解説者のプロフィール

村井俊治(むらい・しゅんじ)
東京大学名誉教授。1939年生まれ。東京大学工学部を卒業後、東京大学生産技術研究所で測量工学、空間情報工学を研究。83年、東京大学教授に就任。国際写真測量・リモートセンシング(遠隔探査)学会会長などを歴任。著書は50冊にのぼり受賞多数。2017年、測量工学分野で「世界の10人」に選出される。アジア地域で“リモートセンシングの父”と呼ばれる、測量工学における世界的権威の一人。測量工学的アプローチによる「地震予測」を02年に開始。以降、研究に尽力している。
ドクダミには血流促進をヨモギには抗老化を期待
私は今年83歳になりますが、40歳のときから、「自分の健康は自分で守る」というポリシーのもと、食事面や運動面でさまざまな工夫と配慮をしながら暮らしてきました。
おかげで43年近く、内科的な領域では医師の世話になったことがありません。首から上、つまり眼科、耳鼻科、歯科については、自分で見て治せないので定期的に通っていますが、現状どこも悪いところはなく、すこぶる元気です。
こうして長く健康を保っている私ですが、少し前まで、唯一弱点がありました。それは、おなかをこわしやすい体質です。
幼いころに赤痢になった影響で胃腸が弱いところに、つい食べ過ぎると、もういけません。すぐに下痢をしてしまいます。おなかを下すたび「これが治れば、より健康になれるのに」と残念に思っていました。
しかしここ数年で、こうした体質に明らかな変化がありました。おなかをこわすことがなくなったのです。自覚している健康問題はすべてクリアでき、「人生で今がいちばん体調がいい」と感じています。
この変化に貢献したと考えられるのが、自家製の「ドクダミヨモギ茶」です。
私がこの薬草茶を作り始めたのは10年以上前のこと。きっかけは、どうやら緑茶にアレルギーがあるらしいと知ったことです。
「かわりに何を口にするのがよいだろう」と検討するうち、薬草茶に目が向きました。そして「整腸作用」「血流促進作用」という観点から選んだのが、ドクダミでした。
血流を重視したのは、このころ眼科で「左目に緑内障の疑いがある」と指摘を受けたためです。緑内障は、眼底(眼球の底部)の血流が影響します。
薬草を調べるうちに、「抗老化作用」「免疫力向上作用」などがあるというヨモギにも、興味を持ちました。
しかし、市販の薬草茶はけっこうな値段がします。買うとなったら毎日続けられません。
思案するうちに「それなら自分で作ればいいじゃないか」と思い立ちました。こうして、ドクダミヨモギ茶作りが、私の年中行事となったのです。
登山や泊まりがけの出張にも持っていく!
私の住まいは、東京の郊外です。人や犬が足を踏み入れず、車の排気ガスもかからない場所に目をつけてあり、そこのドクダミとヨモギを毎日のウォーキングついでに取ってきます。
春から夏にかけては、ビニール袋を手に、空のリュックを背負って出発。リュックを満杯にして帰ってきます。
ドクダミを取るのは、花が咲くのを待ってからです。根ごと引き抜いた全草をザルに広げ、日の当たる部屋で干します。
一方ヨモギは、春先から摘み始め、稲穂のような花が咲き始める前まで採取します。茎ごと束にした物を、室内に吊るして乾燥させます。いずれも部屋干しにするのは、うっかり雨露に当たるのを避けるためです。干している間は、部屋中がさわやかないい香りで満たされます。
カラカラに乾いたら、ドクダミもヨモギも適宜ハサミでカットし、段ボール箱に収めます。カビ対策に、乾物などについてくる乾燥材を入れて保管するとなお安心です。

村井先生の干したヨモギ
すぐに飲む分は、ドクダミもヨモギも併せて瓶に入れ、台所においておきます。
飲むときは、この瓶から葉をひとつかみ、大きなヤカンに投入。ほかに、庭で採れたビワの葉や柿の葉なども、少量ずつ入れますが、メインはあくまでもドクダミとヨモギです。
水を2Lほど入れて強火にかけ、少し沸騰させたら火を止めます。冷めてきたところで茶をこし、別のポットに移します。葉を取り出さずに長くおくと、味が落ちるからです。だいたい2日かけて飲み切るので、2日に1回は作っています。
家でドクダミヨモギ茶を飲むのは私だけ。朝は紅茶を、昼はコーヒーをそれぞれ1杯ずつ妻とともに飲んでいますが、それ以外の水分補給は、すべてドクダミヨモギ茶に頼っています。
私は数年前まで、3000m級の山に登ったり、年に20回ほど海外出張に行ったりしていましたが、どこにでもこのお茶を携行していました。泊まりのときは茶葉を持参し、部屋のポットで沸かします。講演会にも水筒で持っていき、演台に出された水は丁寧にお返しします。もはや伴侶のような存在です。
こうして飲み続けたところ、いつしか、おなかを下すことがなくなりました。腸の状態が変わったのでしょう、毎日きちんと、いい状態の便が出ます。
緑内障を疑われた目の状態も悪化しておらず、年にしては肌もツヤがあるほうです。カゼをひくこともありません。
孫は遊びに来るたび、「じいじのお茶ちょうだい!」と喜んで飲んでいます。子供にも飲みやすい味で、健康に大きく寄与してくれます。皆さんもぜひこの春は、ドクダミやヨモギを摘みに出かけてみませんか。
[別記事:ドクダミとヨモギのお勧め活用法 お茶、入浴剤、化粧水、オイルの作り方→]

この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。
www.makino-g.jp