解説者のプロフィール

鈴木きよみ(すずき・きよみ)
足裏研究家。自由が丘で延べ30万人以上の足を見る。その中で培ってきた経験をベースに、独自の足の裏ほぐしの理論と技術を確立。企業でのセミナーやスクールでの講師、TVや雑誌など、幅広い分野で活躍中。近著『すべての不調は足裏を見ればわかる!』(ワン・パブリッシング)好評発売中。
西洋式と東洋式を研究して誕生した「足の裏ほぐし」
私がサロンを開業してから、はや30年がたちます。当初は主に美容を目的としたエステトリートメントを行っていましたが、その場で結果を出せても、効果が長く続かないお客さまもいました。何か根本から体質を改善する方法がないかと探すうちに、東洋と西洋の2つの足裏療法に出合ったのです。
東洋式の足裏療法は、東洋医学の経絡(気・血・水の通り道)の理論を用いつつ発達してきました。
経絡は、頭から足の指まで全身を通っていて、内臓はもちろん、重要な神経、血管などとも通じている、いわば心身の健康の要です。足の裏には、その経絡のスタート地点が数多くあって、刺激すると体の反応が出やすいと考えられて発展しました。
一方、西洋式の足裏療法は、反射区といわれる足の裏の特定のゾーンを刺激します。ゾーンと対応する体の臓器や、腰やひざといった各部位の不調を改善するという反射療法(リフレクソロジー)です。
私は、こういった東洋と西洋の足裏療法を施術に取り入れました。すると、伝統的な足裏療法のゾーンを示す図や押し方だと、現代の日本人の体には反応が鈍いものがあると気づきました。それを解消するため、独自に検証をくり返したのです。
そうしてできたのが、従来の足裏療法と異なる「足の裏治療マップ(下項参照)」です。
このように考案した「足の裏ほぐし」を、これまでに30万人以上に施術してきました。そして多くの方々の足の裏を見てきて、発見したことがあります。
それは、足の裏各部の色や形、シワ、触ったときの感覚や反応が、その人の体質や体調の変化を現しているということです。
足の裏を見ることで、ご本人の持病を見抜くことはもちろん、まだ自覚のない隠れた病気の発見にも役立てられます。今回は、ほんの一部ですが、そういった病気や不調の足の裏の兆候を紹介しています。
足の裏診断
足の裏には、反射区というゾーンがいくつもあります。このゾーンは、内臓や腰、ひざといった全身のいろいろなところと相関があり、調子が悪いところをほぐすことで、対応した部分が元気になるのです。
それだけでなく、機能が落ちたり、病気になっていたりすれば、対応するゾーンにシワ、角質などといった兆候が現れることもあります。ここでは、「糖尿病」「高血圧」「認知症・物忘れ」「尿トラブル」の4症状のリスクが高くなっている足の裏の兆候を解説します。
糖尿病の足の裏
【兆候1】右足の方が角質が多かったり、黄色味を帯びていたりと状態が悪い
【兆候2】土踏まず(主に「膵臓」のゾーン)に横ジワが多数入っている
【兆候3】第1指と第2指にすき間が見られる
【兆候4】第5指の根元の下に1円硬貨に近い大きさ、形状の角質がある

解説▶︎糖尿病傾向にある方の足の裏で、最もわかりやすいのが足の左右差です。右の足の裏の方が荒れていることが多いと、糖尿病に注意が必要です。兆候2をはじめ、「胃」「十二指腸」「食道」など消化器系のゾーンに横ジワが入るという特徴もあります。
高血圧の足の裏
【兆候1】「心臓」のゾーンに赤みが見られ、押すと極端に痛みがある
【兆候2】「小脳・脳幹」のゾーンがぷっくりと腫れている
【兆候3】足指の皮がむけたり、角質が多かったりと荒れている

解説▶︎3つの兆候は、どれも血流が悪いことが原因だと考えられます。高血圧だと、第1指全体や「小脳・脳幹(兆候2)」のゾーンが腫れる傾向にあります。兆候2、3と、足指に多くの変化が現れることも、血液が末端まで届かないからでしょう。
認知症・物忘れの足の裏
【兆候1】全部の指が短く、バランスが悪い
【兆候2】足幅が横に広がっている

解説▶︎認知症の方は、足指が短くなっています。この兆候は顕著で、かなりの割合の方がこのようになっているのです。まだ認知能力に問題がなくても、予防のために別記事で紹介している症状別のほぐし方を試していただきたいと思います。
尿トラブルの足の裏
【兆候1】「膀胱」のゾーンにシワがある

解説▶︎頻尿、尿もれなど、排尿関係のトラブルがある方は、「膀胱」のゾーンのシワが目立ちます。また、「腰椎」のゾーンにシワが出るので、これらの部分を重点的に押しほぐすことで、症状の改善が期待できます。