解説者のプロフィール

堀之内裕史(ほりのうち・ゆうじ)
アクア整骨院・整体院グループ代表。1974年、大阪府茨木市生まれ。芸人を目指す半ばで、治療の世界に触れ、その道を志すことを決意。整骨院での治療だけでなく、整形外科に就職するなど、積極的に多くの知識を学ぶ。滋賀県で最も愛される整骨院を目指し、「アクア整骨院」グループを現在3店舗経営。ユーチューブなどでの情報発信も精力的に行っている。
こり固まった目の筋肉の動きがよくなる!
「スマホ老眼」に悩む人が増えています。
スマホ老眼とは、「手もとが見えにくい」「夕方になると、物が見えにくくなる」といった老眼に似た症状が若い世代でも現れることを指し、主にスマホやパソコンの長時間使用が原因とされています。
ここでは、そんなスマホ老眼を改善するトレーニングを紹介します。まず、スマホ老眼が起こるしくみについて説明しましょう。
私たちの目において、レンズの役割を果たしているのが水晶体です。ある物を見ようとすると、水晶体を支える毛様体筋が伸び縮みし、レンズの厚さを変え、ピントを調節します。
ところが、スマホを長時間使い続けると、近距離にピントをずっと合わせたままになるため、毛様体筋の緊張状態が長い間続くことになります。
すると、毛様体筋がこり固まってしまい、その動きが悪くなるのです。それが、ピントを合わせにくくなるといった老眼の症状を引き起こします。
この重要な毛様体筋の動きをコントロールしているのが、動眼神経です。今回ご紹介するセルフケアでは、この動眼神経の末梢の部位を刺激します。
動眼神経に刺激を与え、神経伝達がスムーズになれば、毛様体筋の動きがよくなります。そうすると、ピントが合わせやすくなり、老眼に似た症状が改善するのです。
鼻骨の外側とこめかみを30秒押すだけ!
動眼神経を刺激するマッサージは、2パターンあります。
マッサージ①
まず、目と目の間で鼻骨の外側を、両手の指で痛みを感じない程度に押していきます。ツボを押しているようなツーンという反応があることが多いので、それを目安にするといいでしょう。刺激する時間は、30秒程度でOKです。決して眼球を押さないように注意してください。

マッサージ②
次に、こめかみの位置に人差し指と中指を当てて刺激します。この部位にも動眼神経の末端があります。こちらも30秒程度刺激しましょう。
このマッサージは、朝晩など定期的に行うようにするといいでしょう。あるいは、パソコン作業のあい間や、夕方になって「目が疲れてきたな」と感じたころあいに試してみるのもいいでしょう。

トレーニング
マッサージを行ったあと、目のトレーニングを行いましょう。千円札の透かし部分を、光の当たり方を変えながら見ようとするだけでかまいません。だんだん下に降ろしていき、見えづらくなってきても見ようとするのを10回程度くり返します。これを継続することで、スマホ老眼が改善します。

目の調子がわかるチェック法
自分の目の調子がわかるチェック法も紹介しておきましょう。
千円札の表側が見えるようにして、両端を手で持ち、顔の前に持ってきます。千円札の中央の、下端に、小さな文字が印刷されています。
「国立印刷局製造」と書かれてありますので、千円札を持った手を動かして距離を調節し、この文字がよく読めるような位置でキープしてください。
続いて、その千円札の位置を動かさないまま、視線だけを遠くに移し、3mほど先の物体を見て、そちらにピントを合わせます。
その後、視線をお札に戻して、先ほどの文字を見てみましょう。このときに時間がかかるのは、毛様体筋がうまく動かせていないからです。
トレーニング後にこのチェック法を行うと、ピントが合う時間が短くなっているはずです。つまり、マッサージとトレーニングによって、神経伝達がよくなり、こり固まっていた毛様体筋の動きも改善したということです。
とはいえ、1日かそこらでは効果を感じづらいでしょう。継続がたいせつです。
また、スマホ老眼ではなく、本格的な老眼に悩む中高年のかたに効果が現れたケースもあります。手軽に行えるので、ぜひお試しください。

この記事は『壮快』2022年7月号に掲載されています。
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