ダイエットの成果が出ない人の多くは、体が必要とする栄養素が足りていない「栄養失調状態にある」可能性があります。カロリーを消費するために必要な栄養素が不足していれば、やせづらいのは当たり前です。「腹ペタスープ」は、誰でも手軽にダイエットに必要な栄養バランスを整えることができます。【解説】藤井香江(簡単ダイエット専門家)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

藤井香江(ふじい・かえ)

簡単ダイエット専門家。自身が半年で20kgのダイエットに成功し、20年以上キープする。「食の力で健康的にやせる」をモットーに、おいしく食べてやせられる、リバウンドなしの簡単メソッドを考案し、好評を得ている。『作りおきで、かんたん! 腹ペタスープダイエット』(講談社)、『女性の悩みはすべて「スープ」で解決する』(三笠書房)など、著書多数。著書は累計37万部を超えている。
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やせにくいのは栄養不足が原因かも!?

40歳を過ぎると、代謝が落ちるため、太りやすくなります。「食事を減らしたのにやせない」と嘆く人もいるでしょう。

ダイエットの成果が出ない人の多くは、体が必要とする栄養素が足りていない「栄養失調状態にある」可能性があります

カロリーを消費するために必要な栄養素が不足していれば、やせづらいのは当たり前です。

食事の総量を減らせば、とれる栄養素も不足します。たんぱく質だけを多くとる、栄養価の高い野菜だけをとる、といった偏った食生活でも、必要な栄養素は不足しがち。太りづらい食事の理想は、多様な食材を使った一汁三菜だと私は考えています。

とはいえ、忙しい人や料理が苦手な人にとって、毎回、多様な食材を使った食事を用意するのは容易ではないでしょう。

今回ご紹介する「腹ペタスープ」は、誰でも手軽にダイエットに必要な栄養バランスを整えることができます。やせたい人はもちろん、健康維持に努めたい人にもお勧めのスープです。

実は私も、以前は160cmの身長に対し、体重は70kgという肥満体型でした。しかし、食習慣の改善により、半年で20kgの減量に成功。以来20年以上、体重をキープしています。

ただ、簡単ではありませんでした。もともと太りやすい体質の上、2児の出産経験もあり、気を抜くとすぐに太ってしまうのです。

腹ペタスープは、そんな経験から生まれました。試行錯誤の末、今の作り方が完成したのは5年ほど前です。

スープを作りおきしても、汁の状態では日保ちしません。「傷む前に食べ切らなければ」というプレッシャーがあると、続ける気も失せてしまいます。

腹ペタスープは、スープの素の状態で冷蔵・冷凍保存できます。食べるときは水を加えて、好みの味をつけて温めるだけ。少ない水で調理することで、野菜のうま味も凝縮します。

腹ペタスープの主な材料は、ニンジン・タマネギ・ブロッコリー・ミニトマト・大根・キャベツの6種類。通年手に入る野菜であることも利点です。しかも、下の表のように、ダイエットや健康維持に役立つ栄養が豊富です。

ニンジン免疫力を高めるβ-カロテンが豊富。潤いのある肌づくりに役立つ。疲れ目や肌の老化の予防にも。
タマネギ体の酸化を防ぎ代謝を上げるファイトケミカルが豊富。血液サラサラ作用や、血糖値を下げる効果も期待できる。
ブロッコリー200種類以上のファイトケミカルを含む、「野菜の王様」。体の酸化を防いで老化防止に役立つ。
ミニトマト赤い色素のリコピンがシミの素の生成を抑制。美肌効果が高い。煮崩れしにくいので、スープの具材に向いている。
大根食物繊維が豊富で、便通を改善して体内の毒素をスムーズに排出してくれる。
キャベツ胃粘膜を健康にするビタミンUが豊富。とった栄養のスムーズな消化・吸収に役立つ。

タマネギは長ネギ、大根は切り干し大根(水で戻したもの)で代用できます。旬の野菜で風味を変えてもよいでしょう。ただ、代用やアレンジはたまに行う程度で、できるだけこの6種類の野菜で作ってください。

味つけはみそや白だし、トマトジュースなど、お好みで。忙しいときは、豚肉や温泉卵をトッピングすれば、たんぱく質もあわせてとれます。サケの中骨水煮缶を加えれば、抗酸化力がアップ。豆乳とシーフードミックスを加えれば、たんぱく質と魚介のミネラルがとれます。

おなかからやせる!γ‐GTPも正常化

腹ペタスープは1日に1食、早くやせたい人は2食食べてください。おなかいっぱいになるまで、好きなだけ食べて構いません。野菜の効果で便通がよくなるので、おなかからやせていく人が多いのも特徴です。

腹ペタスープを食べ始めて、私は体重維持がらくになりました。体は軽く、肌の調子も良好。爪の凹凸も消えています。

私の夫も夕食時に腹ペタスープを食べ始めた結果、3ヵ月で6kgやせました。高かったγ‐GTPとコレステロール値も、正常値に戻っています。

ある40代の女性は、腹ペタスープの習慣で、8ヵ月で20kgやせています。他にも「健康的にやせられた」「気持ちが穏やかになった」などと好評です。ぜひ、お試しください。

腹ペタスープの作り方

腹ペタスープの素の作り方

画像1: 腹ペタスープの素の作り方

材料(5食分)
タマネギ……大2個
ニンジン……大1本
キャベツ……1/4個
大根……1/4本
ブロッコリー……1株
ミニトマト……5~8個
ニンニク……1片
ショウガ……1かけ
コンブ(6cm角)……2枚 
水……150ml
塩……小さじ1/2
※トマトは、ミニトマトがお勧め。ミニトマトの方がスープがおいしく出来上がる。
※ニンニクは苦手なら入れなくてもよい。
※チューブタイプのニンニクやショウガを使う場合は、ニンニク小さじ1(チューブから出して2~3cm)、ショウガ大さじ1(チューブから出して4~5cm)を目安にする。

画像2: 腹ペタスープの素の作り方

野菜を切る
タマネギ、キャベツ……1.5cm角に切る。
ニンジン、大根……よく洗い、皮付きのまま1.5cm角に切る。
ブロッコリー……房の部分を小房に分ける。
ミニトマト……ヘタを取る。
ニンニク、ショウガ……薄切りにする。
※ブロッコリーの茎の部分も使いたい場合は、茎の外の皮をむいてから、適当な大きさに切る。

画像3: 腹ペタスープの素の作り方

野菜を煮る
大きめの鍋に1とコンブ、水を入れて、全体に塩を振る。
鍋にピッタリとふたをして、中火で加熱する。
沸騰してきたら弱火にし、そのまま30分ほど煮る。
※コンブは水に浸るように入れる。
※出来上がりでブロッコリーの色を鮮やかにしたい場合は、火を止める3分前に加えるとよい。

画像4: 腹ペタスープの素の作り方

出来上がり
火を止め、ふたをしたまま、10分ほどそのまま蒸らせば出来上がり!

画像5: 腹ペタスープの素の作り方

保存方法
▶︎冷蔵の場合
保存期間5日間:粗熱を取り、コンブは食べやすい大きさに切って、汁ごと保存容器に入れ、冷蔵庫で保管する。
▶︎︎冷凍の場合
保存期間3週間:粗熱を取り、コンブは食べやすい大きさに切って、汁ごと1食分ずつ冷凍用の保存袋に入れて冷凍する。食べるときは冷蔵庫で自然解凍、または電子レンジで5分ほど加熱してから調理する。

基本の食べ方

画像: 基本の食べ方

材料(1皿分)
腹ペタスープの素……1カップ(200ml)
好みのスープの素(鶏ガラスープやコンソメなど)……小さじ1/2~1
水……150ml

作り方
耐熱の器に全ての材料を入れ、ラップをふんわりかけて、電子レンジ(600W)で2分30秒ほど加熱し、混ぜる。

1日に1杯食べるのが基本だが、それ以上食べてもよい。
ダイエットが目的の場合は、夕食をこのスープに置き換えると効果的。おなかがいっぱいになるまで、スープは何杯食べても大丈夫。1~2週間たったら、スープ+たんぱく質を食べることを心がけるとよい。
基本の食べ方以外に、みそやカレー粉、酢などで味付けしてもおいしい。味付けなしでそのまま食べても、もちろんOK。
食べるときに、他の具材をプラスしてもOK。キノコやノリ、キムチ、肉、ツナなどを加えても。

朝食抜きはNG!3食きちんと食べる

ダイエットに成功しても、その体重を維持するのは難しいもの。私も20kgの減量に成功してから、体重維持のために、ジュースやスープなどで試行錯誤を続けました。

その経験から、私は太りにくい体を維持するには、以下のことが大事だと考えています。「腹ペタスープ」でのダイエットを実践していただく際には、ぜひ、こうしたことも気をつけてみてくださいね。ダイエット効果がアップするはずです。

食生活のポイント

ダイエットの効果を維持し、太りにくい体を保つためには、よりも栄養バランスの整った食生活が大事です。

カロリーオーバーな食生活が続けば、当然太ります。また、とったカロリーをエネルギーや体温として消費するためには、栄養素が必要です。

例えば、ご飯などの糖質を消費するにはビタミンB1の、揚げ物などの脂質を消費するには、ビタミンB2の助けが必要です。他にも、野菜の持つビタミンやミネラル、抗酸化物質は、肥満や老化の予防に役立つといわれています。

ですから、太りづらい体になるための第1歩は、1日3食をきちんと食べること。栄養不足に陥らないように、一汁三菜を意識して食べてください。

ただ、忙しいときなど、毎食、しっかりとした量の野菜を食べられない日もあるはずです。そんなときは、頑張り過ぎずに、腹ペタスープなどを活用して、次の食事で多めに野菜をとりましょう。

ただし、筋肉を作るたんぱく質は体にためづらい栄養素です。たんぱく質は、できるだけこまめに食べましょう。

また、食事は1食抜くと、次の食事の後に血糖値が上がりやすくなるといわれています。食後の血糖値が急上昇すると、血糖を脂肪にして蓄えるホルモン・インスリンが多く分泌されるため、太りやすくなります。朝はどうしても食欲がないという方は、せめてヨーグルトだけでも食べてください。

ピーマンやニンジンなどの生でも食べられる野菜は、買ってきたらすぐに切り分けて、野菜スティックとして冷蔵保存しましょう。調理の手間が省けますし、小腹が空いたときには、おやつ代わりになります。野菜スティックやキャベツの千切りは、すし酢に漬ければ風味が増して、日持ちもします。

夕食は、ご飯やパンなどの炭水化物の量を控えめに。日中と比べると夕食後は活動量が少ないため、カロリーを消費しづらいからです。

食べること以外でストレスの発散を

日常生活のポイント

太りにくい体を維持するには、ストレスや不安をため込まない生活も肝心です。

ストレスや不安の多い生活が続くと、甘い物に手を伸ばしがちになったり、過食に陥ったりしがちです。ストレスを感じたとき、心配事があるときの、自分なりの発散法をぜひ見つけてください。

ゲームやドラマ鑑賞などを楽しんだり、熱いシャワーを浴びたり、音楽を聴いたりなど、手法は何でも構いません。食べること以外の発散法を見つけましょう。

1日の終わりに、十分な睡眠で心身を休めるのも大事です。夜は早めに床に着きましょう。睡眠中は、脂肪の分解を促したり筋肉の成長を促したりする成長ホルモンも分泌されます。

スマートフォンやパソコンなどを寝る直前まで扱うのも、避けてください。ブルーライトが目に入ると、睡眠を促すホルモンの分泌が妨げられて眠りにつきづらくなります。

心身を休めるためには、リラックスした姿勢で寝るのも大事です。私は、タオルを丸めた物を首の下に当てて寝ています。こうすると、縮こまっていた首すじが伸びるのか、朝にスッキリと気持ちよく起きることができるのです。

普段ネコ背の人は、おなか周りに脂肪がつきがち。そんな人は、寝る前に、ふとんの中であおむけになり、丸めたタオルを肩甲骨の間に置いてみてください。10分ほどこの姿勢を維持すれば、背すじを伸ばしやすくなります。

40歳を過ぎると、筋肉が衰えがちです。余力がある人は、普段の生活の中で運動量を増やしてみましょう。いつもの買い物も、少しだけ大また・速歩きを心がけるだけで運動量は増えます。また、運動はストレス発散にも役立ちます。

腹ペタスープを食べるとともに、これらもぜひとり入れてみてください。ダイエット効果がさらに上がり、リバウンドもしにくくなるはずです。

医師からのコメント
みやま市工藤内科院長・糖尿病内科医 工藤孝文

ダイエットや健康維持のために、具だくさんの野菜スープを活用するのは、とてもお勧めです。低カロリーで満腹感が得られる上、野菜に含まれるファイトケミカルなどのさまざまな有効成分を、効率よくとることができるからです。

温かいスープをとることで体が温まるので、代謝もアップし、太りにくい体づくりにも役立つでしょう。なるべく薄味にして食べれば、味覚がリセットされて、太りやすい味の濃い物を、あまり欲しなくなるのも利点です。

また、健康的にやせるためには、たんぱく質をしっかりとることも重要です。野菜スープに、肉や豆腐などのたんぱく質豊富な食材をプラスするのもよいですね。

画像: この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。

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