人間本来の解毒作用による毒素の排出は、75%が便からで、20%弱が尿からといわれています。ですから、健康を考える上で「便をスムーズに出す」ことは非常に重要だと言えるのです。そのためにお勧めしているのが「タマネギの皮スープ」です。便秘体質を「出せる体」に根本から変え、腸内の老廃物を排出していきます。【解説】堀田忠弘(堀田医院院長)

解説者のプロフィール

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堀田忠弘(ほった・ただひろ)

島根県生まれ。医学博士。京都府立医科大学卒業後、同大学にて免疫学を研究。1990年、堀田医院を開業。「人は、体、心、魂を持ったエネルギー体である」という考えのもと、約40年携わってきた西洋医学的治療に、漢方と代替医療を組み入れた統合医療を行う。

病気の予防と改善を目的に考案した野菜スープ

私の医院には、いくつかの病院で診てもらっても原因がわからず、途方に暮れて来院する患者さんが大勢います。そして、そうした患者さんのほとんどが便秘と冷えを抱えています。

便秘も冷えも、もともとの症状や病気に隠れて見逃されがちですが、私は「便秘と冷えは万病の元」と感じながら、日々診療に当たっています。

私たちは、年間4〜5kgの添加物を摂取しているといわれます。体に害になるとは知らずに特定の食品を食べ続け、それが体内に蓄積していることが、病気の大きな要因になっていると考えられるのです。

また、心身にストレスがかかっているときは、体内で活性酸素(体内で老化や病気の一因となる物質)などの毒性がある代謝産物が多く発生します。

今は空気も汚染されています。食べ物や空気から取り込んだ有害物質が腸や肺から吸収される間に、体内でも有害物質がつくられているわけです。健康でいるためには、新たな毒が吸収される以上の効率で、体外に排出しなければなりません。

幸いなことに、人間の体にはもともと、体内の毒素を排出するための優れた機能が備わっています。人間本来の解毒作用による毒素の排出は、75%が便からで、20%弱が尿からといわれています。

ですから、健康を考える上で「便をスムーズに出す」ことは非常に重要だと言えるのです。そのために、私が患者さんにお勧めしているのが「タマネギの皮スープ」です。

私はこれまで、病気の予防や改善を目的に、主に野菜を中心とした、さまざまなスープを研究・考案
してきました。

今回紹介するタマネギの皮スープは、タマネギの皮をはじめ、これまで治療に活用してきた野菜の優れた効能を解毒に特化して、考案したものです。患者さんに勧めるのはもちろんのこと、私自身もこのスープを愛飲しています。

便秘体質を根本から変え「出せる体」にする

スープを作るのに必要な材料は、タマネギの皮・ゴボウ・ショウガ・マイタケ・パセリ、そして天然塩です。

考案した当初は違う野菜も試しましたが、試行錯誤の結果、これが最良のバランスであることがわかりました。素材の組み合わせの妙と相乗作用によって、抜群の解毒効果を発揮し、便秘体質を「出せる体」に根本から変え、腸内の老廃物を排出していきます。

スープの材料は全て身近なものですが、入手できないときは、どれかが欠けても構いません。まずはぜひ実践してみてください。

タマネギの皮スープの作り方

画像1: タマネギの皮スープの作り方

材料
Ⓐタマネギの皮…1.2g(およそ中2〜3個分)
 マイタケ…13g
 パセリ…6g
Ⓑゴボウ…40g
 ショウガ…6g
 水…2L
 自然塩…0.5g
*ゴボウとショウガの分量は、無農薬で栽培されたものなら皮ごと、そうでなければ皮をむいた量。

画像2: タマネギの皮スープの作り方

野菜は流水でよく水洗いし、Ⓐは酢水(分量外。水2Lに対して純米酢大さじ4)に20分以上浸けてから、水ですすぐ。

画像3: タマネギの皮スープの作り方

Ⓑは皮をむき、コンブを入れた水(分量外)で5分下ゆでする。
*無農薬の有機野菜を使う場合は、①と②は省略してよい。

画像4: タマネギの皮スープの作り方

鍋に水を入れて、食べやすい大きさに切った食材を加えて沸騰させる。とろ火で20分ほど煮込んで、材料が軟らかくなったら、タマネギの皮を取り除き、塩で味付けして出来上がり。

タマネギの皮スープの飲み方

初日から3日間は、朝食と夕食の前に、約100〜200mlを飲みます。4日目以降は週に3〜4度のペースで1日1回、同量を飲みます。

飲めば飲むほど体内にたまっている宿便や毒素が排出されますから、苦痛に感じなければ、たくさん飲んで問題ありません。ただし、無理をして大量に飲むことはやめてください。

スープは薬ではないので、飲む時間や量、回数にこだわる必要はありません。「この時間にこの量を絶対に飲まなければいけない」と決めてしまうと、それがストレスになります。

飲んでいて、便の状態や回数に何かしらの変化が現れてきたら、腸の状態が改善されてきた証拠です。

ただし、現代人は食べ過ぎの傾向にあると感じています。腸が処理しなくてはならない内容物が次々と送られてくるわけですから、便秘が解消してからも、日々の習慣にされることをお勧めします。その場合は、週に1~2度、1日1回飲むようにするとよいでしょう。

なお、作ったスープは1~2日をめどに飲み切るようにします。冷蔵庫で保存したスープを翌日に飲むときは、温めてから飲むようにしてください。冷たい飲み物は腸を冷やし、便秘を促進させてしまいます。

大量の食物繊維が便秘を改善

タマネギの皮スープには、さまざまな効能がありますが、飲んだ人に最も多く共通するのが「便がドカッと出る」ことです。

日頃から便秘で困っていた患者さんがこのスープを飲んだところ、本人も驚くほどの勢いで大量の便が出て、便秘が解消したという人が大勢います。

排便が活発になるのは、タマネギの皮スープに、大量の食物繊維が含まれるためです。腸内では食物繊維をエサにして、善玉菌が増殖します。こうして腸内環境がよくなると、腸管の蠕動運動(内容物を先へと送り出す腸の働き)が活発になり、宿便(腸管に滞った老廃物など)が排出されるのです。

また、腸は免疫(体の防衛機構)とも深く関わっています。腸内環境がよくなると、免疫の働きが正常化し、アレルギーが軽減されます。そのため、タマネギの皮スープは花粉症にも非常によく効きます。実際に飲んだ人からは、「今年は花粉症が軽い」「症状が全然出ない」という声をよく聞きます。

タマネギの皮スープを飲むと、30分から1時間をかけて、徐々に体内の解毒が進んでいきます。飲んで2時間もすると、体がポカポカしたり、尿意を催したりといった、なんらかの変化を実感できるでしょう。

便秘がひどい人の場合は、便通への効果に時間がかかることもありますが、根気よく続けてください。

タマネギの皮スープの便秘に対する効果は、非常に強力です。ですが、これだけを飲めば便秘が治るというものではありません。食事や生活習慣を見直すことも大切です。

スープに加えて、バランスのよい食事を心がけるようにしてください。玄米、豆、海藻を多く摂取するようにし、スナック菓子などの間食を食べたり、食事をファストフードで済ませたりしないようにしましょう。

また、よくかんで食べるようにすることも大切です。腸の一番の働きは「栄養分を吸収すること」です。ところが、咀嚼が十分でないと、食べたものが胃で消化しきれないまま腸に送られてしまいます。

腸の入り口部分を空腸といいますが、空腸は吸収と消化の両方の働きを行わなくてはならず、疲弊します。すると腸が下垂し、腸の働きをつかさどる自律神経のバランスがくずれて、便秘が悪化するのです。

そして、体を冷やさないこと。腸が冷えていると、蠕動運動が弱まります。普段から冷たい物を食べないようにする、お風呂にゆっくり入るなど、体を温める生活を心がけてください。半身浴で便秘が解消した例もあります。

タマネギの皮スープも、血流をよくして体を温めますから、冷えを解消する面からもお勧めです。

画像: この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。

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