ザワークラウトは、キャベツと塩だけでできる、とてもシンプルな発酵食品です。保存もきくので、常備しておくと、忙しいときでも野菜を手軽にとることができて便利。ただ、うまく発酵させるには、いくつか押さえておかなくてはならないポイントがあります。【解説】おのみさ(こうじ料理研究家)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

おのみさ

こうじ料理研究家、イラストレーター。1968年、東京生まれ。2010年、『からだに「いいこと」たくさん 麹のレシピ』(池田書店)を発行。塩こうじブームの火つけ役となる。最新刊に『発酵来福レシピ90のおいしい料理と暮らしの知恵』(山と渓谷社)がある。

米国の発酵カルチャーのリーダーからコツを習得

初めてみそ作りに挑戦したときのこと。ジッパーつき保存袋で作ったら、袋がパンパンにふくらみました。空気を抜いても、またしばらくするとふくらんでくる── その「菌が生きて、呼吸をしている姿」に魅せられて、私は発酵のとりこになりました。

以来、いろんな発酵食品を作って食べているうちに、悩みだったアトピーが改善し、自分自身の体調がよくなっていくことを実感。ますます発酵にのめり込むようになりました。今では、わが家のキッチンには、さまざまな発酵食品が所狭しと並んでいます。

今回はそのなかから、近年人気が高まっている、ザワークラウト(乳酸発酵キャベツ)の作り方を紹介しましょう。

ザワークラウトは、キャベツと塩だけでできる、とてもシンプルな発酵食品です。保存もきくので、常備しておくと、忙しいときでも野菜を手軽にとることができて便利。冷蔵庫にソーセージしかないときでも、ザワークラウトを添えるだけで立派な食事になります。

ただ、うまく発酵させるには、いくつか押さえておかなくてはならないポイントがあります。発酵に失敗すると、変なにおいがしたり、腐ったりすることがあります。

実は私も、以前は失敗をくり返しました。でも、アメリカの発酵カルチャーのリーダー、サンダー・キャッツ氏が来日した際、ワークショップに参加して作り方を教えてもらってからは、上手にザワークラウトが作れるようになりました。

皆さんにも、そのポイントを伝授しましょう(作り方は下項を参照)。

ポイントはキャベツが空気に触れないこと

まず知っておいていただきたいのが、ザワークラウトの発酵のしくみです。ザワークラウトは、キャベツについている乳酸菌が、キャベツの糖分を食べて乳酸を出すことで、酸味のあるおいしい発酵食品になります。

乳酸菌は、「空気が嫌い」という性質を持っています。ですから、空気を極力入れないことが、おいしいザワークラウトを作るポイントになります。

ポイント❶
キャベツはしっかりもんで水分を出し、その水分に浸らせた状態にする。

切ったキャベツに塩を加えたら、手でギュッとつかんで混ぜていきます。キャベツから水分を出すつもりで、強くもみこんでください。日ごろのストレスを発散するように力を込めましょう!

キャベツの水分が少ないときは、2%の塩水を作って加え、キャベツが水分に浸った状態にしてください。

ポイント❷
容器に入れるときは、できるだけ空気を抜く。

瓶で作る場合は、めん棒などでギューギュー押して詰めていきます。キャベツを詰めたら、表面も空気に触れないよう、キャベツの外側のかたい葉(外葉)を折りたたんで、詰めたキャベツの上にギュッと乗せてふたをします(下の写真参照)。外葉には乳酸菌がたくさんついているので、それらが発酵の手助けにもなります。

画像: おのみささんのザワークラウト

おのみささんのザワークラウト

ちなみに、キャベツは洗っても乳酸菌がゼロになることはないので、きれいに洗って使ってくださいね。この2つのポイントを守れば、ほぼ失敗なく作れるはずです。

なお発酵の過程では、キャベツについている酵母菌も、キャベツの糖分を食べて微量の炭酸ガスを出します。プクプクと気泡が出てくる様子をながめるのも、楽しいものです(冬はあまり気泡が出ません)。

ただし、瓶いっぱいにキャベツを詰めるとあふれることがあるので、7分目くらいにとどめてください。瓶のふたもきっちり閉めずに上にのせておくだけにするか、ときどき開けてガス抜きをしましょう。

キャベツが黄色っぽくなり、味見して好みの酸っぱさになったら完成です。冬なら1週間くらい、夏ならもっと早く発酵します。そのあとは冷蔵庫に入れて、1ヵ月ほど保存可能です。

私はこれをカレーやパスタに添えたり、ハムやチーズとともに食パンにのせてホットサンドにしたり、ギョウザの具にしたりします。クミンなどのスパイスやカレー粉、ニンニクなどを加えて味を変えてもおいしいですよ!

乳酸菌は、体の中の悪い物を吸着して排出する働きもあるそうです。キャベツの食物繊維と発酵食の力で、腸内環境を整える効果も期待できます。

そのせいか、外食が続いたり、脂っこい物を食べ過ぎたときにザワークラウトを食べると、体が喜ぶ感じがします。アルコール分解酵素もあるようで、お酒も残りにくいと感じています。

次のレシピを参考に、ぜひ皆さんも試して、発酵の魅力を味わってください。

おのみささんの
ザワークラウトの作り方

画像1: おのみささんの ザワークラウトの作り方

材料
キャベツ・・・1/4個(300g) 
塩…小さじ1(6g)
※キャベツの重量の2%の塩

画像2: おのみささんの ザワークラウトの作り方

キャベツは芯を取って、2~5mm幅のせん切りにする。

画像3: おのみささんの ザワークラウトの作り方

①をボウルに入れ、塩を加える。手でキャベツの水分を出すようにギュウギュウ押しながら混ぜる。キャベツがしっとりしてきたら清潔な保存瓶やジッパーつき保存袋に入れる。

画像4: おのみささんの ザワークラウトの作り方

瓶の場合、めん棒などで押しこみ空気を抜く。空気に触れないようキャベツの外葉でふたをして、常温でおく。外葉がない場合は表面にラップをかけ、小皿などで重しをする。ジッパーつき保存袋で作る場合は、空気を抜きながら閉じる。好みの酸味になったら(1週間が目安)冷蔵庫に移す。

画像5: おのみささんの ザワークラウトの作り方

お勧めアレンジレシピ
おからとザワークラウトサラダ

材料
おから…100g
ザワークラウト…130g
ツナ缶…1缶(70g)
 豆乳ヨーグルト(普通のヨーグルトでも可)…大さじ6(90g)
 粒マスタード…小さじ2

おからを電子レンジで2分くらい加熱するか、から煎りする。
ボウルにⒶを入れてよく混ぜ、粗く刻んだザワークラウトとおからを混ぜる。

画像: 【ザワークラウトの作り方】失敗なしでおいしく作れる!人気料理研究家おのみささんの発酵レシピ

ポテトサラダ風でおいしいですよ!

画像: この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年6月号に掲載されています。

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