「咀嚼」、つまりかむことが不足すると、骨と筋肉が癒着しやすくなって、余分な脂肪のため込みが促進されてしまいます。そこで「骨際はがし」で骨と筋肉の癒着を解消し、身体の流れをよくすることが非常に大切なのです。ごく簡単な方法で、その場でおなかの脂肪の厚みが減るので、ぜひやってみてください。【解説】小原利恵(ボディヒーリングサロンアクア代表、天城流湯治師・足圧整体師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

小原利恵(こはら・としえ)

ボディヒーリングサロンアクア代表。天城流湯治法広島事務局代表、天城流湯治師、足圧整体師。自身の腰痛と家族の介護がきっかけとなり、2005年に足圧整体、2010年に杉本錬堂氏の指導者育成にて天城流湯治法を学ぶ。現在は足圧整体、天城流湯治法をメインとした施術と身体をほぐすワークショップの開催や、セルフケアの方法などを指導している。
▼ボディヒーリングサロンアクア

骨と筋肉の癒着をはがし流れをよくする

「不思議! 本当にへこんだ」「脂肪の厚みが半分になった!」「ウエストが細くなった!」これは、私が毎月行っている「骨際はがし」のワークショップで聞かれる参加者の方々の声です。

「骨際はがし」は、正式には「天城流湯治法」という技法で、一般の皆さんがご自分で簡単に行うことができます。

天城流湯治法とは、杉本錬堂氏が、ご自分のケガや病気を克服する過程で考案したメソッドです。身体の不調を取ったり、痛みを緩和したりするのにも大変役立ちますが、ワークショップで特に盛り上がるのが、「痩身」をテーマにした回です。

おなかやせの方法を行うと、その場でおなかがへこんで、つまめる脂肪の量が減ったり、ウエストサイズが減ったりするので、とても盛り上がるのです。

基本的なやり方は、「骨際はがし」という呼び名の通り、身体のいろいろなところの骨から、筋肉の癒着をはがすようにほぐします。

不調が続く人や、無駄な脂肪がたまる人は、骨と筋肉の際がくっついており、それによって血液やリンパ液(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れが悪くなっているというのが、天城流湯治法の考え方です。

その筋肉を骨からはがすようにすると、血流や水分代謝がよくなり、健康的な身体へ導きます。

天城流湯治法では、脂肪はいくつかの袋に分かれており、その袋には栓があると考えます。骨際はがしで、その栓になっている部分をはがすと、一気に流れがよくなり、結果として、その場で劇的なサイズダウンも起こるのです。

人が太る理由は、一般には食べ過ぎや運動不足とされています。しかし、食べても太らない人もいれば、それほど食べなくても太る人、運動しても太る人もいます。

実は、太る根本的な原因は「咀嚼」、つまりかむことの不足にあると、天城流湯治法では考えます。そして、かむことが不足すると、骨と筋肉が癒着しやすくなって、余分な脂肪のため込みが促進されてしまいます。

多くの現代人は、忙しさのあまりか、かむことが不足しています。そのことが、骨と筋肉の癒着、さらに脂肪のため込みにつながっているのです。

そこで、骨際はがしで骨と筋肉の癒着を解消し、身体の流れをよくすることが非常に大切なのです。

1ヵ月で洋服のサイズが11号→9号になった!

理屈はともかくとして、ごく簡単な方法で、その場でおなかの脂肪の厚みが減るので、ぜひやってみてください。

ワークショップのときには、その場でおなかの脂肪の厚みが変化する人や、ウエストサイズが数cm減る人もいます。そこまで減らなくても、やれば何らかの変化があるので、ぜひご自分で確かめていただきたいと思います。

ただし、この効果が持続するのは3日程度とされています。ですから、毎日でなくても、2〜3日に1回程度行えば、効果の持続が期待できます。ワークショップの参加者には、毎日熱心に続けて、1ヵ月で洋服が11号から9号になった人もいます。

骨際はがしを行うときには、まず、目的とする部位の脂肪をつまんで、その厚みを確かめておきましょう。そして、骨際はがしをした後にまたつまんでみると、明らかに厚みが減っているのが実感できるでしょう。行うのは、1日のうち、いつでも構いません。

骨際はがしを行うとともに、食物をよくかむようにすると、いっそう効果的です。一口で40〜50回かんで、食べ物を飲み込むというより、口の中で溶けてなくなるくらいにするのが理想です。

そこまではできなくても、せめて早食いはやめて、できるだけ意識的にかむようにしましょう。すると、やせやすく、太りにくい健康的な身体になってきます。

おなかがやせる「骨際はがし」のやり方

最低でも、2~3日に1回行う。毎日行っても、もちろんOK。
1日のうちいつ、何回行ってもよい。
行うのは服の上からでも、直接でもよいが、②はできるだけ直接行うとよい。入浴中にお風呂の中で行うとより効果的で、痛みも感じにくくなる。

① へそ周りの脂肪が取れる
「腸骨と恥骨の骨際はがし」

行う部位
腸骨から恥骨

画像1: ① へそ周りの脂肪が取れる 「腸骨と恥骨の骨際はがし」
画像2: ① へそ周りの脂肪が取れる 「腸骨と恥骨の骨際はがし」

左右の手の指を左右の腰骨の内側に差し入れ、はがすように押し込む。腸骨に沿って少しずつ位置をずらしながら、恥骨まで同様に行う。

② 下腹の脂肪が取れる
「前腕の骨際はがし」

行う部位
手のひら側の前腕、ひじのシワから前腕中央までの範囲

画像1: ② 下腹の脂肪が取れる 「前腕の骨際はがし」
画像2: ② 下腹の脂肪が取れる 「前腕の骨際はがし」

刺激する方の手と反対側の手で手刀を作り、刺激部位をまんべんなく30秒こする。反対側の手も同様に行う。

③ おなか上部の脂肪が取れる
「内すねの骨際はがし」

行う部位
内すね中央部、骨の際

画像1: ③ おなか上部の脂肪が取れる 「内すねの骨際はがし」
画像2: ③ おなか上部の脂肪が取れる 「内すねの骨際はがし」

内すね中央付近の骨際に手の指を当てて、骨に沿って上下に8回ほどこする。反対側も同様に行う。

④ くびれができる
「肋骨の骨際はがし」

行う部位
肋骨と肋骨の間

画像1: ④ くびれができる 「肋骨の骨際はがし」
画像2: ④ くびれができる 「肋骨の骨際はがし」

肋骨と肋骨の間に指先を入れ、骨に沿って指を移動させる。骨の間の筋肉をほぐす感覚で、5往復行う。反対側も同様に行う。

医師からのコメント
Dr.平野薫自由診療クリニック院長 平野 薫

天城流湯治法では、骨と筋肉の際がくっつき、それによって血液や水分の流れが悪くなると、無駄な脂肪がたまったり、身体に痛みや不調が起こったりしてくると考えます。

骨際はがしをすると、その滞りを招いている癒着が解消して、血液や水分の流れが一気によくなります。その結果として、その場で劇的なサイズダウンも起こってくるのでしょう。

なお、ダイエット目的で骨際はがしを行う場合、刺激が軽めでも、効果が現れることが多いようです。また、おなかやせに役立つだけでなく、内臓を整えて、体調をよくする効果も得られます。

おなかの脂肪が気になっている人、体調をよくしたいと思っている人は、一度お試しになってみるとよいでしょう。

画像: この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.