人の頭の重さは4~5kgあり、頭を下に向けることが多いと頸椎に負担がかかり、肩こりや首こり、頭痛につながります。また、目の酷使も肩こりや首こり、頭痛や眼精疲労につながります。このような不調の改善に、自分でできる手軽な方法として、ラップの芯を使った「首ほぐし」をお勧めしています。【解説】森谷恵子(美容鍼灸サロンジュノン院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

森谷恵子(もりや・けいこ)

美容鍼灸サロンジュノン院長。美容師、鍼灸師、あんま指圧マッサージ師。shu uemura化粧品美容教育課にインストラクターとして勤務。病院や企業での公演も多数行う。80年からメークアップアーチスト学院講師のかたわら、マスコミ関係のフリーとして活躍。92年、美容鍼灸サロンジュノンを横浜に開設。2016年、サロンを神楽坂に移転し現在に至る。著書に『還暦過ぎても、肌美人!』(ギャップジャパン)がある。
▼美容鍼灸サロンジュノン

後頭部のたくさんのツボを一度に刺激できる

私は約30年、鍼灸師としてお客様の美容・健康をサポートし、のべ10万人以上のかたに施術を行ってきました。

最近は肩こり、首こりのほか、後頭部に違和感や痛みを覚える「後頭神経痛」のかたが増えています。

これは、コロナ禍による外出自粛やリモートワークで、頭が下へ向いて姿勢の悪い時間が増えたことが原因と考えられます。首の筋肉が硬直し、血流が悪くなって、痛みを生じているのです。

成人の頭の重さは4~5kgあり、それを支えているのが7つの頸椎(首の骨)です。

頭を下に向けることが多いと、重い頭を支える頸椎に負担がかかり、肩こりや首こり、頭痛につながります。肩や首のコリが悪化すれば、痛みが現れることもあります。

また目の酷使も、肩こりや首こり、頭痛や眼精疲労につながります。マスクの紐による、耳への長時間の負担も影響しているかもしれません。

このような不調には鍼治療が有効ですが、自分でできる手軽な方法として、私はラップの芯を使った「首ほぐし」をお勧めしています。

首ほぐしの考案は、知人が顔のマッサージにラップの芯を使っていることを教えてくれたことがきっかけです。それ以前に、私もラップの芯で肩をたたいてほぐしていましたが、知人が教えてくれた要領で、後頭部をマッサージできるのではないかと思ったのです。

後頭部の頭蓋骨の切れ目の部分には、たくさんのツボが集中しています。代表的なものには亜門、天柱、風池などがあり、いずれも刺激すると、肩や首のコリを鎮めたり、血流をよくしたりする効果があります。

ラップの芯を使えば、首の筋肉をほぐすとともに、こうしたツボを一度に刺激できます。芯がしっかりしているので何度でも使えますし、フィルムを使い切ったあとに再利用すればいいので、お金もかからない点もすぐれています。

さっそく自分でも毎日行ったところ、肩や首のコリが楽になり、目がスッキリしました。「これならお客様に勧められる!」と確信できたのです。

押し当てると少し痛むところを重点的に!

首ほぐしのやり方は、下項をご参照ください。ラップの芯はなるべく細い物を使うといいでしょう。マッサージがしやすくお勧めです。

ポイントは、痛気持ちいい力かげんで行うこと。押し当てると少し痛むところが、特にこっている場所です。重点的にマッサージしましょう。利き手と反対側がこっているケースが多いので、参考にしてください。

ただし、首をケガをしていたり、寝違えていたりするときは、避けてください。あまりにも痛むときは控え、無理をしないでください。

回数や時間を増やすほど効果が現れるというわけではないので、1日4~5セット行えば十分です。気になったときに行ってください。たいせつなのは、継続して行うこと。毎日忘れず行えるように、ラップの芯はテレビの横など、目に見えるところに置いておきましょう。

首ほぐしは、早ければその日のうちにコリの解消や目がスッキリするのを実感できるでしょう。頭と顔は一枚皮でつながっているので、顔のリフトアップやむくみ解消にも役立ちます。ぜひ皆さんも毎日、続けてください。

首ほぐしのやり方

※以下を1セットとして、1日に4~5セット行う。
※痛気持ちいい力かげんで行う。
首をケガをしている、寝違えている、行うと痛みが大きいときは避ける

ラップの芯を両手で持ち、後頭部の頭蓋骨の切れ目(ぼんのくぼ)に当てる。芯を左右に傾け、押し当てると特に痛むところや、痛気持ちいいところを探す。

画像1: 首ほぐしのやり方

ラップの芯をグッと押し当てながら、首を少し後ろに倒す。その状態で4~5往復程度、痛気持ちいいところからずらさずに、ラップの芯を小刻みにグイグイと傾けてほぐしていく。
2cm程度ずつラップの芯を下へずらしながら、②を行っていく。首のつけ根辺りまで行う。

画像2: 首ほぐしのやり方

①~③で当てたほうと反対側に首を少し傾け、浮き出た胸鎖乳突筋(首の横)の上部にラップの芯を当てる。4~5往復程度コロコロと小刻みに転がしてほぐす。
2cm程度ずつラップの芯を下へずらしながら、④を行っていく。肩と腕の境目まで行う。

画像3: 首ほぐしのやり方

ラップの芯で1分程度、首や肩をたたく。

画像: この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。

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