解説者のプロフィール

松田リエ(まつだ・りえ)
看護師として2年半勤めた後、海外医療の本場に携わりたいと思い、オーストラリア・シドニーで実務をこなしながら アシスタントナースの資格を取得 。帰国後、 保健師に転⾝ 。医師と栄養⼠の監修のもと、独自のダイエットメソッド「ベルラスダイエット」を確⽴。2017年にダイエット協会を設⽴。協会設⽴4年で全国各地に約200名の認定パーソナルサポーターを育成し、1300名以上が講座を受講 。オンラインで世界中の⼈に講義し、 栄養バランスのよい⾷事を整えることで、⼼⾝共に健康になり、 ひとりでも多くの⼈を助けることができるよう取り組んでいる。著書に『ずぼら瞬食ダイエット』(小学館)がある。
受講生さんにも大好評の最強ダイエット食
私はもともと看護師として、主に消化器外科で働いていました。手術などで治らない患者さんも多く体験するうち、予防医学に興味を持つようになり、保健師の資格を取りました。そして、生活習慣病対策の一環として、肥満を解消する食事指導を行うようになったのです。
その当時、実は私自身も太っており、健康的にやせる方法を模索していました。そこで、自分の食事を実験台にしながら、肥満に悩む皆さんにダイエット食を伝えていったところ、私自身、53kgあった体重が12kg減って41kgになりました(身長は153cm)。以来、8年たちますが、その間、3度の食事をとりながら、1度もリバウンドしないで体重を維持しています。
もっと多くの人に、らくに健康的にやせる方法を伝えたいと、2017年にダイエットの協会を立ち上げ、今まで1300名以上の方の3食90日間の食事を見ながら、その改善を指導してきました。そして、その大部分の方が肥満から脱出できています。
食事指導では、さまざまなダイエット食を紹介していますが、中でも多くの受講生さんに好評なのが「酢タマネギ」です。
酢には、血糖値の上昇を穏やかにする効果があります。ダイエットのためには、血糖値の急激な上昇を防ぐことが重要なので、この働きが役立ちます。
また、酢の主成分である「酢酸」には、体内で脂肪の合成を抑えるとともに、脂肪の燃焼を促す作用があります。つまり、体の脂肪を「増やさない」と同時に、「減らす」ために働いてくれるわけです。
さらに、酢に豊富なクエン酸にも、脂肪がエネルギーに変わるのを促す働きがあります。そのため、酢はダイエットに役立つとともに、疲労回復効果も発揮してくれます。
一方、タマネギには、腸内環境を整える働きがあります。代表的な善玉菌であるビフィズス菌のエサとなる「フラクトオリゴ糖」という成分が、タマネギには豊富だからです。腸内環境が整うと、便秘などを防いで代謝を促すことができ、ダイエットにつながります。
また、タマネギに含まれるグルタチオンという成分は、肝臓での解毒を助け、肝機能を強化してくれます。肝臓は代謝の要となる臓器なので、これによっても代謝が高まります。
さらに、タマネギの匂いの元である硫化アリルや、ポリフェノールの一種・ケルセチンには、全身の血流を促す作用があります。その結果、栄養が体のすみずみまで届くことによっても、代謝のアップ、ひいてはダイエット効果が期待できます。また、この血流促進作用は、冷え症の改善にも効果的です。
こうした酢とタマネギのダイエット効果を、まとめて得られるのが、酢タマネギなのです。
味覚が正常化し甘い物が不要になる
私自身と多くの受講生さんが実感している酢タマネギの効果として、「味覚の正常化」があります。
太る人は、甘い物を普通以上においしく感じる舌になっていることが多いものです。しかし、酢タマネギを常食していると、次第に野菜の持ち味や天然だしの料理などがおいしく感じられるようになり、甘い物への執着心が消えていきます。
甘味は舌に大きなインパクトを与え、それに慣れると、野菜や薄味の料理が物足りなく感じがちです。しかし、酢タマネギは、ヘルシーな素材でありながらインパクトが強いので、味覚の正常化に役立つと考えられます。
味覚が正常化すると、我慢しなくても、自分がおいしいと感じるものをとりながら、自然にダイエットを続けられるので、らくにやせられます。
酢タマネギの作り方は、とても簡単です。タマネギ1個を薄くスライスし、酢400ml、ハチミツまたはオリゴ糖大さじ1杯半とともに容器に入れてよく混ぜ、そのまま一晩漬ければ出来上がりです(基本的な作り方は別記事参照)。1日にとる量は特に決まっていませんが、ひとつかみ程度を目安にするとよいでしょう。
[別記事:タマネギと酢のいいとこ取り!「酢タマネギ」は健康常備食→]
注意したいのは、空腹時にとらないことです。酢は、空腹時にとると胃への負担が大きいからです。おなかに食物が入っている食事中にとりましょう。
このこととも関係しますが、酢タマネギは、置き換え食としてではなく、副菜にしたり、それまでの食事にプラスしたりしてとりましょう。無理に何かと置き換えなくても、前述の効用により、自然にダイエット効果が得られます。
そのまま食べても、サラダやおひたし、冷ややっこ、魚・肉料理などのトッピングにしてもおいしいですよ。
作りおきできるので、忙しい人や面倒なことが嫌いな人でも続けやすいダイエット法です。ぜひお試しください。

食事の一品として食べるのがお勧め

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。
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