糖尿病は血管の病気でもあります。悪化すると、過剰な糖でドロドロになった血液が体内の細い血管にダメージを与え、合併症を加速させます。アズキには利尿作用を持つ「カリウム」が豊富に含まれ、血圧が下がって血液がスムーズに流れます。さらに、「サポニン」という成分には、血管をきれいにする作用があります。血管の内壁にある余分な脂を溶かすのです。【解説】三浦直樹(みうらクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)

みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。「難病といわれてもあきらめない」をモットーに、鍼灸や整体などの手技療法、マクロビオティックや薬膳、漢方などの食事療法などを、必要に応じて組み合わせ、自然治癒力を引き出す治療(統合治療)を行っている。近著に、『薬だけに頼らず病気を治す 家庭療法の教科書』(マキノ出版)がある。
▼みうらリニック

小豆は血糖値の上昇を抑え合併症の予防にもなる

私のクリニックでは、西洋医学と自然療法を組み合わせた統合医療を実践しています。そのなかで、私が糖尿病の患者さんに勧めている食材の一つに、アズキがあります。

アズキには、高血糖の改善に加え、糖尿病の合併症を防ぐ効果も期待できます。その根拠について、説明しましょう。

血糖値の安定に役立つのは、アズキの「自然の甘味」です。糖尿病の食事療法で、ほんとうに控えなければいけないのは、白砂糖や果糖ブドウ糖液といった、加工されて作られた「人工的な糖質」だと私は考えています。

人工的な糖質は、体内で素早く吸収され、血糖値が急激に上がります。すると、膵臓からインスリンが過剰に分泌され、今度は血糖値が必要以上に急激に下がります。この「血糖値スパイク」と呼ばれる血糖値の乱高下が膵臓に負担をかけ、糖尿病を悪化させるのです。

しかし自然の甘味を持つアズキには、糖質の吸収を遅らせる食物繊維が含まれており、血糖値の上昇を緩やかに抑えます。血糖値スパイクを防ぎ、膵臓のインスリン分泌のリズムを整えられるのです。

加えて、アズキに豊富に含まれる「アントシアニン」などのポリフェノールには、食後の血糖値の上昇を抑える作用のあることが、国内外の研究で明らかになっています。こうしたことからも、アズキは血糖値スパイクにつながりにくい、糖尿病の人にとって安心してとれる自然な甘みだといえます。

次に、合併症の予防効果について説明します。

糖尿病は血管の病気でもあります。悪化すると、過剰な糖でドロドロになった血液が体内の細い血管にダメージを与え、糖尿病網膜症、腎臓病、神経障害といった合併症を加速させます。

アズキには、利尿作用を持つ「カリウム」が豊富に含まれています。血液中の余分な水分が尿として排出されると、血液の全体量が減り、血圧は下がって血液がスムーズに流れます。体の水分を調整して尿を作る、腎臓にかかる負担も軽減します。

さらに、アズキに含まれる「サポニン」という成分には、血管をきれいにする作用があります。血管の内壁にある余分な脂を溶かすのです。動脈硬化を防止するとともに、毛細血管の目詰まりを解消し、血液循環も改善され、糖尿病の合併症予防につながるのです。

小豆を使った治療食として「小豆昆布」がおすすめ

アズキを使った治療食として、糖尿病の人にお勧めしたいのが「小豆昆布(アズキコンブ)」です。カリウムやサポニンは水溶性の成分なので、アズキの煮汁ごと食べるのがたいせつです。

コンブにはミネラルと食物繊維が豊富で、血流の改善や血糖値の降下、高血圧の改善などの健康作用があります。いっしょにとることで、アズキの薬効がより高まると考えられます。

アズキコンブは、1日に茶碗半分くらいを目安に食べるといいでしょう。間食としてとるのがお勧めです。自然の甘みは血糖値を急上昇させないので、糖尿病の人にも安心です。

アズキコンブを食生活に取り入れた患者さんのなかには、250mg/dl以上あった血糖値が100mg/dl前後まで下がるなど、良好な効果が出ています。

ただし腎臓病でカリウムの摂取を制限している人や、甲状腺の病気がある人は注意が必要です。心当たりがある人は、主治医に相談してください。

小豆昆布の作り方

画像: 小豆昆布の作り方

材料
アズキ…170g
コンブ…1枚(20×5cm)
塩…小さじ1/2
水…800ml

アズキを洗って水気を切り、水600mlと小さく切ったコンブといっしょに鍋に入れ、フタをしないで火にかける。
沸騰したら、水を足してフタをする。合計1カップの水を数回に分けて足しながら、アズキがやわらかくなるまで煮る。
塩で味を調えて出来上がり。
※1日に茶碗半分程度を食べる。何回かに分けてもOK。

画像: この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。

www.makino-g.jp

This article is a sponsored article by
''.