骨盤を構成する仙骨と腸骨の連結部に「仙腸関節」があります。仙腸関節の動きがスムーズになると、全身の関節の動きもよくなって、筋肉の緊張が取れます。全身の血流もよくなり、痛みが改善するのです。私が患者さんにお勧めしているのが、仙腸関節の上にカイロをはって温める「骨盤カイロ」です。【解説】田村周(山口嘉川クリニック院長)

解説者のプロフィール

田村周(たむら・いたる)
山口嘉川クリニック院長。

全身の痛みや不調に関係する重要なポイント「仙腸関節」

使い捨てカイロをは、大きさや形のバリエーションが豊富になり、体の各部位をカイロで温めることが可能になってきました。

皆さんは、カイロをどのように使っているでしょうか。おそらく、ひざが痛ければひざにはり、手がこわばれば手で握り、おなかが冷えればおなかにはる、というように、症状のある場所を温めている人が多いと思います。

しかし、カイロを使う場所として私がお勧めするのは、「痛いところ」ではありません。痛みを感じる位置と、痛みを引き起こしている場所は、必ずしも一致しないからです。

骨盤の関節を温めると筋肉がゆるみ痛みが改善

お尻の割れめの上端と、ウエストの間あたりに、カイロをはってください。ここには、骨盤を構成する仙骨と腸骨の連結部、「仙腸関節」があります。この仙腸関節こそが、全身の痛みや不調に関係する重要なポイントなのです。

ここで、骨盤について簡単に説明しましょう。

骨盤は、背骨と下半身の骨をつなぐ、体の土台となる骨です。前述したように、中心にある仙骨と、両側に張り出した腸骨は、仙腸関節でつながっています。実をいうと、この仙腸関節の動きは、全身の動きと深い関わりがあるのです。

画像: 骨盤の関節を温めると筋肉がゆるみ痛みが改善

仙腸関節の動きが悪いと、その影響は全身に及びます。他の関節の動きも悪化し、筋肉が緊張します。すると、全身の血流が悪くなって、痛みやしびれが発生するのです。

そのため、私は仙腸関節を整える手技を治療に取り入れています。患者さんの仙腸関節の動きがよくなるにつれ、痛みやしびれが軽減していくのを、日々目の当たりにしています。

仙腸関節の動きがスムーズになると、全身の関節の動きもよくなって、筋肉の緊張が取れます。全身の血流もよくなり、痛みが改善するのです

痛みを改善するセルフケア「骨盤カイロ」

治療の補助となるセルフケアとして、私が患者さんにお勧めしているのが、仙腸関節の上にカイロをはって温める「骨盤カイロ」です(やり方は下項参照)。

カイロの熱で、仙腸関節の働きを回復させます。そうすることで、全身の関節や筋肉の緊張が緩和し、痛みやしびれが改善するのです。

患者さんの中には、「腰が痛いのでカイロをはっているが、改善しない」というケースが見られます。これは、はる位置を間違えている可能性があります。

腰の上の方が痛い場合でも、カイロは必ず骨盤にはりましょう。仙腸関節を温めて、機能を回復させることが、この療法のポイントです。

骨盤にカイロをはった上で、痛みを感じる腰や足にカイロを追加してはるのは、問題ありません。各自で、症状がよりらくになる方法を工夫してください。

「らくになった」「つらくなった」という感覚を大事にして、セルフケアの方法を少しずつ調整していきましょう。基本は守りつつ、自分なりにアレンジすることも大事です。

骨盤カイロは、非常に即効性があります。冷えが原因の痛みなら、カイロをはって瞬時に症状が軽減することも少なくありません。

骨盤カイロのやり方

カイロは必ず衣服の上からはる。
低温やけどに注意。就寝中ははらない
骨盤にカイロをはった上で、痛む場所にカイロを追加ではり足してもよい。

大きいタイプの場合
お尻の割れ目の上端に、使い捨てカイロを横向きで1枚はる。

画像1: 骨盤カイロのやり方

小さいタイプの場合
仙腸関節のあたりに、縦向きで左右に1枚ずつはる。

画像2: 骨盤カイロのやり方

代謝が高まってやせ体質になる!

その場で効果を実感できなくても、長期間続けることで仙腸関節の動きがよくなり、症状が改善に向かうので、1ヵ月は続けてみてください。

筋肉がゆるみ、血行がよくなることで、内臓の働きや心身の安定をつかさどる自律神経のバランスも整います。

現代人は、多忙でストレスがたまりやすく、自律神経のバランスが乱れがちです。骨盤カイロを行うことで、自律神経のバランスが整い、免疫力(病気に対する抵抗力)も高まります。特にカゼが流行する季節には、骨盤カイロを予防対策の一つとして取り入れてください。

た、骨盤を温めると、全身の血流がよくなるので、代謝が高まります。いわゆる「やせ体質」になって、ダイエット効果が現れる人も少なくありません。

カイロを使うときに注意していただきたいのは、低温やけどです。直接肌にはることは絶対に避け、必ず衣服の上からはってください。肌着の上からはる場合は、2枚以上重ねてからはりましょう。また、カイロは朝起きたときにはり、夜寝る前にはがしてください。

また、熱は皮膚を乾燥させるので、カイロが当たる部分には、保湿効果のあるクリームなどをぬって保護するといいでしょう。

画像: 腰痛が解消した人は多い

腰痛が解消した人は多い

痛みやしびれ、原因不明の症状などを改善したい人は、骨盤カイロをお試しください。

画像: この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。

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