解説者のプロフィール

西川眞知子(にしかわ・まちこ)
西川眞知子ライフデザイン研究所代表。上智大学外国語学部を経て、仏教大学卒業。自然療法で病弱だった自分の体がよくなったことをきっかけに、インドやアメリカを歴訪して、ヨガや自然療法を学ぶ。その経験と研究をもとに「日本ならではのアーユルヴェーダ」を提唱している。
「ゴールデンミルク」はターメリックの薬効を引き出す最高の飲み方
アーユルヴェーダでターメリックは「スパイスの王様」
インドの伝統医療・アーユルヴェーダでは、健康と美容にさまざまな効果が期待できることから、ターメリックは「スパイスの王様」と言われています。
アーユルヴェーダでは、健康を維持するには、1回の食事で甘・塩・酸・辛・渋・苦の6味をバランスよくとることを勧めています。このうちの渋味や苦味は、一般的にはあまり好まれないので、実際にはこの6味をバランスよくとるのはかなり難しいのです。
ターメリックには、渋味と苦味に辛味を加えた3味が含まれているので、食事に加えることで、そのバランスの改善に役立ってくれます。
さらにターメリックには、血液浄化作用や肝機能向上、貧血の予防、抗酸化作用があり、外用すれば皮膚疾患の改善やケガの殺菌止血、肌の健康維持、うがいに用いれば咽頭炎やカゼの予防など、さまざまな効果が期待できます。
このターメリックの実力を最大限に発揮する飲み物が、「ゴールデンミルク」です。
アーユルヴェーダでは、ターメリックは体を乾かす作用があると考えられています。この作用は、外用すれば、ぐちゃぐちゃに膿んだ皮膚炎の患部を乾かすなどの利点があります。しかし、食べ物としてとると、ときには便秘を招いたりガスを発生させたりして、腹部膨満感を生んだりします。
牛乳は、このターメリックのマイナス点を打ち消します。牛乳に含まれるたんぱく質が、ターメリックの乾く作用を緩和して腸内環境を整え、便秘やガスの発生を抑えるのです。
そもそもターメリックの成分は、油分と一緒にとらないと体内に吸収されませんが、脂質を含む牛乳と合わせてとれば、その心配もありません。
一方でターメリックも、牛乳のマイナス面を打ち消してくれます。アーユルヴェーダでは、体内の未消化物が病気を招くと考えます。実は、牛乳は合わせる食材を誤ると未消化物ができやすいのです。他にも牛乳は、温めて飲んでも体を冷やすといわれています。
しかし、そこにターメリックを加えると消化力は向上。さらに、ターメリックが持つ熱の性質で、体も冷えません。牛乳と合わせると、ターメリックの少し土臭い風味や苦味が消えて、飲みやすくなるという利点もあります。
アーユルヴェーダ的ゴールデンミルクの飲み方
他のスパイスの「ちょい足し」もおすすめ
ゴールデンミルクは、基本は牛乳にターメリックを加えて作りますが、牛乳の代わりに、豆乳やアーモンドミルクなどを使うのもよいでしょう。好みで、ハチミツなどの甘味を加えて飲んでください。貧血気味の方は、亜鉛や鉄分が多く含まれる、色の濃いハチミツを使うのがお勧めです。
他のスパイスなどを「ちょい足し」するのもお勧めです。シナモンとブラックペッパーを、それぞれ一振りすると、甘い香りとピリ辛の風味が加わって、より飲みやすくなります。シナモンには免疫力(病気に対する抵抗力)を高める効果があります。
基本のゴールデンミルクに、ショウガパウダーとブラックペッパーを加えるのもお勧めです。ターメリックとショウガ、ブラックペッパーの組み合わせは、代謝と解毒力を高める、最強のデトックスブレンドです。それぞれの量は好みで構いませんが、私は全て同量で作り、パンチの効いた風味を楽しんでいます。
なお、ターメリックの摂取は、1日に大さじ3杯までにしましょう。妊娠中や妊活中の人、肝硬変や消化性潰瘍炎の人は、多用を避けてください。

ちょい足しで効果アップ!
腹部膨満感が解消!二日酔いもしない!
なお、ターメリックは、ゴールデンミルク以外にも、さまざまに活用できます。ご飯を炊く際に少し加えれば、洋食に合う鮮やかな色のターメリックご飯になります。油やみそとの相性がよいため、みそ汁に加えたり、回鍋肉などの料理に加えたりするのもお勧めです。
ターメリックを常用している人からは「カゼをひかない」「腹部膨満感が消えた」「飲酒前にゴールデンミルクを飲むと、二日酔いにならない」などの声が寄せられています。
ゴールデンミルクを皮切りに、ターメリック生活を始めてみてはいかがでしょうか。

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。
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