東洋医学の観点から見ると、ラッキョウは「薤白」と呼ばれる生薬で、五臓でいう「心」と「肺」の薬と考えられています。一方、黒酢の酸味は「肝」、ハチミツの甘みは「脾」、ミネラルを意味する鹹味は「腎」によいとされています。つまり、黒酢ラッキョウは五臓すべてをいたわる「究極の食べる漢方薬」といえるでしょう。【解説】山浦卓(横浜漢方サント薬局薬剤師・医学博士)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

山浦卓(やまうら・たく)

横浜漢方サント薬局薬剤師・医学博士。新潟薬科大学薬学部衛生薬学科卒業。新潟市内にある調剤薬局で修養に努めたのち、父の開局した「横浜漢方サント薬局」に勤め始め、現在に至る。医学的根拠に基づく「薬食同源」の考え方を駆使し、相談者に合った養生法を提案。独自の健康食品の開発を行いながら、現在は昭和大学医学部にて天然生薬や機能性食品の研究を続ける。漢方薬も含め、なるべく薬に頼らない症状の改善や健康づくりを目指している。
▼横浜漢方サント薬局

五臓すべてをいたわり心肥大が回復した人も!

当薬局では、厳選したラッキョウを、より抜きの黒酢とハチミツで漬けた「黒酢ラッキョウ」を販売しています。私の父、山浦計介が20年以上前に考案してから、今もなお受け継いでいる健康食です。

父は学生時代に、生薬学教室の恩師から「ラッキョウは体にいいから食べなさい」と勧められていたそうです。

その後、別の大学で黒酢の健康作用を研究していたときのことでした。その恩師の言葉を思い出し、「ラッキョウを黒酢に漬けたらもっと体によいはずだ」と直感したのです。これがきっかけで、黒酢ラッキョウを作り始めました。

実際に、黒酢ラッキョウはさまざまな効能があり、体によい影響を与えると考えられます。

まず、ラッキョウの独特なにおいのもとである硫化アリルや硫化アリルが変化したアリシン、ジスルフィドが、血栓を防いで、血流の改善を促します。

ほかにもラッキョウは抗酸化作用に優れています。血管の内壁をきれいにしてくれるケルセチンや、血圧を安定させるカリウムなどを含み、ナトリウムの排出も促します。

また、私たちが採用している米黒酢の場合、血液をサラサラにする効果が臨床試験で確認されており、医学的根拠を有しています。

東洋医学の観点から見ると、ラッキョウは「薤白(がいはく)」と呼ばれる生薬(漢方薬の原料)です。腹部を温めて血行をよくする作用から、心臓や肺の病気、症状に対応するとして重用されています。五臓でいう「」と「」の薬と考えられているのです。

一方、黒酢の酸味は「」、ハチミツの甘みは「」、ミネラルを意味する鹹味(かんみ)は「」によいとされています。

つまり、黒酢ラッキョウは五臓すべてをいたわる「究極の食べる漢方薬」といえるでしょう。

実際に黒酢ラッキョウを常食している人からは、高血圧や狭心症、不整脈、動悸、肺気腫、ぜんそくなどが改善したという声をいただいています。指先のしびれや肩こり、頭痛といった原因のわからない不調が解消したという声もあります。

なかには「心肥大が回復した」というかたもいて、担当医から「どんな漢方薬を使ったのか」という問い合わせまでありました。

薬でダメージを受けた「肝」と「腎」が回復

黒酢ラッキョウの作り方は下項をご参照ください。もう少し少量で作りたい、というときには、ラッキョウの量に応じてレシピのⒶを減らすといいでしょう。

黒酢は国や行政の認証印がある米黒酢、ラッキョウは国産の高品質な物をお使いください。こうした食材のほうが、西洋医学的な有効成分を得やすいでしょう。

ハチミツはブドウ糖の少ない物を選びます。冬場など、気温が低いと白い結晶になるのがブドウ糖です。この結晶があまりない物を使いましょう。

黒酢ラッキョウは1食につき、病気の予防が目的の場合は朝晩に2粒ずつ、循環器系の病気の治癒に役立てたい場合は朝晩に3粒ずつを目安に食べてください。もちろん、それ以上食べても大丈夫です。

一度に複数回分まとめて食べてもかまいませんが、朝晩に分けるほうがお勧めです。黒酢ラッキョウの成分が常に体内に存在することになるからです。いずれも毎日、継続してとることがたいせつです。

漬け汁も併せていただくといいでしょう。黒酢ラッキョウの成分をもれなくとれます。クセがあるので、オリーブオイルやエゴマ油と合わせてドレッシングにしたり、隠し味として使ったりするのがお勧めです。

黒酢ラッキョウは薬との相互作用もなく、また治療を妨げることもありません。薬で受ける「肝」と「腎」のダメージを減らし、同時に回復の補助が期待できる希有な健康食です。

そもそも(黒)酢漬けのラッキョウは、人類が何百年にもわたり食べ続けている物です。長年の歴史があることから、効能や安全性は示されているといえるでしょう。治療中の人やそうでない人も、黒酢ラッキョウを試してはいかがでしょうか。

黒酢ラッキョウの作り方

画像: 黒酢ラッキョウの作り方

材料
ラッキョウ…3kg
黒酢…1400ml
 ハチミツ…750g
 本みりん…350ml
 天然塩…100g

ラッキョウの塊をほぐし、根と茎を切り落とす。
①をボウルに入れて、流水でやさしくもみこむように洗う。
水を張ったボウルに②を入れ、1粒ずつていねいに洗い、ザルに入れる。このとき、もったいなくてもひと皮むいて、砂や泥をしっかり洗い流す。
ラッキョウをザルに戻し、流水で流して水を切る。
煮沸消毒した保存容器に、水気をふき取った④を入れる。
Ⓐを鍋に入れ、火にかけ、アクを取り、沸騰直前に火を止め、熱いうちに少しずつ⑤に注ぎ入れる。粗熱が取れたらふたをして、冷暗所で保存する。2~3ヵ月後からが食べごろ。

画像: この記事は『壮快』2022年7月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年7月号に掲載されています。

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