※スマホ画面は、原則としてiPhone(iOS)のものです。Androidスマホでは、画面構成が多少異なる場合があります。
「マイナンバーカード」「マイナポイント」がよくわかる基本講座
そもそもマイナンバーって何?
マイナンバーとは、日本国内の住民票を有する全ての人に付与される「個人番号」の通称です。行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現する社会基盤として、2015年から導入されました。12桁の数字で表され、個人を証明する番号として使えます。
具体的には、市区町村役場、税務署、社会保険事務所などでの手続きが簡単になり、時間も短縮化されることが利点です。さらに、国民の所得状況などを把握し、脱税や社会保障の不正受給などの防止、生活に困っている人にきめ細やかな支援を行うことも目的としています。
マイナンバーは、本人が希望するか否かに関係なく、すでに国民一人一人に付与されています。まだマイナンバーカードを取得しておらず、自分のマイナンバーを知らせる郵便物を受け取った記憶もないという場合は、住民票がある市区町村役場に確認しましょう。
なお、マイナンバーは一生使うものです。マイナンバーが漏えいして、不正に使われる恐れがある場合を除けば、番号は生涯変更されません。

マイナンバーカードには顔写真があり、身分証明証として使える。マイナンバーは背面に記されている(上はカードの見本で、顔写真部分がイラストになっている)。
マイナンバーカードは必ず作らないとダメ?
マイナンバーカードは、マイナンバー(個人番号)が記載された顔写真付きのカードです。運転免許証や健康保険証などと同じ寸法のプラスチック製カードで、リーダー(読み取り機)で読み取れる電子証明書が記録されたICチップが内蔵されています。
マイナンバー自体は、何もしなくても郵便物で通知されますが、マイナンバーカードは自分で申請して作成する必要があります。マイナンバーカードの取得は義務ではなく、取得しなかったとしても罰則はありません。
そのため、2022年3月時点のマイナンバーカードの普及率は42.4%にとどまっています。政府は、2022年度末(2023年3月)までに、ほぼ全ての国民に行き渡らせることを目指していますが、実現は難しそうな状況です。
現在、行われている「マイナポイント」は、マイナンバーカードを普及させるための国の施策です。また、健康保険証としての利用や、ワクチンの接種証明など、マイナンバーカードの用途も広がりつつあります。
マイナンバーカードを持つことにデメリットはなく、逆に、今後は持っていないと不便が生じることもあるでしょう。

新型コロナワクチンの接種証明書も、スマホアプリでマイナンバーカードを読み取るだけで取得できる。
マイナンバーカードはどんなことに使える?
まず、マイナンバー(個人番号)の提示を求められた場合に、このカードだけでマイナンバーの証明として利用できます。また、スマホ(スマートフォン)などに内蔵されたリーダーで読み取り、行政手続きにも利用できます。
さらに、このカードがあれば、住民票や印鑑登録証明書などをコンビニにある複合機から取得することもできます。
2021年10月からは健康保険証として使えるようになりました。病院で提示するだけでなく、治療や薬の記録をスマホやパソコンで確認できたり、確定申告を容易に行えたりすることも利点。入院などで「限度額適用認定証」が必要な場合も、その手続きが免除されます。
今後、自動車の運転免許証としての利用も検討されています。

マイナンバーカードは健康保険証として利用できる。申し込みは、スマホを持っている場合は「マイナポータル」アプリから行うのが便利。
マイナポイントをもうらうにはどうすればいい?
「マイナポイント」は、マイナンバーカードを普及させるための施策です。第1弾は2020年9月1日から実施され、登録したキャッシュレス決済(電子マネーなど)の利用額の25%(最大5000円分)のポイントが付与されました。
今年始まった第2弾は、キャッシュレス決済の利用による最大5000円分のポイント(第1弾で獲得済みの人は対象外)に加えて、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を登録すると7500円相当、公金受取口座の登録を行うと7500円相当のポイントが付与されます。
マイナポイントは、マイナンバーカードを持っている人だけがもらえるポイントです。
カードを持っていない人は、まず、マイナンバーカードを取得しましょう。取得方法は下項で解説しますが、交付まで1ヵ月以上かかることもある点は、ご留意ください。
マイナンバーカードがあれば、マイナポイントはスマホなどから簡単に申し込めます。申し込み方法は下項で解説します。
●マイナポイント第1弾(2020年9月から実施)
*登録したキャッシュレス決済の利用額の25%(最大5000円分)のポイントが付与される。ポイントは現金の代わりとして支払いなどに使える。
●マイナポイント第2弾(2021年1月から順次実施)
❶上記「*」を利用していない場合、第1弾と同じ要領で同じ点数のポイントが付与される。
❷マイナンバーカードを健康保険証として利用登録すると7500円分のポイントが付与される。
❸公金受け取り口座の登録を行うと7500円分のポイントが付与される。
マイナポイントの申し込みにはスマホが絶対必要?
マイナポイントの申し込みは、パソコンなどでも行えますが、最も簡単に申し込めるのはスマホでしょう。
スマホでマイナンバーカードを読み取るためには「NFC」という機能が必要ですが、ほとんどの機種が対応済みです。「マイナポイント」アプリをインストールすれば、10分ほどで申し込みは完了します。
パソコンで申し込む場合は、マイナンバーカードを読み取る「ICカードリーダー」を用意する必要があります。また、動作環境によっては、ソフトをアップデート(更新)しなければならない場合があります。
スマホもパソコンもない場合は、「マイナポイント手続スポット」で申し込めます。市区町村の役所、郵便局、コンビニ、携帯ショップなどがスポットになっています。

iPhone
アップルが製造するスマホ。基本ソフトは「iOS」。2016年に発売されたiPhone 7以降の機種はNFCの機能を搭載し、マイナポイントの申し込みが行える。

Androidスマホ
ソニー、シャープ、京セラ、FCNT(旧富士通)など、多くのメーカーが製造する。基本ソフトはAndroid OS。ほとんどの機種がNFCに対応している。
マイナポイントの対象になる決済サービスは?
マイナポイントの対象になるキャッシュレス決済サービスには、電子マネー、QRコード決済、クレジットカード、プリペイドカード、デビットカードがあります。申し込みを済ませると変更できないので、自分がよく使うサービスを登録することをお勧めします。
現在、キャッシュレス決済を利用していない場合は、スマホで手軽に始められるQRコード決済が便利です。具体的には「d払い」「auPay」「PayPay」「楽天ペイ」「イオンペイ」などがあります。
JR東日本の電子マネー(タッチ決済)の「Suica」も登録できますが、事前に「JRE POINT」への会員登録が必要で、やや手間がかかります。
なお、同じく鉄道系電子マネーの「PASMO」は、マイナポイント第1弾では対象でしたが、今は受付とポイントの付与を終了しているので、他の決済サービスに申し込むようにしましょう。

〈QRコード決済の例〉
PayPay
店に置かれたQRコードを読み取るか、スマホに表示させたバーコードを読み取ってもらって決済できる。

〈電子マネーの例〉
Suica
スマホを読み取り機にかざすだけで支払いができる決済サービス。
マイナンバーカードはスマホで申請すると超簡単
マイナンバーカードの交付を申請する方法は4つあります。
最も手軽なのがスマホからの申請です。住民票がある市区町村から届く「個人番号通知書」や「通知カード」に記載されたQRコードを読み取ると、申請者専用のウェブサイトに接続されます。
画面の案内に従い、顔写真を登録したり、必要事項を入力したりするだけで申請が完了します。スマホにはカメラが付いているので、画面の案内に従って、操作の途中で顔写真を撮ることができます。
パソコンから申請する場合の手順も、スマホの場合とほぼ同じです。ただし、登録する顔写真はデジタルカメラで撮影し、パソコンに取り込んでおく必要があります。
スマホやパソコンがない場合は、個人番号通知書や通知カードと一緒に送られてくる「個人番号カード交付申請書」に記入して、郵便で申し込めます。
また、街中にある一部の証明写真機から申し込むこともできます。
なお、個人番号通知書や通知カードは再発行されません。万一紛失した場合は、市区町村に相談しましょう。住民票の写しを取得するなどして自分のマイナンバーを確認でき、マイナンバーカードを申請することができます。
マイナンバーカードの交付を申請すると、おおむね1ヵ月くらいで市区町村から交付通知書(ハガキ)が届きます。そこに記載された交付場所でカードを受け取れます。

スマホ
個人番号通知書に記載されたQRコードを読み取って、専用サイトから申請できる。スマホのカメラで事前に顔写真を撮影しておくと、よりスムーズに行える。

パソコン
交付申請用のウェブサイトから申請できる。デジカメで撮った顔写真と、個人番号通知書などに記載された申請書ID(23桁の数字)の入力が必要になる。

郵便
個人番号通知書などと一緒に届く「個人番号カード交付申請書」に必要事項を記入し、顔写真をはり付け、送付用封筒に入れてポストに投函する。

証明写真機
マイナンバーカードの申請に対応する証明写真機でも申請が行える。タッチパネルで「個人番号カード申請」を選択し、画面の案内に従って申請しよう。
スマホでマイナンバーカードを申請する手順
交付申請書などのQRコードを読み取る

住んでいる市区町村から届いた個人番号通知書にあるQRコードをスマホで読み取る。
利用規約を読んで同意する

交付申請用のサイトに接続される。まずは「利用規約」を読んで、チェックを入れて同意しよう。
メールアドレスを登録する

申請書ID(23桁の数字)は自動で入力されるので、スマホで受信できるメールアドレスを登録しよう。安全性を確認する画像認証の画面も表示されるので、案内に従って認証しよう。
メールアドレスの登録が完了

登録したメールアドレス宛に申請情報登録のURLが記載されたメールが届く。青く表示されるURLをタップする。
顔写真を登録する

顔写真をアップロード(送信)する。背景が無地で、顔がはっきりわかる写真でなければいけないので、事前に撮影してスマホに保存しておくといい。
申請情報を登録する

自分の生年月日を入力する。電子証明書の希望の有無を選択できる画面が表示されるが、電子証明書が必要となることはあり得るので、「不要」にチェックを入れず、そのままにしておこう。
申請完了

「申請情報登録完了」の画面が表示される。登録したメールアドレスに同様の内容のメールも届く。
申請が完了したら
おおむね1ヵ月ほどで市区町村から交付通知書(ハガキ)が届く。交付期限までに、ハガキに記載された交付場所に行き、カードを受け取る。受け取りの際は本人確認書類が必須で、予約が必要な場合もある。
スマホでマイナポイントを申し込む
まず、スマホに「マイナポイント」というアプリをインストールしましょう。アプリを起動し、マイナンバーカードを読み取ると、自分専用のページに入って、申し込めるしくみです。
スムーズに申し込むために最も重要なことは、あらかじめ利用する決済サービスを決めておくこと。対象となる決済サービスは、マイナポイントのウェブサイトなどで調べられます。
どのサービスを選んでも「決済サービスID」と「セキュリティコード」の入力が求められるので、あらかじめ調べておきましょう。また、決済サービスによっては事前に登録が必要な場合があります。
なお、健康保険証としての利用と公金受取口座の登録は、「マイナポータル」のアプリやウェブサイトから行えます。
スマホ以外の申し込み方法
マイナポイントはパソコンから申し込める(マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダーが必要)。また、マイナポイント手続きスポット(市区町村の役所、郵便局、コンビニ、スーパー、携帯電話ショップなど)に設置された端末を利用して申し込むことも可能。
どの決済サービスを使うのがいい?
QRコード決済は独自のキャンペーンが行われ、マイナポイント以外のポイントが付与される場合も多い。ドコモの「d払い」、auの「au PAY」、ソフトバンクの「PayPay」は、それぞれの携帯電話会社のスマホを使っている人には便利で、お得度も高いため、自分が契約している携帯電話会社のQRコード決済サービスを選ぶのが無難だろう。
スマホでマイナポイントを申し込む手順
まずは「マイナポイント」のアプリをインストール

アプリ名:マイナポイント
提供:総務省自治行政局
料金:無料
iPhoneは「App Store」、Androidスマホは「Playストア」で入手する。アプリ名で検索し、ダウンロードおよびインストールを行う。
「マイナポイントの予約・申し込み」を選択

アプリを起動し、「マイナポイントの予約・申込」をタップ。
「マイナポイントの予約」を選択

初めてマイナポイントに申し込む場合は「マイナポイントの予約」をタップし、その後「次へ進む」をタップ。
パスワードを入力

マイナンバーカードを受け取った際に自分で設定した4桁の暗証番号を入力して、「OK」をタップ。
マイナンバーカードを読み取る

画面に表示される案内に従ってマイナンバーカードの上にスマホを載せ、カードの情報を読み取らせる。
マイナポイントの申し込みに進む

「発行」をタップすると、マイナポイントの予約が完了する。続いて「申込へ」をタップする。
利用する決済サービスを検索

決済サービスの検索画面が表示されるので、登録したいサービスの名称を入力するなどして検索する。なお、決済サービスによっては、マイナポイントの申し込みの前にそのサービスに登録しておく必要があるので注意。
決済サービスを選択

登録したい決済サービスを表示させて「選択」をタップ。同じ決済サービスで、ポイント付与の条件が「前払い(チャージ)」または「購入」と、異なるケースもあるので、しっかり確認しよう。「次へ進む」をタップし、利用規約を確認しよう。
申し込み情報を入力

選択した決済サービスの、決済サービスIDとセキュリティコード、自身の電話番号を入力して、「確認」をタップ。もし、エラーが表示された場合は、入力ミスがないかどうかを確認して、修正しよう。
再度パスワードを入力してカードを読み取る

再び4桁の暗証番号を入力し、マイナンバーカードにスマホを載せて、カードの情報を読み取る。
申し込み完了

申し込みが完了すると、この画面が表示される。
申し込みが完了したら
スマホで申し込みをした場合は、引き続き「マイナポータルの利用者登録の申し込み」と「マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込み」を行える。画面を閉じてしまった場合は、「マイナポータル」アプリから改めて申し込める。

アプリ名:マイナポータル
提供:デジタル庁
料金:無料

「マイナポータル」アプリでは、健康保険証としての利用や公金受取口座の登録を行える。ただし、マイナポイントの申し込み・付与は6月以降の予定。
住所変更、カード紛失・破損…マイナンバーカードのトラブルを解決
暗証番号を忘れてしまった!
マイナンバーカードを利用する際、暗証番号の入力が必要になることがあります。
交付時に決めた4桁の暗証番号は、3回連続で入力を間違うと、ロックがかかってしまいます。英数字が混在する6桁から16桁の電子証明書用の暗証番号は、5回間違うとロックされます。
暗証番号を忘れたり、ロックされたりした場合は、マイナンバーカードを持参し、市区町村の窓口で再設定しましょう。
引っ越したけど、住所変更はどうする?
引っ越して住所が変わっても、マイナンバーは変わりません。ただし、マイナンバーカードに記載されている住所は、変更する必要があります。
同じ市区町村内で引っ越す場合は、引っ越しから14日間以内に市区町村に転居届を提出すると、カードの追記欄に新しい住所を記入してもらえます。
異なる市区町村に引っ越す場合は、転出届(14日前~当日)と転入届(当日~14日目)の両方が必要ですが、マイナンバーカードの住所変更は、転入先の市区町村で行えます。

住所を変更した場合は、マイナンバーカードの正面の追記欄に新しい住所と転入日が記載される。
カードの期限が切れてしまった!
マイナンバーカードの有効期限は、発行日から10回目の誕生日までです。また、e-TAXでの確定申告や、コンビニでの住民票などの発行に使う電子証明書の有効期間は5回目の誕生日まで。
どちらも有効期間満了日の3ヵ月前から更新の手続きを行うことができ、有効期限が近づくと通知が届きます。
有効期間を過ぎると一時的に使えなくなりますが、有効期間後でも更新が可能で、更新すれば、マイナンバーカードの効力に変わりはありません。
カードを紛失してしまった!
マイナンバーカードを紛失した場合は、市区町村の窓口で再交付を申請できます。マイナンバー自体は変わりませんが、カードの再交付時に1000円(電子証明書が不要の場合は800円)の手数料を支払う必要があります。
カードを紛失したら、まずマイナンバーコールセンター(0120-95-0178)に電話し、マイナンバーカードの一時停止の手続きをしましょう。
屋外で紛失した場合は、警察に遺失届を提出することを忘れずに。役所で再交付を申請するとき、遺失届受理番号などが必要になります。
カードのICチップが壊れてしまった!
マイナンバーカードにあるICチップを破損してしまったり、スマホで読み取れなくなったりした場合も、市区町村の窓口で再交付を申請できます。
手数料は1000円(電子証明書が不要の場合は800円)です。カードは普段から折り曲げたりしないように、取り扱いには注意しましょう。

この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。
www.makino-g.jp