こめかみゆらしで「蝶形骨」が本来の位置に戻ることで、目の血流や視神経の通りがよくなり、物が見えやすくなるのです。筋肉の緊張を緩めて血流をよくするので、頭痛の改善、耳鳴りなど耳の不調の緩和も期待できるでしょう。また血液は最高の美容液ですから、頭部や顔の血流がよくなると、自然と肌の状態もよくなるのです。【解説】萩原健史(パーソナル整体「からだリフォーム」代表・柔道整復師)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

萩原健史(はぎわら・けんじ)

株式会社all-win 代表取締役。パーソナル整体「からだリフォーム」、からだリフォームアカデミー代表。柔道整復師。5歳から22年プレーしたラグビーで、コンディションを整えることの重要性を実感し、27歳で治療家に転向。多様な領域から独自の治療メソッドを開発。口コミだけで日本各地の経営者やプロスポーツ選手、タレントなど延べ5万人以上の施術を行ってきた。著書に『スゴレッチ』(ダイヤモンド社)がある。

こめかみの骨をゆらして骨格のゆがみを調整

私は柔道整復師として、これまでに延べ5万人以上を施術してきました。その経験から、体の痛みや不調を予防・改善するには、体のゆがみを整えることが必要だと痛感。プロの治療家向けに、新しい整体メソッドを指導するとともに、一般のかたが自宅で手軽にできる整体法も考案しています。

その一つが、今回ご紹介する「こめかみゆらし」です。

これは名前のとおり、こめかみに指を押し当てて、ゆらすというもの。簡単な方法ですが、頭や顔周りのコリをほぐし、頭痛や眼精疲労などの目の症状、耳鳴りといった耳の症状の緩和、そして美容にとても有効です。

なぜ、私がこめかみに注目したのか。その理由を説明しましょう。

頭蓋骨は、15種類23個の骨が、パズルのように組み合わさって形成されています。その頭蓋骨の中心にあるのが、目と鼻の奥から左右のこめかみにかけて広がる蝶形骨という骨です。

画像: こめかみの骨をゆらして骨格のゆがみを調整

蝶形骨は、頭蓋骨を形成する15種類の骨のうち9種類と接しています。

12対ある脳神経の半数以上は、蝶形骨にある穴や、蝶形骨とその隣の骨のすき間を通っています。

口を開閉させる筋肉も、蝶形骨から始まっています。

つまり、蝶形骨のゆがみは頭蓋骨全体のゆがみにつながり、脳へつながる神経や血液の流れにも悪影響を及ぼすことになるのです。

蝶形骨が頭蓋骨の表面に出ているのは、こめかみからもみあげにかけての部分です。こめかみゆらしでは、人差し指から小指までの4本指をこめかみから耳の手前に押し当てて、小刻みにゆらします。

ポイントは、指の腹をぐっと押しつけたまま、皮膚の下にある骨を動かすつもりでゆらすこと。指が皮膚の上でずれたり滑ったりするのはNGです。

骨をゆらすように振動を与えることで、骨が動きやすくなり、周辺の筋肉のコリや緊張もほぐれて骨格のゆがみが正されていきます血液やリンパの流れもよくなります

何ヵ所も部分的に筋肉をもみほぐしたり、リンパを流すマッサージを行ったりしなくても、土台である骨をゆらして整えることで、頭全体のコリや滞りが解消していくのです。

頭部の緊張をほぐし血流を改善

こめかみゆらしの効果として、その場で多くの人が実感するのが、目がスッキリすることです。「視界がパッと明るくなった」「目のかすみや疲れが取れた」とおっしゃるかたが多いです。目がパッチリと開き、目の大きさ自体が変わる人もいます。

目を電球にたとえると、蝶形骨は電球のソケットの部分にあたります。こめかみゆらしで蝶形骨が本来の正しい位置に戻ることで、目の血流や視神経の通りがよくなり、物が見えやすくなるのです。眼精疲労のある人、長時間のデスクワークをしている人にお勧めです。

こめかみゆらしを実行して、頭痛が改善した人も少なくありません。頭痛の約7割を占める緊張性頭痛は、頭から首、肩にかけての筋肉が緊張することにより、頭部への血行不良が生じることが大きな原因です。

こめかみゆらしは、頭部の筋肉の緊張を緩めて頭部への血流をよくするので、頭痛の改善にも有効です。

こめかみの蝶形骨は、耳にも隣接しています。耳の血流やリンパの流れがよくなることで、耳鳴りなど耳の不調の緩和も期待できるでしょう。

たるみが取れて顔が引き締まる

見た目でわかる変化としては、顔のゆがみが取れたり、顎関節の動きがよくなったりする人もいます。

これは、こめかみゆらしを行うことで、頭の側面を走る側頭筋の緊張が緩むためと考えられます。食いしばりが強い人や歯ぎしりのある人は、側頭筋がこり固まっています。顎関節の動きも悪くなり、歯並びが乱れたり、口の開閉がしにくくなったりしているのです。

こめかみゆらしは、側頭部からあごにかけての骨格のずれや筋肉の緊張を緩めるので、顔のゆがみが気になる人は毎日の習慣にするとよいでしょう。あごのラインがシャープになるので、小顔効果も期待できます。

このほかにも、たるみが取れて顔が引き締まる、肌の血色がよくなるといった効果があります。

血液は最高の美容液ですから、頭部や顔の筋肉の緊張が緩んで血流がよくなると、自然と肌の状態もよくなるのです。姿勢の矯正も併せて行うと、さらなる美容効果が期待できるでしょう。

こめかみほぐしは、一日のどの時間帯に行ってもOKです。仕事や家事の合間、疲れたときにリフレッシュのつもりで行うのもよいですし、入浴中に湯船に浸かりながら行ってもよいでしょう。頭痛持ちの人は、痛みを感じ始めたときに行ってもかまいません。

ただし、行い過ぎは禁物です。力を入れ過ぎず、次項のやり方にある時間やセット数を超えて行うことのないようにしてください。

こめかみゆらしのやり方

※1日に1~3セット行う。
※好きなときに行ってよい。仕事や家事の合間や、入浴中に行うのがお勧め。

画像1: こめかみゆらしのやり方

左右のもみあげの上、まゆ毛の横辺りでへこんでいるところ(蝶形骨)に、両手の親指以外の4本の指を当てる。親指は自然な位置に添える。骨をつかむように、痛くない力加減で押さえる。

画像2: こめかみゆらしのやり方

しっかり押さえたまま、骨をゆらすように両手の4本の指を上下に動かす(できるところまで)。目安として、1秒に1~2往復くらいの速さで動かす。これを30秒行う。

画像3: こめかみゆらしのやり方

※4本の指が当てた皮膚からずれないように動かすこと!(皮膚をこすらない)

画像: この記事は『壮快』2022年2月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2022年2月号に掲載されています。

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