実際の施術で、脊柱管狭窄症の方の反り腰を矯正すると、症状の改善がみられます。そこで考えたのが、「外股足踏み」です。ポイントは、つま先を外側に向けること。やってみるとわかりますが、骨盤が起きて、腰がまっすぐになります。そして、しっかり足を上げることで骨盤をまっすぐに支えたり、足を上げたりするための腸腰筋が鍛えられます。【解説】児玉昴弘(整体院 昴[AKI] 総院長)

解説者のプロフィール

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児玉昴弘(こだま・たかひろ)

整体院 昴[AKI] 総院長。2010年国際東洋医療柔整学院卒業、国家資格の柔道整復師を取得。整形外科いのうえクリニック、いなば鍼灸整骨院、パーソナルジムVADYを経て、2017年整体院 昴AKIを開業。2019年ハワイ大学マノア校にて解剖実習課程修了。2020年、テレビ番組「ゲツキン」にゴットハンドとして出演。
▼整体院 昴[AKI]

つま先を外側に向けその場で足踏みする

私は大阪で、腰の悩みを専門とする整体院を営んでいます。腰の悩みの中でも、特に50代以降の方に多いのが、脊柱管狭窄症です。

これまで多くの方々に接し、さまざまな勉強を重ねてきた中で、私は「反り腰が脊柱管狭窄症をつくる」という考えに至りました。

脊柱管狭窄症の人の多くは、歩くときに反り腰になっています。腰が反ると、腰椎が伸展します。それによって神経が圧迫され、痛みやしびれなどの症状が現れるのです。

その証拠に、脊柱管狭窄症の特徴的な症状である間欠性跛行は、歩くと痛みが出ますが、座って休むとらくになります。これは、歩いているときに腰が反って神経が圧迫され、座るとその圧迫がなくなるからです。

実際の施術でも、脊柱管狭窄症の方の反り腰を矯正すると、症状の改善がみられます。これらのことから、反り腰を治すことが脊柱管狭窄症の症状を改善し、歩く距離を延ばすことにつながると、私は確信しています。

そこで考えたのが、「外股足踏み」です(やり方は下項参照)。

ポイントは、つま先を外側に向けること。やってみるとわかりますが、つま先を内側に向けると骨盤が前に倒れ、バランスを取ろうとして腰が反ってしまいます。逆に、つま先を外に向けると骨盤が起きて、腰がまっすぐになります。お尻をキュッと締めると、骨盤がさらに安定します。

その状態で30回足踏みをするのですが、もう1つのポイントは、ひざが骨盤の位置より上にくるよう、しっかり足を上げること。これによって骨盤をまっすぐに支えたり、足を上げたりするための腸腰筋が鍛えられます。

運動不足の方は、腸腰筋が弱って足が上げづらくなったり、骨盤が前傾し、それをカバーするために反り腰になったりしていることが多いのです。

10mも歩けない人が旅行に行けるようになった

腸腰筋を鍛えるためにも、外股足踏みは朝晩の1日2回、継続して行うことが大切です。普段歩くときも反り腰になると意味がないので、外股を意識してください。外出前に外股足踏みをしておくと、腸腰筋が動きやすくなるのでお勧めです。

外股で腰の骨がまっすぐになり、腸腰筋がしっかり働けば、歩ける距離は確実に延びます

Sさん(50代・男性)は、間欠性跛行で10mも歩けなかったのが、外股足踏みと当院での施術で、2ヵ月後には旅行に行けるくらい長い距離を歩けるようになりました。

もちろん、間欠性跛行に限らず、腰痛、足のしびれ、痛みといった脊柱管狭窄症の症状にも、効果は期待できます。

Yさん(40代・男性)は、手術をしたにもかかわらず痛みが再発し、病院では仕事復帰は不可能と言われていました。しかし、当院での施術と外股足踏みを続けたところ、腰を曲げて歩いていたのが普通に歩けるようになり、今はトラック運転手の仕事に復帰されています。

外股足踏みは、壁に手をついて行っても構いません。立ってやるのが難しい方は、いすに座って行っても結構です。その場合は、いすの前の方に座り、つま先を外に向けて背すじを伸ばし、10cmほどひざを上げるだけで大丈夫です。

歩ける距離が延びるのは大きな希望になるはず。自宅で簡単にできる外股足踏みを、試してみてはいかがでしょうか。

なお、排尿障害・排便障害のある方、つま先立ちができない方など、重度な脊柱管狭窄症は手術が必要な場合もあるので、医師に相談してください。

外股足踏みのやり方

画像1: 外股足踏みのやり方

左右の足のつま先をそれぞれ中心から15~30度ほど外側に向けて立つ。
つま先を外側に向けたまま、その場で30回足踏みをする。
※これを行うと重心が後ろにかかり、歩くときに反り腰にならない。

画像: 【脊柱管狭窄症】原因は反り腰?歩ける距離が延びる「外股足踏み」のやり方

転倒注意!
足を高く上げるので、くれぐれも転倒にはご注意を。転ばないように、あらかじめ壁に手をついて足踏みしてもOK。

画像2: 外股足踏みのやり方

ポイント
ひざの角度が約90度になるよう、しっかり足を上げる。これによって骨盤をまっすぐに支えたり、足を上げたりするための腸腰筋が鍛えられる。

[別記事:病気の原因から手術の相談まで脊柱管狭窄症がよくわかるQ&A→

画像: この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年6月号に掲載されています。

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