解説者のプロフィール

高杉保美(たかすぎ・ほみ)
業界最大手プライベートジムにて、2,000人以上に栄養指導してきた酒飲み・元デブ管理栄養士。重力に負けないカラダづくりを食事から徹底的にサポート。ダイエットの敵であるストレスに負けない栄養指導をライフスタイル別・体質別に行う。自身も、管理栄養士の資格を取得後に半年間で15kgのダイエットに成功!著書に『ずぼら管理栄養士が教える ずるやせダイエット』(WAVE出版)がある。
動脈硬化の予防や脳の活性化にも役立つ
私は、「元デブ」を自認する管理栄養士です。10年前の私の写真を見ると、ほとんどの方が「別人みたい!」と驚かれるほど、太っていました。
私はずっと、ダイエットとリバウンドをくり返す生活を送っていました。その生活の中で、食事の栄養管理の重要性を痛感し、それがきっかけで管理栄養士の資格を取得。そして、食事の見直しで半年で15㎏のダイエットに成功しました。現在はその体験を生かし、多くの方の食事指導に携わっています。
そんな私がお勧めするダイエット食材は、「オートミール」と「サバ缶」です。
●オートミール
オートミールは、オーツ麦を食べやすく加工したもので、食物繊維が豊富に含まれます。
食物繊維には、善玉菌のエサになり便の軟らかさを維持する水溶性食物繊維と、便のカサを増して、蠕動運動(腸が内容物を肛門の方へ送る動き)を促す不溶性食物繊維があります。
オートミールには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が1対2と、バランスよく含まれています。常食すれば便秘を予防し、太りづらい体質になるでしょう。また、豊富な食物繊維の効果で腹持ちがよく、食べ過ぎや間食を防げるという利点もあります。
食物繊維は、食後の血糖値の急上昇も防ぎます。それにより肥満だけでなく、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の予防も期待できます。
他にもオートミールには、糖質の代謝を促すビタミンB1や、ビタミンE、鉄、カルシウムなども含まれています。
●サバ缶
サバ缶はたんぱく質が多く、ビタミン、ミネラルもバランスよく含まれる食材です。
特徴的なのが、DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸を豊富に含むことです。これらの油には、中性脂肪値の低下や動脈硬化の予防、脳の活性化などの働きがあることがわかっています。
さらにEPAには、体内でやせホルモンとも呼ばれる「GLP-1」の分泌を促す働きもあります。GLP-1は過剰な食欲を抑える物質で、ダイエットの強い味方になってくれます。
ストレスが少なく続けやすいのもメリット
このように、オートミールもサバ缶も、ダイエットや健康のために日頃からとりたい食材ですが、これらをあわせて一緒に食べれば、より効果が期待できます。
栄養バランスのよいサバ缶ですが、食物繊維はほとんど含まれていません。そこにオートミールを加えることで食物繊維がプラスされ、さらにバランスが整うからです。
オートミールとサバ缶の組み合わせには、ストレスなくダイエットを続けられるという利点もあります。
ご存じの通り、過剰な糖質の摂取は、肥満や老化につながります。とはいえ、全く糖質を食べない生活はストレスとなります。私にも覚えがありますが、ストレスの多い食生活は長続きしません。
穀物であるオートミールには糖質が含まれています。しかしその量はご飯やパン、麺類などと比べるとかなり少なめ。そこで、適度な脂質を含むサバ缶とあわせれば、食後の満足感が高まります。ストレスの少ない、続けやすいダイエット食となるのです。
ただし、オートミールとサバ缶の組み合わせには、ビタミンCが含まれません。調理の際には、ビタミンCを含む野菜を追加するとよいでしょう。
お勧めは、オートミールとサバの水煮缶に、トマトジュースを加えて作るリゾットです(作り方は下記参照)。
油の酸化を防ぐため、サバ缶は加熱後にのせるのがお勧めです。また、食べるときに、サバの良質な脂質が溶け出している水煮の汁も加えるといいでしょう。このリゾットは、生徒さんたちにも「簡単に作れる」「満腹感がある」「おいしい」などと好評です。
栄養バランス抜群!サバ缶とオートミールのトマトリゾット

材料(1人分)
オートミール(クイックオーツ)…30g
トマトジュース…200ml
塩…適宜
サバ水煮缶…1/2缶分
刻みネギなどの薬味…適量
❶レンジ対応容器にオートミールとトマトジュース、塩を入れて混ぜ、電子レンジ(600W)で1分加熱する。
❷①にサバ缶をのせ、刻みネギを散らす。
※塩は入れなくてもよい。
オートミールとサバ缶は、低カロリーな上、栄養が豊富ですが、だからといって食べ過ぎはよくありません。
オートミールは1食30gを目安に、1日1~2食にとどめましょう。活動量が多く、糖質を燃焼しやすい朝食・昼食時に、ご飯の代わりに食べるのがお勧めです。
また、オートミールやサバ缶は、食べ過ぎるとお通じがゆるくなることがあります。胃腸が弱い人は、お通じの様子を見ながらお試しください。
[別記事:やせる、腸内環境が整う、血糖値の急上昇を防ぐ!中高年に最適の食品「オートミール」→]

この記事は『安心』2022年5月号に掲載されています。
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