「耳鳴り」と「めまい」の患者さんたちの共通点、それは「あごのゆがみ」です。ご自身でゆがみを調えるのは難しいと思いますが、滞ったリンパ液と血液の流れを促すだけでも十分効果的です。そのためにお勧めしているのが「耳を温めること」。そして最も効果的だと感じたのが、「蒸しタオル」で温める方法です。【解説】板坂浩志(ひろ整体院院長)

解説者のプロフィール

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板坂浩志(いたさか・ひろし)

ひろ整体院院長。柔道整復師。体のゆがみを整え、腰やひざなどの痛みやこりの解消を目指す。耳鳴り、めまい改善のための施術にも力を入れている。
▼ひろ整体院

耳鳴り・めまいを訴える人の共通点に「あごのゆがみ」

あごのゆがみでリンパ液や血液の流れが悪化する

私の整体院には、体の痛みをはじめ、さまざまな不調を抱える方が訪れます。その中でも、トップクラスに多い悩みが、「耳鳴り」と「めまい」です。これらの症状は、病院へ行っても原因がよくわからず、治療を受けても思うように改善しないということも多くあります。

そんな患者さんたちの体を多く見ているうちに、私はある共通点に気づきました。それは、「あごのゆがみ」です。耳鳴りやめまいに悩まされているほとんどの方は、顎関節が正しい位置からずれているのです。

あごのゆがみは、全身のゆがみの現れでもあります。例えば、足を組んで座ったり、横向きで寝ていたりなど、体のどちらか片側に偏った姿勢によって全身がゆがんでくると、その影響があごに出やすいのです。

そして、あごの骨格がゆがんでくると、周辺のリンパ液(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)や血液の流れが滞りがちになるので、顔がむくみやすくなります。

さらに、耳の内部に流れるリンパ液が滞り、耳の後ろにあるリンパ節(耳介後部リンパ節)が詰まってきます。血流も悪くなるので、耳の各器官に血液が十分に行き渡らなくなります。

これらが原因で、耳鳴りやめまいが引き起こされると私は考えています。

症状改善のため、当院ではあごのゆがみを調えていますが、ご自身で行うことは難しいと思います。そこまでしなくても、滞ったリンパ液と血液の流れを促すだけでも十分効果的です。

滞ったリンパ液と血液の流れを促すセルフケア

耳を蒸しタオルで温める方法

そのためにお勧めしているのが「耳を温めること」です。そして、いろいろと試した結果、最も効果的だと感じたのが、耳を「蒸しタオル」で温める方法です(やり方は下記を参照)。

その理由は、蒸しタオルから発生する水蒸気にあると考えられます。じんわりとした温熱効果と水蒸気によって高いリラックス効果が得られて、リンパ液や血液の流れがより促されるのです。

他の温熱器具も試しましたが、一時的に温まってもあまり効果が持続しないとわかりました。おそらく、いったん上がった皮膚の表面温度がすぐに下がってしまうのでしょう。

一方、蒸しタオルは、じんわりと温めながら、水蒸気で皮膚に潤いを与えてくれます。これがいいのだと思います。

蒸しタオルを用意するには、ぬらしたタオルを電子レンジで温める方法が手軽ですが、適温のお湯にひたすだけでもOKです。

温度は私の経験上、高い方が有効というわけではなく、風呂のお湯の温度(40℃前後)くらいで十分に効果があります。お好みでもう少し高い温度でも構いませんが、いずれにせよ「じんわり温かい」くらいを目安にしてください。

蒸しタオル療法のやり方

画像: 蒸しタオル療法のやり方

タオルを水でぬらし、電子レンジで1分温める。目安は40℃。
5~10分ずつ左右両側の耳にタオルを当てる。
※入浴時に風呂のお湯を利用して行っても構わない。

姿勢や生活習慣などを見直してみる

これまでに200名ほどに試していただき、6割くらいのめまい、耳鳴りの人の症状が改善しています。ただし、効果の現れ方は人によりまちまちで、すぐに効いたという人もいれば、1~2ヵ月続けるうちに効果が現れたという人もいます。

また、最初に説明したように、知らずに生じた体のゆがみやあごのゆがみが症状に関わっていますから、普段の姿勢や生活習慣を見直し、ゆがみを正すことも意識してみましょう。

画像: この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。

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