新型コロナで怖いのは感染症そのものの症状だけではありません。「新型コロナ後遺症」が大変深刻なのです。最も多くのかたが悩まされているのが「倦怠感」。症状が出たら、自分の限界以上に体を動かさず、休息に努めることが大原則です。かつ、決して無理をしないこと。だるくなりそうだったら、すぐ横になって休んでください。無理してがんばると、症状は着実に悪化します。【解説】平畑光一(ヒラハタクリニック院長)

3000人を診察した医師が回答!コロナの後遺症Q&A

Q1. 後遺症かどうかの判断はどこでしたらいいでしょうか?

A1.
現時点では、明確にこれといえる基準はないといっていいでしょう。「倦怠感」は、新型コロナ後遺症(以下コロナ後遺症)の患者さんのほとんどが訴える症状ですが、軽症のうちは、ただの慢性疲労感と区別がつきにくいのです。

しかし、病状が進行すると、PEMという現象が起こります(詳しくは上項参照)。これは、買い物などの軽い負荷をかけたのち、その行動の直後ではなく、数時間後~数日後に強い倦怠感を覚える現象です。もしもPEMと思われる症状が出た場合には、コロナ後遺症を発症している可能性が高いとみていいでしょう。

また、後遺症独特の症状があります。例えば、「どうしようもないだるさ」「薬で治らない頭痛」「円形脱毛ではなく、全体的に毛が薄くなる脱毛」「嗅覚異常(ことに煙のにおいや焦げたにおいがする)」などです。

また、コロナ後遺症の場合では症状が併発することが多いので、記事冒頭の図にあるような症状が複数出る場合、後遺症の発症を疑ってください。

画像: 嗅覚異常は女性に出やすい

嗅覚異常は女性に出やすい

Q2. 複数の症状があるとき、何科にかかればよいでしょうか?

A2.
もしも近隣にコロナ後遺症外来があれば、まずはそこに相談してみるとよいでしょう。近くに後遺症外来がなければ、信頼できるかかりつけ医に相談するのもよいでしょう。

もし、かかりつけ医のかたが、後遺症の診察を多くしておられないようでしたら、ぜひ、当院のホームページに掲載している「軽症~中等症の新型コロナ後遺症対策チートシート」(下記リンク)を参考に、相談してみてください。

また、上項でお伝えしたように、一部の耳鼻咽喉科で受けられるEAT(上咽頭擦過療法)は、コロナ後遺症に関して、特効といってよい治療法だと私は考えています。ですから、できればEATが受けられる耳鼻咽喉科の受診を勧めたいと思います。

残念なことに、EATが受けられる耳鼻咽喉科は限られています。インターネットなどで調べるか、直接、近隣の耳鼻咽喉科病院に問い合わせるしかありません。

それでも、治りにくいとされる多くのコロナ後遺症の症状にEATは劇的に効きますから、病院を探す価値はあるでしょう。ただしコロナ後遺症に対するEATは、通常以上に継続的に受ける必要があるようです。ぜひ根気強く通ってください。

また、コロナ後遺症の諸症状に漢方薬は大変効果的です。当院でも患者さんに漢方を処方して、効果を実感しています。近隣の漢方内科や、漢方薬局に相談してみることも、一つの方法です。

Q3. ワクチンを打つことで後遺症の症状は悪化または改善しますか?

A3.
ワクチンを打つことが、現在進行形でコロナ後遺症に悩んでいるかたの症状にどう影響するかについては、「なんともいえない」というのが、現時点での回答です。

当院の患者さんでは、ワクチンを打ったあと、コロナ後遺症の症状が軽減したというかたもいれば、かえって悪くなったというかたもいて、両者は同数くらい。「どちらともいえない」というかたが大多数です。

しかし、もしもあなたがまだ新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)にかかっておらず、ワクチンを打っていないなら、打つことをお勧めします。ワクチンによって新型コロナにかかることを防げれば、それがコロナ後遺症のいちばんの予防にもなるからです。

海外の調査では、ワクチンを打つことで、新型コロナにかかっても、後遺症になる確率が半分になるというデータも出ています。

画像: ワクチンによるコロナ予防は後遺症予防にもなる

ワクチンによるコロナ予防は後遺症予防にもなる

Q4. オミクロン株や、その後遺症について、わかっていることは?

A4.
オミクロン株は、一般的には、感染力が強力ながら、重症化例は少ないといわれています。取材時点(2022年1月下旬)では、私自身はオミクロン株の急性期の患者さんは診ておらず、はっきりしたことはいえません。

ただし、オミクロン株からの回復後と見られる複数の患者さんの様子からは、味覚・嗅覚における後遺症は少ないように見受けられます。

一方で、一部では、「脳に霧がかかったような症状(ブレインフォグ)」(上項参照)が多い可能性がある、といった報道も見られます。まだ全貌は明らかになっていませんので、今後、注意が必要です。

この記事で解説したコロナ後遺症への対処法は、ある程度オミクロン株にも有効だと考えられます。罹患した場合は、ぜひ参考にしながら、療養に努めてください。

Q5. 新型コロナが無症状でも、後遺症になることはあるのでしょうか。

A5.
新型コロナは感染しても、無症状であることが多くあります。知らない間に感染し、後遺症だけを発症するケースは、実は少なくありません。

新型コロナにかかった自覚がなくても、記事冒頭にあるような症状が複数現れ、悩んでいるかたは、一度コロナ後遺症を疑う必要があるかもしれません。

特に現在流行中のオミクロン株は、軽症のかたが多く、無症状感染者も多くいると考えられます。そのようなかたのなかに、コロナ後遺症が出てくる可能性があると考えています。

Q6. 発症後、後遺症にならないためにできることは?

A6.
まずはしっかりと療養することが肝心です。仕事や家事などはせず、休んでください。倦怠感の自覚がなくても、少なくとも3~4ヵ月は激しい運動を避けてください

当院の患者さんのなかには、新型コロナから回復後、1年経ってからゴルフに行き、それをきっかけに後遺症を発症した、というかたもいます。

運動は軽いストレッチ程度にとどめ、ゆっくりと過ごすことがたいせつです。調子が戻らないなら、より長期間、運動を控えるようにしてください。

Q7. 家族や友人が後遺症になったとき、どう接すればよいでしょうか。

A7.
「案外元気そうだね」とか、「体力が落ちてしまったでしょう。少し体を動かしてみたら?」などと励ますことはやめてください。

コロナ後遺症で最も多い症状が倦怠感です。悪化するとその症状はたいへんに重く、当院の患者さんでは「歯ブラシを持つことさえしんどい」というかたもいました。体に強い負荷をかければ、これらの症状はさらに悪化します。

このため、当面の間、患者さんが体を動かしたくなるような励ましや言葉がけは、できるだけ避けたほうがよいのです。むろん、「もう治ったでしょう」「いつまで休むの」などというのは論外です。

コロナ後遺症の症状の一つとして「気分の落ち込み」もありますから、周囲の無理解はいよいよ患者さんを孤立させ、メンタル面でも追い込んでしまいます。

「困ったことはないか」「手伝えることはないか」など言葉をかけて、患者さんに救いの手を差し伸べてください。

オミクロン株が爆発的に流行している現在、新型コロナ及びその後遺症は、いよいよ誰もがかかるおそれのある病気となっています。困っているかたを助けられるよう、社会全体で、できるだけよいサポート体制を構築していく必要があるでしょう。

画像: 社会全体でサポートを!

社会全体でサポートを!

画像: この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。

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