健康な髪の維持にはバランスのよい食事、良質な睡眠、適度な運動習慣、ストレス解消の4つが必要です。頭皮マッサージは、これらの生活習慣を改善する補助として役立ちます。また、食事のポイントは鉄分や亜鉛、たんぱく質やビタミンB群です。【解説】田路めぐみ(松倉クリニック医師)

解説者のプロフィール

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田路めぐみ(たじ・めぐみ)

松倉クリニック医師。1997年、東京大学医学部医学科卒業。虎の門病院外科レジデント修了後、東京大学形成外科医局に入局。帝京大学や国立国際医療センターなどで研鑽を積み、焼津市立総合病院、国保旭中央病院にて形成外科科長を務める。美容や形成外科、再建外科として活躍するほか、自身の薄毛経験を生かした総合育毛治療が好評。著書『東大医師が教える最強の育毛革命~ラーメンやめれば髪は勝手に生えてくる』(集英社)が好評発売中。

頭皮環境改善の底上げにマッサージが役立つ

若々しく健康な髪の維持にはバランスのよい食事、良質な睡眠、適度な運動習慣、ストレス解消の4つが必要です。

頭皮マッサージは、これらの生活習慣を改善する補助として役立ちます。それぞれの関連性を見ていきましょう。

バランスのよい食事

髪や皮膚を作るのに重要なのが、食事でしっかり栄養をとることです。ただし、健やかな髪を育てるには、食事でとった栄養を頭部までしっかり行き渡らせる必要があります。

頭皮マッサージを行えば、頭部周辺の血流がよくなり、食事でとった栄養を毛母細胞(髪の毛の元になる細胞)に効率よく届けられるようになります。

良質な睡眠

髪の成長に最も大きく関わるのが、睡眠時に放出される成長ホルモンです。このホルモンの分泌量を増やすには、良質な睡眠が必要です。

頭皮マッサージには、後述するストレスなどが原因でこわばった筋肉をほぐし、緊張をゆるめる効果があります。これが深い睡眠にもつながります。

適度な運動習慣

適度な運動は、ストレスの緩和やホルモンバランスの改善、睡眠の質の向上に効果的です。

頭皮マッサージは、運動後の筋肉をほぐし、こうした効果を高めます。背骨や首周りをほぐすストレッチとあわせれば、より頭部の血流が改善しやすくなるでしょう。

ストレス解消

ストレス過多が続くと、頭部にある静脈の出口付近がうっ血し、後頭部の筋肉がこわばりやすくなります。そのため、強いストレスがあると、後頭部に白髪が増えるのが特徴です。また、髪の色素を作る「メラノサイト(色素生成細胞)」は、ストレスや酸欠に弱い傾向があります。

こうしたストレスの解消にお勧めなのが、頭皮マッサージ。頭皮をほぐすことで、後頭部のこわばりが解消する上、筋肉や気持ちを適度にゆるめてリラックスするのにも役立ちます。

頭皮マッサージのやり方は、自分が心地よいと感じられればどんなものでも構いません。

血流やリンパ(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れが集中する耳の上からこめかみ、筋肉がこわばりやすい後頭部、頭を帽子のように覆っている筋膜(帽状腱膜)がある前頭部から頭頂部を中心にもみほぐすとよいでしょう。

頭のリンパ流し」は、同様の場所をまんべんなくほぐすので、頭皮の環境をよくするのに効果的な方法だといえます。

ただし、痛みを感じるときは無理をしないこと。特に薄毛の人は、頭皮も薄く、硬くなっている場合が少なくありません。そうした人は、筋肉の柔軟性が低下し、頭皮が動かなくなっています。痛みが強いときは無理をせず、手のひら全体を当てて優しくほぐすとよいでしょう。

[別記事:頭の老廃物を流して白髪や薄毛を改善!「頭のリンパ流し」→

ミネラルやたんぱく質を意識的にとるべし

薄毛や白髪の予防には、前述した生活習慣の見直しも重要です。ここでは、食事のポイントを紹介しましょう。

薄毛に悩む患者さんを見ていると、亜鉛不足の人が目立ちます。亜鉛は、体内では細胞分裂の盛んな場所で必要とされるミネラルで、毎日髪を作る毛母細胞でも欠かせない栄養素です。

亜鉛不足の人は、傷の治りの遅さや味覚障害なども見られます。これらの症状に心当たりがある人は、亜鉛が他の食品よりも豊富な、牛赤身肉、レバー、カキなどを意識して食べるとよいでしょう。

また、鉄不足も薄毛や白髪の原因となります。鉄は、頭皮の軟らかさを保つコラーゲンの産生や、酸素を運搬するヘモグロビンの材料として使われるミネラルです。これが不足すると髪の成長が阻害されるだけでなく、青あざができやすくなったり、便秘や寒気などの不調が生じやすくなったりします。

ただ、鉄も亜鉛も、長期間体内で不足した状態が続くと消化管の消化吸収力が低下し、鉄分や亜鉛の豊富な食材を食べても補完しづらくなります。こうしたミネラルの不足傾向がある人は、食事の改善だけでなく、サプリメントを数ヵ月間集中してとることをお勧めします。

また、髪のトラブルで悩む人の多くは、髪の材料となるたんぱく質や、髪の代謝に必要なビタミンB群も不足しています。

こうした栄養を一気にとるのに役立つのが、肉や魚、シーフード類といった動物性たんぱく質。ただし、一つの食材だけ食べるのは栄養バランスの面でよくないので、大豆製品や乳製品など他のたんぱく質が豊富な食品もうまく取り入れましょう。

生活習慣を見直して、頭皮マッサージも行えば、頭皮環境は自然と改善していくはず。若々しい髪を作るために、さっそく実践してみましょう。

頭皮環境を改善する4つの生活習慣

❶バランスのよい食事
・亜鉛……牛赤身肉、レバー、カキ、貝類、エビ、カニに多く含まれる
・鉄分……赤身肉、レバー、貝類がお勧め
・たんぱく質+ビタミンB群……両方が摂取できる、肉、魚、シーフード、卵、豆類、乳製品がお勧め

❷良質な睡眠
少なくとも3~4時間の持続した深い睡眠をとれるとよい

❸適度な運動習慣
軽い筋トレ+ジョギングなどの有酸素運動の組み合わせがお勧め。終わった後はストレッチも忘れずに

❹ストレス解消
運動などで適度に発散すると◎

頭皮マッサージとあわせて行えば、薄毛・白髪の改善に役立つ!

画像: この記事は『安心』2022年5月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年5月号に掲載されています。

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