実は以前、2004年にアテネ五輪の最終予選でドバイに遠征した際、代表チームの23人中18人が下痢になり大変な状況に陥った中でも、私はなんともありませんでした。緑茶と梅干しはそれぞれ殺菌作用がありますから、食事を通じて悪い菌が入ってくるのを防いでくれたのかもしれません。【体験談】鈴木啓太(サッカー元日本代表・AuB株式会社代表取締役)

プロフィール

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鈴木啓太(すずき・けいた)

サッカー元日本代表。静岡県に生まれ育ち、幼い頃からサッカーを始める。中学校時代はサッカーの全国大会で優勝。Jリーグの浦和レッズに入団すると、中心選手として活躍。現在は、自らが立ち上げたAuB株式会社の代表取締役として、アスリートの腸内細菌を大学と共同で研究している。
▼AuB株式会社

健康のために腸に着目

家伝の梅干し緑茶で下痢知らず!

私は、サッカー選手を引退後、人々の健康づくりに貢献したいと思い、腸内環境について研究する会社を設立しました。

きっかけの一つは、現役時代に足繁く試合を観に来てくれるファンと交わした会話です。その古参ファンから、「もう60歳を過ぎて、スタジアムに通うのがしんどくなってきたよ」と言われたのです。

いくら好きなことでも、体力や体調に問題があると、楽しむ気力も失われてしまう……。いつまでも人生を楽しく過ごす土台はやはり〝健康〟だと痛感しました。

健康のために、私が着目したのが〝腸〟です。というのも、自分自身、幼少期から母に、「人間は腸が大事。毎日、自分のうんちを観察しなさい。バナナのようなうんちを出して健康管理をしなさい」と言われて育ってきたからです。

確かに、便秘でおなかが張ったり、調子が悪かったりすると、バナナ便とはほど遠いものになります。そして、常に観察を続けていると、どんな食事が自分に合っているのかもわかってきます。

そんな腸の大切さを説く母は、調理師をしていました。腸活を意識してのことかはわかりませんが、振り返ればおやつには納豆、ノリ、梅干しなど腸にいい食品が定番だったのです。

そのようにして育った私が、腸活の一環としてよく飲んでいるのが、「梅干し緑茶」です。これは、もともとは祖父がやっていたもので、茶わんに梅干しを1個入れて、温かい緑茶を入れて飲むものです。

梅干し緑茶は、サッカーの日本代表で海外遠征に行った際もよく飲んでいました。梅干しと緑茶のティーバッグを必ず持参していたので、同じ日本代表の選手たちは不思議に思っていたかもしれません(笑)。

実は以前、こんなことがありました。2004年にアテネ五輪の最終予選でドバイに遠征した際、代表チームの23人中18人が下痢になり、チームが大変な状況に陥ったのです。そうした中でも、私はなんともありませんでした。

考えてみると、緑茶と梅干しはそれぞれ殺菌作用がありますから、食事を通じて悪い菌が入ってくるのを防いでくれたのかもしれません。

緑茶には免疫力(病気に対する抵抗力)を活性化させる作用があるともいわれますし、梅干しには唾液の分泌を促して消化機能を高める働きがあります。それらが、腸内環境を整えるのに役立ったのではないかと思います。

画像: 鈴木啓太さんのお母様手作りの梅干し(左)と、それで作った梅干し緑茶(右)

鈴木啓太さんのお母様手作りの梅干し(左)と、それで作った梅干し緑茶(右)

おなかを冷やさない

腹巻きで腸の温度が0.5℃アップ!

もう一つ、気をつけているのは、「おなかを冷やさない」ことです。これは、現役時代から気をつけています。

おなかが冷えると、血行が悪くなるからでしょうか、筋肉が硬くなり、体の動きが明らかに悪くなるのです。若い頃、練習を見ていたトレーナーに「昨晩、冷たいものをたくさん飲んだでしょ?」と言い当てられたこともあります。おなかの冷えは、サッカー選手にとっては死活問題です。

その対策として、私は「腹巻き」を愛用しています。夏場でも腹巻きは欠かせません。これも母から教えられたものです。

会社を立ち上げてから、わが社で腹巻きと腸の関係を調べたことがあります。研究では、腹巻きをつけたときと、つけていないときの、直腸の深部体温を1日中測りました。その結果では、腹巻きを巻くと、だいたい0.5℃も直腸の深部体温が高くっていたのです。

おなかが冷えることは、単にアスリートの動きの問題だけでなく、消化不良やおなかの張りなど多くの不調の原因にもなるといわれています。ですから、腹巻きもおなかの冷え対策に、ぜひご活用いただきたいと思います。

アスリートと一般人の腸内環境の違いを研究

さて、最後に私たちの研究を簡単にご紹介します。私は、アスリートと一般の人の腸内環境(腸内細菌の分布)にはどんな違いがあるかを調べています。

研究のためには、検体となる便を集める必要があります。多くのアスリートに協力してもらい、4年で1000以上の検体を集めることができました。

研究の結果、アスリートの腸内には、一般の人の約2倍ほども「酪酸菌」がいることを突き止めました。酪酸菌とは、腸に届いた食物繊維を分解し、酪酸や酢酸を作る細菌のことです。これらの酸が腸内の悪玉菌を抑制し、善玉菌を増やす効果があるのです。

なぜ、こうした違いが生じるのかは現在さらに研究中です。アスリートの多くは食事に気を使っていることに加え、運動も腸内環境に影響を及ぼすのだろうと推測しています。

より研究が進めば、皆さんの便にまつわる悩みの解決に役立てられるかもしれません。

画像: この記事は『安心』2022年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年4月号に掲載されています。

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