心房細動には、加齢、心疾患、飲酒という3つの有力な原因があります。私は不整脈の専門医として、毎日心臓を診ていますが、大酒飲みのかたの心臓は明らかにひどく傷んでいます。そして心疾患を引き起こす主因が高血圧です。高血圧のための食事療法のポイントは、やはり減塩です。【解説】桑原大志(東京ハートリズムクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

桑原大志(くわはら・たいし)

東京ハートリズムクリニック院長。1965年生まれ。愛媛大学医学部卒業。医学博士。愛媛県立中央病院、愛媛大学医学部附属病院、愛媛県立新居浜病院、国立循環器病センター、横須賀共済病院を経て、2016年、東京ハートリズムクリニック開院。日本不整脈心電学会認定不整脈専門医。日本循環器学会認定循環器専門医、日本内科学会認定内科医、日本不整脈心電学会評議委員。

缶ビールなら1本まで!カフェインは体質しだい

不整脈の人が避けたほうがよい食品、積極的に食べたほうがよい食品には、どんな物があるのでしょうか。

不整脈の人に勧められない物として、まず取り上げたいのが、アルコールです。

飲酒と不整脈の関連について、日本人を対象にした研究がされています。1991~95年にかけて、8602人のかたが被験者となった研究です。

この研究によれば、多量飲酒者は、飲酒しない人と比べて、およそ3倍心房細動を発症しやすいことがわかりました。

多量飲酒者とは、毎日3単位以上の飲酒をする人を指します。1単位の目安は、ビール500ml、日本酒1合、焼酎0.6合、ワイン200ml、ウイスキーダブル1杯といったぐあいです。

ちなみに毎日1単位であれば、心房細動のリスクはさほど上昇しないといえそうです。

私は不整脈の専門医として、毎日心臓を診ていますが、大酒飲みのかたの心臓は明らかにひどく傷んでいます。アルコールはある一定量を超えると、心臓を害してしまうのです。
 

次にカフェインです。カフェインは、中枢神経刺激作用があり、覚醒効果をもたらします。摂取すると、交感神経が優位となって、血管が収縮し、心拍数が上昇します。こうした作用があるために、昔からカフェインは、不整脈を引き起こすと信じられていました。

しかしながら、実際にカフェインと不整脈の関連を調べた研究では、関連性がなかったという報告がなされています。

これは、統計学的には間違いではないのですが、臨床医として、私は別の見方をしています。患者さんのなかには、カフェインの感受性が高い人がいるからです。

カフェインをとると動悸がするといった人の場合、やはりカフェインを控えたほうがいいでしょう。

高血圧対策が不整脈を防ぐことにもつながる

不整脈によい食品は青魚がその代表になります。

『サーキュレーション』という権威のある医学雑誌に掲載された論文では、4815人のかたを12年経過観察しています。その結果、全く魚を摂取しない人に比べると、魚料理を週に1~4日食べる人は0.72倍、週に5日以上魚を摂取する人は0.69倍と、それぞれ心房細動発症のリスクが下がることがわかりました。

青魚には、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」という不飽和脂肪酸が含まれています。これらは動脈硬化を抑制する作用があり、この作用を介して、不整脈を働きにくくしているのでしょう。

実は、不整脈によい食事として証明されているのは青魚だけです。とはいえ、ほかにも心がけてほしいポイントがあります。それが、高血圧を予防するということです。

心房細動には、加齢、心疾患、飲酒という3つの有力な原因があります。このうち、心疾患を引き起こす主因が高血圧です。高血圧は狭心症にも心筋梗塞にもつながりますし、心筋症とも関係してきます。

それでは、高血圧のための食事療法のポイントを挙げておきましょう。

まずは、やはり減塩です。

先ほどの『サーキュレーション』に掲載された最新の研究によれば、塩分摂取量と血圧の間は、正比例関係があることが確かめられています。つまり、塩分摂取が増えるほど、血圧が上昇します。特に高血圧の人ほど、減塩を行ったときの降圧の程度が大きくなるとされています。

そして摂取するべきなのが、「カリウム」「青魚(DHA・EPA)」「食物繊維」「豆たんぱく」「葉酸」「ポリフェノール」の6つです。

代表的な食材は、下の表に挙げているので、ぜひ日々の食事に取り入れてください。なお、別記事では、これらを使った実際のレシピも紹介しています。併せて参考にしていただければと思います。

なお私自身、たっぷりの野菜と納豆、青魚を毎日必ず食べるように心がけています。青魚と豆たんぱくに加えて、野菜で、カリウムと食物繊維がとることができます。

皆さんも、食事のなかに降圧効果の高い食品をうまく取り入れて、高血圧を予防・改善していきましょう。それが同時に、不整脈にもよい食事となるはずです。

高血圧に有効な食材の代表例

栄養素食材
カリウムエダマメ、ニラ、カボチャ、バナナ、キウイなど
DHA・EPAサバ、イワシ、ブリ、タチウオなど
食物繊維根菜類、雑穀類、果物など
豆たんぱく納豆、豆腐おからなど大豆製品
葉酸エダマメ、ブロッコリー、パセリなど
ポリフェノールココア、アズキ、ブルーベリーなど
画像: この記事は『壮快』2022年8月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年8月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.