日焼けをしたり、疲労がたまったりしたときには、抗酸化作用に優れたターメリックをとるのがお勧めです。そのたびにカレーを作るのはハードルが高いと思いますが、牛乳にターメリックを混ぜるだけのゴールデンミルクならすぐ作れます。寝る前にゴールデンミルクを飲むのもお勧めです。体を温めて寝つきをよくするにはピッタリです。【解説】印度カリー子(スパイス料理研究家)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

印度カリー子(いんどかりーこ)

1996年生まれ、宮城県育ち。スパイス料理研究家。スパイス初心者のための専門店、香林館(株)代表取締役。「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、オリジナルスパイスセットの開発・販売やコンサルティング、料理教室運営など幅広く活躍。テレビや雑誌にも多数出演している。『おもくない!ふとらない!スパイスとカレー入門』(standards)、『印度カリー子のスパイススープ』(世界文化社)など、著書多数。

ゴールデンミルクとは?

カレーより簡単なお勧めスパイス活用法

私は現在、スパイス料理研究家として、スパイスの活用法などを皆さんにご紹介しています。昨年までは東京大学大学院で、食品化学の観点から、スパイスをはじめとする香辛料の研究も行っていました。

もともとはスパイスが苦手だった私ですが、数年前、スパイスカレーのおいしさと効用に気づいたことをきっかけに、スパイスの世界に目覚めたのです。

スパイスカレーとは、ルーを使わずにスパイスと食材だけで作る、主にインドなどで食されているカレーです。簡単にできておいしい上に、たっぷり含まれるスパイスが代謝を高め、食事の満足感を促して、食べ過ぎを防いでくれます。

毎日のようにスパイスカレーを食べているうち、私は1年半で7kgやせて体力がつき、ひざ痛や肌荒れが消え、カゼもひきにくくなりました。

そんな私が、2年ほど前から新たなスパイス活用法としてはまっているのが、「ゴールデンミルク」です。

ゴールデンミルクとは、ホットミルクにターメリックというスパイスを混ぜた飲み物です。ターメリックは、生薬(漢方薬の原材料)のウコンとほぼ同じ物で、カレー作りには欠かせない黄色いスパイスです。カレー特有の黄色は、ターメリックによって生まれています。

私は日頃から、書籍やインターネットで、さまざまなインド料理のレシピを調べています。ゴールデンミルクのことは、そんな中で知りました。 インドでは「ハルディー・カ・ドゥードゥ」と呼ばれて親しまれている飲み物です。

ハルディーはターメリック、カは「何々の」、ドゥードゥはミルクという意味で、直訳すると「ターメリックのミルク」ですが、英語では「ゴールデンミルク」というのが一般的な名称です。ターメリックの色を「黄金色」に例えて生まれたのでしょう。

スパイスと牛乳の組み合わせってどうなの?

まろやかな味と香りがやみつきになる「ターメリック」!

「スパイスを牛乳に入れる」という発想は、普通はあまりないと思います。日本では、普段スパイスそのものをそれほど使わない人が多いので、なおさらでしょう。

しかもターメリックは、土のような香りが特徴のスパイスです。例えるなら、シメジの株の部分に似た匂いです。カレーのような料理なら、それは魅力となりますが、牛乳との組み合わせは考えにくいでしょう。

私も最初は、牛乳とターメリックが合うとは、とても思えませんでした。ところが、実際に作って飲んでみると、意外なおいしさで、すっかりはまってしまったのです。

実は私は、ホットミルクがちょっと苦手です。温めた牛乳の香りがあまり好きではないのです。それが、ゴールデンミルクにすると、ターメリックの土臭さが気にならないだけでなく、私が苦手な特有の香りも消え、よい風味になります。

ターメリックは、油脂に溶ける性質のスパイスです。そのため、温めた牛乳と合わせると、乳脂肪によく溶け、土っぽい香りがうまく隠れるようです。同時に、ホットミルク特有の香りは、逆にターメリックによって緩和され、結果的にまろやかな香りと味になるのです。

最初に飲んだとき、私は、このギャップに感動しました。そこで、テレビ番組やブログでもご紹介したところ、「簡単でおいしい」「スパイスが手軽にとれる」などと大好評!

ターメリックの主成分で、黄色い色の素にもなっているクルクミンは、体に有害な活性酸素を取り除く「抗酸化作用」に優れています。そのため、アンチエイジングや生活習慣病予防などに役立つとされています。

日常的には、日焼けをしたり、疲労がたまったりしたときに体内で活性酸素が増えやすいので、ターメリックをとるのがお勧めです。そのたびにカレーを作るのはハードルが高いと思いますが、牛乳はたいていのご家庭にあるでしょうから、それにターメリックを混ぜるだけのゴールデンミルクなら、すぐ作れます。

ターメリックは、スパイスの一種ではありますが、ブラックペッパーなどと違って刺激がないので、寝る前にゴールデンミルクを飲むのもお勧めです。特に冬、体を温めて寝つきをよくするにはピッタリです。

私は、例えば夜遅めの時間に、「それほどおなかは空いていないけれど、何かをおなかに入れて温まりたい」と感じるときに飲んだりしています。朝にもよく飲みます。朝食のトーストとバナナに合わせたり、シリアルにゴールデンミルクをかけたりします。

レンチンで簡単!
ゴールデンミルクの作り方

材料を入れてレンジで加熱するだけ

ゴールデンミルクの作り方はとても簡単。材料をカップに入れて、電子レンジで加熱するだけです。ターメリックが多過ぎると、土っぽさが気になる人もいるかもしれないので、小さじ8分の1から4分の1くらいを目安に、好みで加減するとよいでしょう。

なお、冷たい牛乳に加えた時点では、ターメリックの色と香りはほとんど出ません。電子レンジで加熱した後に混ぜると、一気に色と香りが出てきます。ですから、最初の時点で物足りないからと入れ過ぎないようにしましょう。牛乳の代わりに、豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどを使ってもおいしく作れます。

画像: ゴールデンミルク

ゴールデンミルク

材料(1杯分)
・ターメリック…小さじ1/8~1/4
・牛乳…200ml
・ハチミツ…小さじ1
※ターメリックは入れすぎると臭くなるので、少量から試すのがお勧め。
※牛乳の他、豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどで作っても。
※甘味は好みで。ハチミツの他、砂糖や黒糖などでもOK。ハチミツは出来上がり後に加えてもよい。

画像1: 材料を入れてレンジで加熱するだけ

電子レンジ使用可のカップに材料を全て入れて混ぜる。

画像2: 材料を入れてレンジで加熱するだけ

そのまま電子レンジ600Wで1分30秒加熱する。
出来上がり!
※ターメリックは完全には溶けないので、混ぜながら飲むとよい。

なお、白い陶器のカップを使うと、ターメリックの色素によって、黄色く着色する場合があります。そんなときは、カップに一般的な食器用洗剤を2~3滴たらして少量の水を入れ、カップを回して着色部分に洗剤液をつけ、10分ほど放置するだけで、きれいに取れます。

体調や目的に応じて他のスパイスをプラス

また、状況や体調、目的に応じて、基本のゴールデンミルクに、下記のようなスパイス(パウダー)を、一振り加えるのもお勧めです。味わいも変わって、さらに楽しめます。

リラックスしたいとき=カルダモン
優雅に過ごしたいとき=シナモンナツメグクローブ(組み合わせてもOK)
朝などにキリッと目覚めたいとき=ブラックペッパー
体を温めたいとき、カゼを予防したいとき=ショウガ

ちなみに、ターメリックを白菜などの野菜と魚介類や肉類などで作った塩味の鍋物に入れると、とてもおいしく、体の温まる鍋物になります。鍋に限らず、塩味ベースの煮込み料理に入れてもよく、また、黄色のお菓子(スイートボテト、カボチャプリンなど)に入れて発色をよくすることもできます。

簡単でおいしく、そのときの気分や体調に合わせても楽しめるゴールデンミルクを、ぜひ取り入れてみてください。

画像: この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。

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