「マルマ」とは古来インドに伝わる「ツボ」のようなもの。仏教とともにマルマが中国に伝わり、ツボとして現地化していったのではと推測されています。そのマルマを刺激して、老眼、夜間頻尿、不眠、花粉症、耳鳴り、めまい、腰痛、ひざ痛など、さまざまな不調を治す手技が「マルマセラピー」です。【解説】橋本和哉(はしもと内科外科クリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

橋本和哉(はしもと・かずや)

はしもと内科外科クリニック院長。1988年、大阪大学医学部大学院修了。医学博士。2002年にはしもと内科外科クリニックを開業。臨床にヨガをとり入れて高い成果をあげている。『医師がすすめる「おふとんヨガ」』(マキノ出版)など著書多数。
▼はしもと内科外科クリニック

アーユルヴェーダの「マルマセラピー」とは?

マルマとは

当院では、2016年から、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)秘伝の特効療法「マルマセラピー」を臨床にとり入れています。

マルマ」とは、古来インドに伝わるツボのようなもの。そのマルマを刺激して、さまざまな不調を治す手技がマルマセラピーです。よく知られる「ツボ」は、仏教とともにインドから中国に伝来し、マルマが現地化していったものだと推測されています。

古くは、マルマセラピーは国王とその指揮官、兵士のみの秘伝でした。そのため、現地でもマルマセラピーというものがあることは知られていましたが、実際にどのように使うかは明確ではありませんでした。

その数千年にわたって秘伝だったメソッドを体系化し、現代に復活させたのが、インドのウッタラカンド アーユルヴェーダ大学副学長で、外科医のS.K.ジョーシ先生です。ジョーシ先生は、約30年間で数万人の患者さんをマルマセラピーで治療しています。

当院でマルマセラピーをとり入れるようになったきっかけは、当院のスタッフでNPO法人「癒しと健康ネットワーク」の金子栄子副理事長が、2011年に現地でその威力を目の当たりにしたことでした。報告を受けた私は、すぐにマルマセラピーの研究を始めました。

パーキンソンや狭窄症の歩行困難がその場で改善

マルマセラピーの最大の特徴は、即効性です。しかも、難病に対して驚くほどの即効性があるのです。

そのことは、2012年から2016年にかけて3回にわたってジョーシ先生を日本に招き、マルマセラピーのセミナーを開催したときに証明されました。参加者を壇上に上げ、ジョーシ先生がマルマを刺激したところ、パーキンソン病や脊柱管狭窄症があって歩行困難だった人たちが、その場でスッと歩けるようになったのです。

さらに、ALS(筋萎縮性側索硬化症)で身動きすらできなかった人の足が、わずかながら動いたことは驚きでした。

「セルフマルマ」で使う20箇所を大公開!

マルマは人体に107箇所あるといわれていますが、当院で実際に使っているマルマは約30種類。また、自分で行う「セルフマルマ」の場合は、そのうちの約20種類です(下の図参照)。

画像: 今回のセルフマルマで使うポイントを示した図。「※」のついた「ククンダラ」は、本来はセルフマルマで使うものではないが、腰痛に効くマルマということで、特別にこの図に入れてある。

今回のセルフマルマで使うポイントを示した図。「※」のついた「ククンダラ」は、本来はセルフマルマで使うものではないが、腰痛に効くマルマということで、特別にこの図に入れてある。

人にやってもらう場合も、自分でやる場合も、全てのマルマを刺激するのが理想ですが、特定の症状の改善が目的の場合は、その症状に対応するマルマだけを刺激しても結構です。

ほとんどのマルマは体の左右対称にあるので、可能なら両方を同時に押します。片方ずつしかできない場合は、男性は右→左の順。女性は左→右の順で刺激します。男性と女性とでは、体内に流れるエネルギーが異なるので、その方が効率的といわれています。

刺激するのに使うのは、原則的に親指の腹です。ただし、部位によっては、他の指のほうが押しやすい場合もあります(下項の症状別のやり方を参照)。

自分の心拍のテンポに合わせて、ポンプのように押したら離すことを3回くり返します。何らかの症状がある人は、症状に対応するマルマを15~18回押してください。むやみに強く押すと逆効果ですが、弱過ぎても効果がありません。刺激が自覚できる強さで、まっすぐ押しましょう。

悪いところがあると痛みを感じるので、そういうときは、無理にやる必要はありません。自分の体調を見ながら、無理のない範囲で、1日に朝晩の2度行ってください。

なお、
①満腹時、飲酒時、生理中、妊娠中は避ける
②刺激に道具は使わない
③炎症のある部位は刺激しない
という3点を守りましょう。

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