、ほぐしたこうじを加える。
❸ヨーグルトメーカーに入れ、50度設定で10時間かけて発酵させたら出来上がり。
腸内環境は肌の調子や免疫力と密接に関連
医師・医学博士 山元文晴
雑穀を加えると、主に食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養が強化されます。甘酒による、腸内環境の改善をはじめとした多くの健康・美容効果も、より発現しやすくなると思われます。腸内環境は肌の調子だけでなく、免疫力とも密接な関連があります。財前さんとご両親の健康づくりに、甘酒が一役買っているのでしょう。

この記事は『壮快』2022年9月号に掲載されています。
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