ゴボウは加熱して食べるのが一般的です。けれども発酵させることで、生でも食べやすくなります。発酵ゴボウをよくとるようになり得られた効果といえば、やはりお通じの改善でしょうか。また、生理痛やPMS(月経前症候群)がだいぶ緩和され、助かっています。【体験談】細野佑香(発酵料理研究家・『発酵ライフを楽しむウェブメディア haccola』ライター)

私が「発酵ゴボウ」を作るようになった理由

発酵食を取り入れたら体が変わった!

私が「発酵ゴボウ」を作るようになったのは、2年ほど前。このレシピは、それまでの私自身の発酵食に根差した生活から生まれたものでした。

さかのぼってお話しすると、大学生当時、私は過食に苦しんでいました。身長161cmに対し、体重は86kgまで増加。加えてうつ傾向もありました。

つらい日々からなんとか脱却したい一心で、健康に関する本や雑誌を読み、情報を収集。食の重要性に、あらためて気づかされたのです。なかでも、腸に働きかける食事は、心の安定にもつながると知ったことから、腸を整える発酵食に関心を持つようになりました。

手始めに塩こうじや漬け物を作り始め、発酵食を意識して食事に取り入れるうちに、体が変わりました。体調が上向き、心も安定。暴飲暴食しなくなったことでやせ始め、3年ほど経つと、体重は55kgほどまで減少しました。なんと30kg超もの減量に成功したのです。

その後も発酵食についての学びを深め、20代後半には、友人が開いたオーガニックカフェで調理を担当することに。そこで発酵料理の教室を開くようになり、今も発酵料理研究家として活動を続けています。

画像: 発酵食を勧める細野さん

発酵食を勧める細野さん

ドイツの発酵食、ザワークラウトをご存じでしょうか。よくホットドッグに挟んであったり、ソーセージに添えてあったりする、酸味のあるキャベツの漬け物です。

キャベツのせん切りを、2~3%の塩分で塩漬けにすると、植物にもともとついている乳酸菌の力で、発酵が起こります。材料はキャベツと塩だけなので初心者向けの発酵漬け物です。

ザワークラウトはキャベツですが、どんな野菜でも作ることができます。私はふだんから、キャベツのほかにも、白菜やニンジンなどさまざまな野菜で、発酵漬け物を作ってきました。

こうした経緯から「ゴボウを発酵させてみよう」と思い立ったのです。発酵ゴボウの作り方はキャベツとほぼ同じですが、ゴボウに水分量が少ないので、塩水に漬ける点が異なります。

発酵ゴボウの作り方のコツ

ゴボウを生で食べられて酵素や菌を生きたままとれる!

発酵ゴボウを作る量は、保存瓶の大きさによります。料理教室では「ゴボウは、瓶にきっちり収まる量。塩水は、ゴボウがしっかり浸る程度」とお伝えしています。私はたいてい一度にゴボウ2本を漬け込みます。

ゴボウはアクが強いので、加熱して食べるのが一般的です。けれども発酵させることで、生でも食べやすくなります。酵素や菌を生きたまま取り入れられるのも魅力だと思います。

3~5日ほどで発酵したら出来上がりですが、最初のうちはまだ、ほんのり塩味のゴボウといった感じです。時間が経つほどに、酢漬けとはまた別のさわやかな酸味が出てきて、ピクルスのような味わいになります。

いろいろな食べ方を楽しめますが、最も手軽なのは、そのまま漬け物としてポリポリいただくこと。細かく刻んでしょうゆとゴマ油で和え、カツオ節とともに、冷ややっこの変わり薬味にするのも乙なものです。

画像: 細野さんお手製の発酵ゴボウ(写真左)と、発酵ゴボウを使った巻きずし

細野さんお手製の発酵ゴボウ(写真左)と、発酵ゴボウを使った巻きずし

私はお通じが改善

発酵ゴボウをよくとるようになり得られた効果といえば、やはりお通じの改善でしょうか。

食物繊維が不足していたときは便秘気味で、カチカチとかための便でした。けれども今は毎朝きちんと、健康的な便が出るようになりました。体も軽く、朝から元気に活動できます。

また、以前は生理痛やPMD(月経前症候群)がひどく、生理の10日ほど前からイライラしたり、動けなかったりと、つらい症状がありました。これがだいぶ緩和され、助かっています。

発酵ゴボウは夫もお気に入りで、食卓に出すと喜んで食べています。体調もいいそうです。

コロナが始まる前までは料理教室を開いており、よく海外のかたも顔を出されていたのですが、いちばん驚かれたのが、この発酵ゴボウでした。ゴボウを食べるという食習慣自体、海外からすると珍しいうえ、ザワークラウトのゴボウ版というのが意表を突くようです。

発酵というと、どうしても難しくとらえられがちです。でも昔の人はこうした発酵食で冷蔵庫のない時代を乗り越えてきたと思えば、誰でも作れるはず。実際に試すと、ほんとうに簡単なうえ、毎日とり続けることで心も体も整います。

ぜひ、手始めに発酵ゴボウから作ってみてはいかがでしょうか。

食物繊維と乳酸菌がダブルで働く腸活食

〈解説〉南流山内視鏡おなかクリニック院長 前田孝文

ゴボウを乳酸菌発酵させるとは、発酵食で大幅減量に成功した細野さんならではのアイデアですね。発酵ゴボウを継続して食べると、食物繊維が善玉菌のエサになり、乳酸菌が乳酸を増やして、悪玉菌の棲みにくい腸内環境を作ります。

ダブルで腸に働く発酵ゴボウは体調を整えるのに役立つ、優れた腸活食といえるでしょう。

[別記事:ゴボウは便通を促す“食べる整腸剤”! 皮をむかずアク抜きせずに調理すれば最高→

発酵ゴボウの作り方

画像1: 発酵ゴボウの作り方

材料と用意するもの
・ゴボウ…適量
・約3%の食塩水(水100ml当たり塩3gを溶かした物)…適量(ゴボウの量と瓶の大きさにより調整)
・煮沸またはアルコール消毒した清潔な瓶

画像2: 発酵ゴボウの作り方

ゴボウはタワシなどで洗い土を落とす。皮はむかないまま、瓶の高さより数㎝短くなるよう長さをそろえて切り、瓶に立てて詰める。アク抜きはしなくてよい。

画像3: 発酵ゴボウの作り方

ゴボウに数cmかぶるよう、食塩水を注ぐ。しっかりとふたをし、常温に置き発酵させる。ゴボウが浮いてきても問題ない。発酵させている間はふたを開けない(雑菌が入るのを防ぐため)。

画像4: 発酵ゴボウの作り方

夏場なら3日、冬場なら5日を目安に瓶のふたを開ける。シュワシュワとガスが抜けたらふたを閉め直し、以降は冷蔵庫で保存する。

食べ方と保存など
食べやすくカットし、漬け物としてそのまま食べる。せん切りにしてサラダに加えたり、ドレッシングにしたり(下記参照)、生の食感と風味を生かした食べ方がお勧め。
食べる量や回数に決まりはない。体調により量を調整する。
瓶の中で食塩水に漬けたまま、冷蔵庫で保存。1年ほど日もちする。その間も緩やかに発酵が進むので、ときどきふたを開けてガス抜きをする。
ゴボウを食べ切ったあとの食塩水は乳酸菌が豊富なので、捨てずに飲むか、汁物やドレッシングに活用する。

どんなサラダにも合う!ゴボウドレッシング

画像5: 発酵ゴボウの作り方

材料
発酵ゴボウ…5cm分(薄切りにする)
ニンニク…1/2片
バルサミコ酢または米酢…30ml
オリーブオイル…30ml
水…20ml
塩こうじ…大さじ3(または塩小さじ1)

作り方
すべての材料を、ミキサーまたはフードプロセッサー、ブレンダーなどを用いて攪拌する。

画像: この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年4月号に掲載されています。

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