効能は同じでも、酢とタマネギで作用機序が異なるものもあります。例えばダイエット効果。タマネギは糖や脂肪の吸収を抑えた結果ですが、酢は代謝を促進し、脂肪を燃焼させて得られます。二つを組み合わせれば、その相乗効果で作用がさらに強化されるのです。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)

解説者のプロフィール

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石原新菜(いしはら・にいな)

医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での勤務を経て、現在、自然医学の泰斗で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。雑誌をはじめ、テレビやラジオなどのメディアへの出演が多数。『女のキレイは30分で作れる』(マキノ出版)など著書、監修書も多く手がける。近著、『新装版 カラダの不調が消える奇跡の「腹巻き健康法」 』(ロング新書)が好評発売中。

酢が疲労物質を分解

酢タマネギ」が体によいことは、すでに多くの方が実感されているでしょう。近年は酢やタマネギの研究が進んで、効果が科学的に実証されてきました。ここでは「酢」と酢タマネギの効能についてお話ししましょう。

酢といえば、まず挙げられるのが疲労回復効果です。酢に含まれるクエン酸や酢酸が、クエン酸回路という、糖からエネルギーを作る回路の働きを助け、疲労物質を分解します。

また酢には、血液をサラサラにしたり、血圧を上げるアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害したりして、血圧を下げる効果があります。脂肪を燃焼させる作用もあり、内臓脂肪の減少や肥満解消にも期待が持てます。

そのほか、カルシウムの吸収を高めて骨粗鬆症(カルシウムの不足によって骨がもろくなる病気)を改善したり、血糖値を下げたりする働きも報告されています。

そして忘れてはならないのは、酢が発酵食品であることです。発酵食品は善玉菌を増やして腸内環境を整え、腸の免疫細胞を活性化します。

実際に当院の患者さんで、酢によって血液検査の数値が目に見えて改善した方がいます。典型的なメタボ体型で糖尿病があったNさん(40代男性)に、酢を毎日大さじ1杯(15ml)、1ヵ月半飲んでもらいました。

すると、ヘモグロビンA1cは7.2→6.3%、空腹時血糖値は151→110mg/dl、血圧(上の血圧)は150→138mmHg、LDL(悪玉)コレステロール値は131→119mg/dl、体重は89kg→84kgと軒並み改善。さらに腸内環境検査は、2ランク上がっていました。

酢とタマネギの組み合わせで健康効果が強化

酢の効能を見て、タマネギと共通の効果があることに気づかれた方も多いと思います。

主なものを挙げると、
血流改善、血圧の降下
脂質改善、LDLコレステロールの低下
血糖値の上昇を抑制
速やかな疲労回復
腸内環境を整えて便通改善
ダイエット効果 
などです。

効能は同じでも、酢とタマネギで作用機序が異なるものもあります。例えばダイエット効果は、タマネギは糖や脂肪の吸収を抑えた結果ですが、酢は代謝を促進し、脂肪を燃焼させて得られます。

二つを組み合わせれば、その相乗効果で、作用がさらに強化されるのです。

効能だけではありません。酢タマネギにすると、いろいろな料理に使いやすくなります。私は、千切りキャベツの上にガバッと酢タマネギを乗せていますが、冷ややっこや大根おろしにトッピングしたり、肉や魚の付け合わせにしたり、カルパッチョや南蛮漬けに乗せたりするなど、いろいろ楽しめます。

酢タマネギは漬けて2時間くらいで食べられるようになりますが、時間をおいた方がまろやかになります。わが家では、冷蔵庫に入れて1ヵ月間くらいは食べています。

酢タマネギに使う酢は、米酢でも穀物酢でもリンゴ酢でも、何でも構いません。効き目をさらに高めたいなら、にごり酢(ろ過する前の濁った状態で出荷される酢)がお勧め。にごり酢には酢酸菌が多く含まれ、これが白血球(マクロファージ)に作用し、免疫のバランスを整えたり、アレルギーを緩和したりするのです。

食べる際の注意は、空腹時に食べないこと。胃の弱い人は胃粘膜が荒れることがありますから、酢タマネギは食事の中でとるようにしてください

酢タマネギの作り方

材料
・タマネギ……1個
・醸造酢……適量(タマネギが浸るくらいの量)
(米酢、黒酢、穀物酢など、醸造酢であればなんでもよい)
・塩……少々
・ハチミツ……大さじ1(好みで増減してよい)

画像1: 酢タマネギの作り方

タマネギを切る
タマネギを半分に切り、さらに薄切りにする。
※縦切りでも横切りでもお好みで。みじん切りにしてもよい。

画像2: 酢タマネギの作り方

塩を加える
塩を振りかけ、よく混ぜる。
※そのまま20分ほど置いておくと有効成分が増える。
※塩をまぶすのは、タマネギに酢やハチミツを染み込ませやすくするため。塩分が気になるなら、省いてもよい。

画像3: 酢タマネギの作り方

瓶に詰めて酢を注ぐ
タマネギを瓶などの密閉できる容器に入れ、タマネギが浸るくらいまで酢を注ぐ。

画像4: 酢タマネギの作り方
画像: ※お好みでハチミツを加えるとより食べやすくなる。

※お好みでハチミツを加えるとより食べやすくなる。

ふたをして冷蔵庫で保存する
※漬けて2時間ほどから食べられるが、5日ほど漬け込んだ方が、味がマイルドになって食べやすくなる。
※冷蔵庫で10日は保存可能。

画像5: 酢タマネギの作り方

食べ方
1日に50~100g程度を目安に食べるのがお勧め。漬け酢も料理などに活用できる。

画像: この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年3月号に掲載されています。

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