プロフィール

かのまん
1984年生まれ。生後半年の子どもをベビーチェアから持ち上げた瞬間にぎっくり腰になったことがきっかけでダイエットを決意。自己流ダイエットでの失敗・迷走を経て、パーソナルジムに通うことを決意。京角省吾トレーナーの指導により、18㎏のダイエットに成功する。2020年3月にSNSで自身のビフォーアフター写真を公開したところ、大反響を得る。著書に『人生が変わる! かのまん整形級ダイエット』『何度でも立ち上がる! かのまんダイエットの戦い方』(ともに永岡書店)がある。
▼Twitterアカウント:@kanotantan
産後のストレスで暴食し体重がドカンと増えた

Before:2018年 体重64kg・体脂肪率40%
After:2020年 体重48kg・体脂肪率24%
上の写真をご覧ください。これは、2018年の私と、その2年後の私の姿です。
体のサイズが全くと言っていいほど異なりますが、別人ではありません。この2年で、体重は64kgから46kgに(身長は160cm)、洋服のサイズはXLからSに変わったのです。
この激変の秘密は、たんぱく質たっぷりの食事と筋トレにあります。その経緯について、これからお話ししましょう。
もともと私は、運動が大嫌いで、電車に乗り遅れそうなときでも走らないタイプです。それでも、若い頃は食事を減らすだけで、すぐに5kgほどやせられました。
しかし、30代の妊娠・出産後に激太りした上に、全くやせなくなってしまったのです。原因はおそらく、慣れない環境で孤独な育児をしていたことでストレスがたまり、食べ物に救いを求めたことでしょう。
当時の食生活は、なかなかにひどいものでした。朝食は、子どもを抱っこしながら菓子パンをカフェラテで流し込んでいましたし、子どもが泣き止んだタイミングで、おやつのチョコをひとかじりしていました。
そんな生活を続けた結果、体重65kg、体脂肪率は40%という「マシュマロマン」のような体形になったのです。
2018年の写真は、そのときに行った痩身エステで撮られたものです。これを見たときはあまりの醜さに、3日間寝込むほど落ち込みました。
筋トレとたんぱく質が豊富な食事を開始
ボディビルダーの減量期メニュー「沼」は見た目がちょっと…
そんなとき、ひと回り年上の友人の体が、筋トレで見違えるほど引き締まったのです。「これだ!」と思った私は、彼女にトレーナーさんを紹介してもらい、筋トレを開始しました。
たんぱく質が豊富な食事をとるための指導も受けたのも、このときです。別世界の住人だと思っていたマッチョトレーナーさんは、栄養バランスのよいメニューも教えてくれました。
ただ、その中には、私の口に合わなかったり、見た目があまりよくないものも……。
例えば、ボディービルの大会に出場するような本格派マッチョが、減量期によく食べる「沼」というメニュー。これは、鶏むね肉と野菜、ワカメ、干しシイタケなどを一緒に煮込んだおかゆのような栄養食です。
味は悪くないのですが、問題は見た目です。沼という名前にふさわしい、ぐっちゃりとしたビジュアルが難点でした。
美味しそうなビジュアルの「泉」を考案
そこで私は、鶏むね肉だけで作ったおかゆに、残りの具材をのせる方法で作ってみました。すると、見た目が美しい、おいしそうな料理になったのです。
「沼」よりも清らかな見た目から、このメニューを「泉」と命名(作り方は下項)。今もよく作っている一品です。
このメニューの利点は、小分けにして冷凍保存ができるところ。レンジで加熱できる保存容器を使えば、忙しい朝などにもすぐに食べられます。
また、鶏むね肉がホロホロとやわらかく、ご飯もとろみがあって食べやすいので、高齢者にもお勧めです。90歳の私の祖父も喜んで食べてくれています。
余談ですが、私は歯科衛生士という職業柄、高齢の患者さんとよく接します。皆さんのお話しを聞いていると「肉が大好き」という人ほど、お元気なのがわかります。
おそらく、お肉でしっかりたんぱく質をとっているため、フレイル(心身機能が低下した要介護1歩手前の状態)や、サルコペニア(筋肉量が減少し身体機能が低下した状態)の予防になっているのでしょう。
「ふわ焼き鶏むね肉」を毎日のたんぱく質摂取に役立てる
産後の薄毛や肌荒れ、爪割れも改善した
さて、私のダイエット方法ですが、1日に体重1kg当たり1.6gのたんぱく質を食べながら、軽い筋トレを行いました。筋トレといっても、当初は腰が悪かったこともあり、リハビリのような軽いものでした。
このとき、毎日のたんぱく質摂取に役立った食材が、先ほども登場した鶏むね肉です。なんといっても安価なので、これを活用しない手はありません。
しかし、鶏むね肉はパサパサしがちなのが難点。これを克服するために考案したのが、下項で紹介している「ふわ焼き鶏むね肉」です。
これは、エビの中華炒めを参考にした作り方です。片栗粉、砂糖、酒をよくもみ込み、加熱し過ぎないことで、しっとりやわらかな食感に仕上がります。
ふわ焼き鶏むね肉は、シンプルな味付けなので、おやつ代わりにそのまま食べたり、和洋中のいろんな料理にアレンジしたりできます。私の場合は、一度に鶏むね肉3枚分を作り、常に冷蔵庫に常備しています。
忙しい朝は、これをみそ汁に放り込むだけで、たんぱく質を摂取できます。調理の時間があるときは、ホットドッグ風にしたり、ショウガ焼き風にしたりすれば、おいしくておなかにたまる1品にもなります。
こうした生活を続けて2年が過ぎた頃、気づけば18kgも体重が落ち、体形も引き締まっていました。
さらに、産後薄くなっていた髪や、肌の調子も改善。今まではよく割れていた爪も、今はきれいに伸ばせます。
鶏むね肉だけじゃない!
かのまん流・超らくちんなたんぱく質のとり方
❶ 高たんぱくな食材を、気分に合わせて食べる
さっぱり系の料理が食べたいときは、メカジキなどの魚を使ってたんぱく質を補給。ギリシャヨーグルトや魚肉ソーセージは、「おやつを食べたい!」と騒ぐ"脳内豚"をなだめるのに活用しました。特に魚肉ソーセージは、ピーラーで薄くして電子レンジで加熱するだけでポテトチップス代わりになります。
❷ 忙しい日は「プロテイン」も活用!
忙しい日やイマイチ食欲がない日は、調理も食事も面倒なもの。そんなときは、市販のプロテイン飲料でたんぱく質をとるのもひとつの手です。スプーン1杯分を牛乳などに溶かして飲むだけで、1食分のたんぱく質が補給できます。
料理を作るのも、食べるのも大好きな私にとって、「脂質と糖質を抑えればいくら食べてもOK」というダイエット法はありがたかったです。
また、2年かけて、焦らずにゆっくりと体重を落としたのもよかったのだと思います。
ダイエット中は、つい甘い物に手を伸ばしてしまったり、献立に手を抜いてしまったりすることも。それで自己嫌悪に陥った経験がある人も多いのではないでしょうか。
しかし、ダイエットは長期戦ですし、たった1日の行動で全てが水の泡になるわけではありません。もし誘惑に負けてしまっても、一瞬ずれた軌道を修正すればいいだけの話なのです。
「甘い物は、今も大好きだけどDV(家庭内暴力)気質な元彼。私の体に本当に必要なのは、優しい今彼、鶏むね肉なの。ちょっと心が揺らいだけど、今彼のもとへ帰るわ!」といった具合に、誘惑の原因と楽しく付き合いながら、少しずつやせポイントをためていくことが、ダイエットを成功させる秘訣です。
ひとつ行動を変えるだけでも、何もしないでいた頃の自分より偉いのです。その行動を1日、2日、3日……と続けられたらもっと偉い。そんなふうに自分を育てていったら、人生は楽しくなるはずです。鶏むね肉レシピを、ぜひその成長の1歩にしてみてください。