髪は、失ったとしても命に別状はないため、ただでさえ栄養分配の優先順位が低めです。そんな頭皮に届く貴重な栄養が、私たちの悩みのタネである皮脂に変わるのは、非常にもったいないと感じました。皆さんもぜひ、減シャンで髪の変化を感じてみてください。【解説】横田有里恵(美髪堂店主)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

横田有里恵(よこた・ゆりえ)

1964年生まれ。大妻女子大学短期大学部インテリアデザイン科卒業後、高山美容専門学校へ。2013年、東京都世田谷区に現在の美容院をオープン。主に中高年層に向けたカットやパーマを行う他、「頭部リンパほぐし」をはじめとする髪を本質から若返らせるケアも行う。自身で頭部のリンパを流す頭皮マッサージを動画サイト「YouTube」で紹介したところ、視聴回数が197万回を突破。
YouTubeチャンネル▶「美髪堂」

シャンプーの時間を少しずつ減らした

私は美容師という仕事柄、「湯シャン(お湯洗髪)」や水洗髪には関心がありました。ただ、シャンプーにこだわっていたこともあり「自分には必要ない」と思っていたのです。

その考えが変わったのは、昨年、宇津木龍一先生の著書を読んだのがきっかけでした。

毛穴には、髪を作る毛母細胞や、髪を黒くする色素幹細胞、皮脂を分泌する皮脂腺などがあります。皮脂腺は、毛穴からの異物の侵入を防ぐ皮脂を分泌する「バリア機能」を担っています。宇津木先生によると、この機能を働かせるために、毛穴の栄養は皮脂腺に優先されるそうです。

しかし、シャンプー洗髪で皮脂を落とし過ぎると、体はバリア機能を維持するために、どんどん皮脂腺に栄養を送ります。その結果、栄養不足で髪がやせ細ったり、抜け毛や白髪になったりしてしまうのです。

髪は、失ったとしても命に別状はないため、ただでさえ栄養分配の優先順位が低めです。そんな頭皮に届く貴重な栄養が、私たちの悩みのタネである皮脂に変わるのは、非常にもったいないと感じました。

一方、私は出産で3日間洗髪ができず、髪がひどくベタついて大変な思いをした経験があります。そのため、いきなり湯シャンをするのではなく、シャンプーを減らす「減シャン」から始めることにしました。

このとき私は、次の2点に注意しました。

シャンプーの時間を減らす

以前は、髪と頭皮にシャンプーをなじませて、指の腹で頭皮を40秒ほどもむように洗っていました。それを、まずは15秒に短縮してみたのです。

当初は、汚れが残るような物足りなさを感じましたが、1ヵ月ほどで慣れたので、次は10秒に短縮できるよう挑戦。そうしてシャンプーを使う時間を減らしていくうちに、5~6秒で満足できるようになりました。

洗い方を変える

洗髪時間を10秒にしたタイミングで、洗髪のやり方も変えました。それが、下で紹介する「もぞもぞ洗い」です。この方法だと、シャンプーが直接頭皮に触れることはありませんし、シャンプーの使用量も3分の2程度に減りました。

「もぞもぞ洗い」のやり方

「予洗い」をする
【5分程度】シャワーのお湯を髪に当てながら、指の腹で頭皮の汚れを落とすように、5分ほどかけて洗う。頭皮をさするイメージで、よく洗うとよい。短髪の人は、手のひら全体を頭皮に当てて行うとより効果的。

画像1: 「もぞもぞ洗い」のやり方

シャンプーを泡立て「もぞもぞ洗い」をする
【5~10秒程度】シャンプーを手に取って十分に泡立ててから、手のひらを髪の上に乗せ、円を描くようにして手を動かし洗髪する。頭皮ではなく、髪の表面を優しくこすり洗いするイメージで。

画像2: 「もぞもぞ洗い」のやり方

※髪の長い人は、上記の「もぞもぞ洗い」に加え、手のひらで髪を軽く握って洗う「握り洗い」も行うとよい。

画像3: 「もぞもぞ洗い」のやり方

すすぎ洗いをする
【5分程度】シャンプーが髪に残らないよう、時間をかけて十分にすすぎ洗いをする。

抜け毛や白髪の改善に効果があったとの声

こうして、昨年の10月から減シャンを始めたところ、確実に皮脂が減ったと感じる出来事が起こりました。

私はもともと、20~30分の頭皮マッサージを習慣にしているのですが、以前は、マッサージ後は髪が皮脂でペタンとつぶれ、指先もベタベタになっていました。それが最近は、マッサージ後でも髪はつぶれず、むしろフワリと立ち上がります。もちろん、指もベタつきません。

また、今年1月には面白い変化に気づきました。自然に抜けた1本の白髪の根元が、減シャンと頭皮マッサージを始めた辺りから黒くなっていたのです。

画像: 抜け毛や白髪の改善に効果があったとの声

上の写真でもわかる通り、髪質も、白髪の部分は細くチリついていますが、根元は太く、本来のウェーブに戻っています。頭皮マッサージの効果もあるかもしれませんが、減シャンは白髪や髪のうねりに効果があると感じています。

ちなみに、私は接客業のため今も毎日シャンプーを使っています。ただ、1~2日は湯シャンでも大丈夫だと思えるほど、髪の調子は良好です。

減シャンのよいところは、少しでも不安があったら、いつでもシャンプー洗髪に戻せる安心感があることです。無理のないペースで、少しずつシャンプーを使わない洗髪に慣れていけるので、気負わず続けられます。

また、先日、動画で減シャンや湯シャンを紹介したところ、多くの反響がありました。

ある視聴者さんは、頭皮にかゆみがあるときだけ、界面活性剤不使用のシャンプーを薄めて10秒洗髪をしたそうです。すると、洗髪時の抜け毛が2~3本に減ったといいます。

また、最初から湯シャンに挑戦し、1年半後には額の生え際辺りの白髪がほとんどなくなったという人もいました。

皆さんもぜひ、減シャンで髪の変化を感じてみてください。

画像: この記事は『安心』2022年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年7月号に掲載されています。

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