野菜を料理する際に、今すぐ使わない分もついでに切って干すことで、家庭からの食品ロスを減らすことができます。お財布にも環境にも優しいのが、干し野菜なのです。ゴボウは「干しゴボウ」にすることで使用頻度を増やすことができます。この記事では「干しゴボウの作り」」と美味しい「干しゴボウ飯」のレシピを紹介します!【解説】サカイ優佳子・田平恵美(DRYandPEACE)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

サカイ優佳子(さかい・ゆかこ:左)

田平恵美(たびら・えみ:右)

「乾物で世界をもっとPEACEに!」という信念のもと、「DRYandPEACE」としてユニットを組み活動する。11年、東日本大震災を機に、常温で長期保存できる乾物の可能性に着目し、普及活動を展開。各地で講座やイベントを開催し、現代のライフスタイルに合った乾物の活用法を発信している。『ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ』(主婦の友社)『乾物マジックレシピ』(山と渓谷社)など著書多数。
▼ DRYandPEACE (HP)

現代のライフスタイルに合った「乾物」

干し野菜はお財布にも環境にも優しい

皆さんはふだんの料理に、乾物を利用していますか? 乾物というと古めかしくとらえられがちですが、私たちは現代のライフスタイルに合った乾物の活用法を提案しています。

野菜の乾物といえば、切り干し大根が代表的ですね。ゴボウも、干して乾物にすると、とても便利です。

まず、野菜の乾物を使う利点を考えてみましょう。
野菜不足の解消につながる
調理の時短になる
風味や旨みが凝縮される
長期保存ができるので、食品ロス(食材の廃棄)が減る

昨今は、少人数の家庭が増えています。いろいろな種類の野菜を使いたくても、あれこれ買えば悪くなる前に使いきれず、泣く泣く捨てることもあるのではないでしょうか。そんな人にこそ、干し野菜です。

ただ、市販されている野菜の乾物というと、残念ながらまだまだ多くの種類はありません。そこでご紹介したいのが、自分で野菜を干すことです。特別な道具も不要で、簡単に干すことができます。

野菜を料理する際に、今すぐ使わない分もついでに切って干すことで、家庭からの食品ロスを減らすことができます。お財布にも環境にも優しいのが、干し野菜なのです。

ゴボウは「干しゴボウ」にして常備するのがおすすめ!

風味が際立つ!干しゴボウ飯が美味

話をゴボウに戻しましょう。ゴボウは、使う頻度の高い、例えばタマネギのような野菜ではありません。けれども、豚汁や筑前煮は欠かせませんし、「あったら入れたのに」と思うこともありますよね。

干しゴボウにして常備すればいつでも欲しいときに、ゴボウを料理に加えられます。すでに切ってあるので、汁気が多い料理なら、調理中の鍋にポイッと入れるだけ。手軽ですし、時短になるので、忙しいときにも重宝します。使う機会が増えることで、自然と野菜の摂取量が増え、日ごろの野菜不足の解消に貢献するでしょう。

ゴボウには独特の風味がありますが、干すことで風味や旨みも凝縮されるように感じます。

干しゴボウを作ったら、下項で紹介している「干しゴボウ飯」を、ぜひお試しください。ゴボウの風味が際立ち、とてもおいしくいただけます。

近年は、栄養学の観点から「ゴボウはアク抜きしないほうがよい」とする傾向があります。「酢水に漬ける」のは、特に初心者は白いほうが、ゴボウの黒さとカビの区別がつきやすいからです。慣れてきたら省略しても大丈夫です。

干す道具は、ザルでもいいのですが、お勧めは焼き網。ゴボウの下側にも空間ができ、乾きやすいためです。ただ、ささがきやせん切りの場合は網の目から落ちてしまうので、目の細かいザルやキッチンペーパーに並べるといいでしょう。

外で干す場合、野菜の水分が抜けて軽くなってくると、風で飛ばされるおそれがあります。ネットやザルなどをかぶせておくと安心です。

室内でも作れます。天日干しでも室内干しでも、「湿気の少ない日に干し始める」ことがポイントです。野菜の水分を早いうちに飛ばすことが重要で、カビがつくなどの失敗を防げます。晴れていても、大雨の翌日は避けましょう。天気が悪くなったら室内に入れ、扇風機で風を当てるといいでしょう。

使う際は、汁物や煮物など汁気の多い料理にはそのまま、きんぴらなどの炒め物にする場合は、水で15分ほど戻してから使います。戻した水にも風味と栄養が出ているので、みそ汁などに活用するといいでしょう。

ゴボウをもっと気軽に食卓に上げるため、ぜひ干しゴボウを作ってみてください。

干しゴボウの作り方

画像: 干しゴボウの作り方

材料(作りやすい分量。出来上がり目安=30g前後)
・ゴボウ…1本(150~200g)
・酢水(水1Lに酢大さじ1を加えたもの)…適量
・キッチンペーパー、焼き網やザル

ゴボウはタワシなどで洗い、土を落とす。皮はむかないまま、せん切りやささがき、または2~3mm厚さの斜め薄切りにする。表面積が広いほうが乾きやすい。
①を5~10分程度、酢水にさらし、キッチンペーパーなどで水気をふき、重ならないよう焼き網やザルに並べる。
3日~1週間かけて干す。空気が乾燥している晴れた日に干し始めるとカビなどの失敗が少ない。戸外が難しい場合は室内で干してもよい。カラカラになったら通気性のある紙箱や木箱に入れ、常温で保存(梅雨どきはチャック付き袋に入れて冷蔵庫保存)。

シンプルで美味!「干しゴボウ飯」のレシピ

画像: シンプルで美味!「干しゴボウ飯」のレシピ

材料(3~4人分)
・干しゴボウ…20g 
・米…2合
・水…600ml 
・ザーサイ(市販)…20g(みじん切り)
・酒…小さじ2
・ゴマ油…少々

米はといでザルに上げ、水を切る。
①と干しゴボウ、分量の水を炊飯釜に入れ、20分浸水する。
ザーサイと酒、ゴマ油を加え、普通モードで炊く。

画像: この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。

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