ショウガは、血圧を下げる力が強く、強力な血糖降下作用があります。抗ウイルス作用、抗酸化作用、抗炎症作用に加えて、免疫調節活性もあり、鎮痛作用も強力です。同じく抗菌・抗ウイルス作用
や、心血管系疾患の予防効果もあるはちみつと合わせてとるのにお勧めなのが、ショウガはちみつです。【解説】平柳要(食品医学研究所所長・医学博士)

解説者のプロフィール

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平柳要(ひらやなぎ・かなめ)

医学博士。東京大学大学院医学研究科修了後、イタリア・パルマ大学客員研究員、ハーバード大学客員研究員、マサチューセッツ工科大学客員研究員などを経て、日本大学医学部准教授となる。2009年に(株)食品医学研究所を設立し代表兼所長に就任。科学的根拠に基づいたサプリメント開発やダイエット法の研究に力を入れている。テレビや雑誌などメディア出演多数。著書に『ゆずが効く!』(主婦と生活社)がある。

※ハチミツは1歳以下の乳児には与えないでください。

内臓脂肪の蓄積を防ぎダイエットに役立つ

ショウガはちみつは、非常に多くの健康効果を有している、ショウガとはちみつを継続的に摂取するための手軽な手段です。まずは、ショウガの効能についてお話ししましょう。

冷えの予防・改善効果

第一に取り上げたいのが、温める効果です。私はこれまで、さまざまな実験を行い研究してきました。

例えば、冷え症の女性を対象にした研究では、ショウガを経口摂取すると、エネルギー代謝が高まり、血流がよくなるという作用を確認しています。

ショウガの温める効果にかかわっているのが、辛み成分です。生のショウガには、辛み成分であるジンゲロールが多く含まれています。それが加熱されると、ショウガオールという成分へと変化します。ショウガオールには体を芯から温める力があるのです。

同時に、辛み成分には食べる際に刺激効果があります。辛みの刺激によって血管が拡張し、それも温める効果をもたらします。

ショウガの効能をより引き出すには、数時間加熱してからとるのがお勧めです。

血圧・血糖値の降下作用

生のショウガと、加熱したショウガでは、働き方が異なります。生には、抗菌作用、発汗作用、解熱作用、吐き気止めといった効果があるのに対して、加熱した場合、セキ止め、抗炎症作用などがあります。

その一方で、生でも加熱後でも変わらない、共通の効果もあります。それが、生活習慣病に対する働きです。ショウガは血液をサラサラにして、内臓脂肪の蓄積を抑制し、ダイエットに役立ちます。

特筆すべきは、高血圧や高血糖に対する作用です。ショウガは、血管を収縮し、血圧を上昇させるアンジオテンシン変換酵素の働きを抑制します。さらに、血圧にかかわるカルシウムチャネルの遮断作用もあって、血圧を下げる力が強いのです。

また、ショウガは、動脈硬化を促進する中性脂肪や悪玉コレステロールを減らし、腸での糖質の吸収を遅らせます。軽症の糖尿病なら、ショウガを食べているだけで治ってしまうくらいの強力な血糖降下作用があることがわかっています。

感染症の予防効果

コロナ禍の今、やはり気になるのは、感染症に対する効果です。ショウガは、抗ウイルス作用、抗酸化作用、抗炎症作用に加えて、免疫調節活性もあり、免疫の面からも、感染症予防に役立つと考えられます。

鎮痛作用も強力です。例えば片頭痛に対しては、頭痛薬を飲んだときと同程度の痛みを止める作用があります。

血管を強化し感染症も予防

続いて、はちみつです。

抗菌・抗ウイルス作用

はちみつを使ってうがいをすると、うがい薬と同程度の抗菌作用があるとされています。カゼやインフルエンザのような上気道感染症の改善についても、通常の市販薬よりも効果があります。外気温が下がり乾燥する季節には、のどの荒れや声枯れ、セキ、ぜんそくなども緩和します。

さらに、はちみつに含まれるブドウ糖は、体内の酵素と反応して、細菌を退治する過酸化水素を発生させます。長崎大学の研究によると、インフルエンザウイルスの増殖を抑える抗ウイルス作用があることも報告されています。

心血管系疾患の予防効果

はちみつを習慣的にとっていると、過度の体重増加を防ぎ、インスリンの働きをよくしたり、悪玉コレステロールの酸化を予防したりして、動脈硬化の進行を抑える働きがあります。心筋梗塞や脳卒中の予防にもつながるでしょう。

動脈硬化を予防できる主な要因は、はちみつに含まれるフラボノイドの働きです。抗酸化作用、抗血栓作用および、血管を緩める作用があり、それが血管を強化してくれます。

ダイエット効果

はちみつをとると、太るのではないかと考えるかたがいます。しかし、その心配はありません。むしろ、ダイエット効果のほうが期待できるのです。

はちみつは、そもそもの甘みが強く、料理に使った場合、砂糖に比べてカロリーが少なくて済みます。体重増加を防ぐだけでなく、メタボ予防に役立つことがさまざまな研究から明らかになっています。

胃腸の不調改善効果

はちみつは、ピロリ菌や病原性大腸菌を弱める働きがあり、感染リスクを減らすことが期待できます。また、ストレスや疲労の蓄積から来る胃腸の不調を改善する効果もあります。これは、はちみつに含まれているオリゴ糖が、腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やすためです。

ちなみに、抗菌作用があるといっても、腸内細菌を殺してしまうことはありませんので、その心配は無用です。

運動疲労の軽減効果

はちみつは速やかにエネルギーに変わるために、運動疲労を軽減してくれます。ほかに、骨の強化や、口内炎や二日酔いの予防など、その効能は実に幅広いのです。

皆さんも、甘くておいしいショウガはちみつを、ぜひ試してはいかがでしょうか。

平柳先生お勧めのショウガはちみつの作り方

※ハチミツは1歳以下の乳児には与えないでください。

※1日の分量の目安はショウガとはちみつ、どちらも20g程度。
※1日2回に分けて飲むのがお勧め。

用意する物(2杯分)
・ショウガ…スライスで5~6枚
・はちみつ…適量
・お湯…500ml
・魔法瓶

画像1: 平柳先生お勧めのショウガはちみつの作り方

皮つきショウガを1mm厚にスライスする。

画像2: 平柳先生お勧めのショウガはちみつの作り方

①を魔法瓶に入れ、お湯を注いで、2~3時間以上置いておく。

画像3: 平柳先生お勧めのショウガはちみつの作り方

カップに②を注ぎ、はちみつを入れる。

画像4: 平柳先生お勧めのショウガはちみつの作り方

よくかき混ぜて完成。

画像: この記事は『壮快』2022年3月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年3月号に掲載されています。

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