発酵あんこはおいしいだけではありません。もともと栄養成分の豊富なアズキが、発酵でさらにパワーアップし、腸内環境や肌の調子を整えるのにも役立ちます。普通のあんこよりも甘さは控えめながら、優しく自然な甘味があり、ちゃんと「甘いものを食べた」という満足感も得られます。【解説】榎本美沙(料理家・発酵マイスター)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

榎本美沙(えのもと・みさ)

料理家・発酵マイスター。「発酵食品」、「旬の野菜」を使ったシンプルなレシピが人気で、テレビ、雑誌や書籍、WEBへのレシピ提供、企業のレシピ開発、料理教室、イベント出演などを行う。YouTubeチャンネル「榎本美沙の季節料理」、レシピサイト「ふたりごはん」も人気。『からだが整う〝ひと晩発酵みそ〟 』 (主婦と生活社) 好評発売中。
▼榎本美沙の季節料理(YouTube)
▼ふたりごはん(レシピサイト)
▼@misa_enomoto(Instagram)

70万回以上再生された人気の発酵レシピ

私のYouTubeチャンネル「榎本美沙の季節料理」は、旬の食材や発酵食品を取り入れた季節の料理レシピを紹介しています。

これまでに紹介したレシピ動画の中でも特に人気が高く、70万回以上も再生されているのが「発酵あんこ」です。これは、砂糖を使わずに、アズキと米麹を発酵させて作るものです。

発酵あんこは、砂糖を使っている普通のあんこよりも甘さは控えめながら、優しく、自然な甘味があり、ちゃんと「甘いものを食べた」という満足感が得られます。

実際に作った方々からは、「砂糖を使わずに、しっかり甘くてびっくり!」「ダイエット中でも罪悪感が少ない」「市販のあんこは甘過ぎると感じるようになりました」「気に入って毎週のように作っています」といった声もいただいています。

発酵あんこはおいしいだけではありません。もともと栄養成分の豊富なアズキが、発酵でさらにパワーアップし、腸内環境や肌の調子を整えるのにも役立ちます。実際に、発酵あんこを試した方々からは、「便秘が改善して感動しました」という声もありました。

ここで、発酵あんこを作る際のポイントをご紹介します(詳しい作り方は下項)。

材料について
材料はアズキ(乾燥)と米麹と塩だけです。米麹には「乾燥」と「生」の2種類があります。乾燥麹のほうが入手しやすいので、今回は乾燥麹を使う作り方を紹介しています。

生麹を使う場合は、ゆで汁の量を100〜120mlと少なくするのがポイントです。多過ぎるとべチャベチャになるので、お勧めしません。

冷凍すると1ヵ月保存可能

発酵あんこの保存の目安は、冷蔵で3日、冷凍で1ヵ月です。

冷蔵の場合は、タッパーに入れておくと使いやすいでしょう。冷凍の場合は小分けにしてラップで包み、ジッパー袋に入れておくと便利です。使う半日前に冷蔵庫に移して冷蔵解凍する方法が、風味を損なわないのでお勧めです。

発酵あんこは、普通のあんこと同じように使えます。ぜんざい(詳しい作り方は下項)や白玉あんみつなどに使ってもおいしいですよ。

手軽でお勧めなのは、「あんバタートースト」です。トーストしたパンに発酵あんことバターを乗せるだけ。甘酒のような麹の優しい香りと、アズキ本来の風味がしっかりと味わえ、満足感もあります。

アズキには、たんぱく質や糖質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。それを発酵させているので、腸活にもなります。コーヒーとの味の相性が抜群なので、朝食にコーヒーを飲む方にもお勧めです。

発酵あんこに限らず、わが家では毎食、必ずと言っていいほど、何かしらの発酵食品を食べています。おいしいのはもちろんのこと、健康にもとてもいいと感じます。

便通がよくなり肌のトラブルが改善

私も発酵あんこをはじめとした発酵食品で、ずいぶん助けられました。料理家を始める前の私は、広告代理店に勤務していたのですが、仕事が忙しくて、生活も不規則になりがちでした。そのせいか、便秘や吹き出物、肌のかゆみなどに悩まされることがよくありました。

しかし、発酵食品を自分で作り、食べるようになってから、便通もよくなり、肌のかゆみや吹き出物も減りました。

私と同じものを食べている38歳の夫も、以前は健康診断で中性脂肪値が高めでしたが、数値が低下してきています。

とても簡単に作れるので、ぜひお試しください。

発酵あんこの作り方

画像1: 発酵あんこの作り方

用意するもの
アズキ(乾燥)……200g
米麹(乾燥) ……200g
塩……小さじ1/4

画像2: 発酵あんこの作り方

鍋で水3カップ(600ml)を沸騰させる。中火にして、さっと洗ったアズキを入れる。再び沸いたら、水1カップ(200ml)を加え、10分ほどゆでる。

画像3: 発酵あんこの作り方

ふたをして火を止め、30分蒸らす。

画像4: 発酵あんこの作り方

アズキをざるにあげて、水で素早く洗う。煮汁は捨てる。

画像5: 発酵あんこの作り方

鍋にアズキを戻して水3カップ(600ml)を加え、強火にかける。沸騰したら弱火に落として、50分ほどゆでる。なお、途中であくが出たら、その都度取り除き、水が少なくなったら加える。

画像6: 発酵あんこの作り方

アズキを軽くつまんで、状態をチェックする。力を加えず、つぶれるほどに煮上がったら火を止める。もし、まだ硬さが残っていたら煮続ける。

画像7: 発酵あんこの作り方

ざるでアズキとゆで汁に分けて、それぞれ異なるボウルに入れる。アズキを60℃になるまで冷ます。ゆで汁は捨てないでとっておく

ポイント
アズキの温度が高過ぎても、低過ぎても発酵しないので、必ず60℃にする。温度計を使用してしっかりと温度を確認すること。

画像8: 発酵あんこの作り方

炊飯器の内釜にアズキと米麹を入れて混ぜる。ゆで汁を少しずつ加え、全体に水気が行き渡ってしっとりするまで混ぜる。
※ゆで汁の分量は100〜150mlが目安

画像9: 発酵あんこの作り方

炊飯器に内釜をセットして、ぬれ布巾を二重にかける。炊飯器のふたを閉めずに、保温モードで8~10時間保温する。途中で何度か混ぜる。布巾が乾いたら、ぬらし直すと発酵しやすい。味見をして、甘味が出ていたら塩を加え、混ぜたら出来上がり。

画像10: 発酵あんこの作り方

出来上がり!
冷蔵で3日、冷凍1ヵ月保存可能。
冷凍する場合は小分けにして食品用ラップで包む。ジッパー袋に入れて冷凍すると便利。

発酵あんこレシピ
発酵あんこぜんざい

画像: 発酵あんこレシピ 発酵あんこぜんざい

材料(2人分)
発酵あんこ(作り方は別記事参照)……200g
米麹の甘酒(液体ストレートタイプ)……1/2カップ
切り餅……2個

①鍋に発酵あんこ、米麹の甘酒を入れて、伸ばしながら温める。
②切り餅を半分に切って焼く(オーブントースターで可)。
③①と②を器に盛りつけて出来上がり。
■調理・スタイリング/古澤靖子

画像: この記事は『安心』2022年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年2月号に掲載されています。

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