解説者のプロフィール

柴田佳一(しばた・よしかず)
柴田接骨院院長。柔道整復師。ケガの痛みはもちろん、さまざまな痛みや不調を取り除くため、ごしんじょう療法(気の流れを正しく整える療法)や、独自の三導療法(体の3点のみを刺激して、鎮痛を促す療法)など、痛みを取り除く施術にも力を入れている。
▼柴田接骨院(公式サイト)
3時間の披露宴で一度もトイレに立たずに済んだ
イチョウの実である「ギンナン」は、昔から頻尿などの尿トラブルに即効性がある食材として知られています。実は私自身も、30年以上前に効果を実感しました。
当時の私は、研修で中国を訪れていました。そのとき、現地の人から「おしっこが近いときは、ギンナンを食べるといい。結婚式の前に食べれば、トイレに立たなくて済む」という話を聞いたのです。
この話が本当なのか確かめたくなった私は、自分の結婚式の前に、ギンナンを11個食べてみることに。すると、次々にお酌をされたのにも関わらず、3時間もの披露宴で、一度もトイレに立つことなく過ごせました。
私はそれ以来、尿のトラブルを訴える患者さんに、ギンナンをお勧めしています。すると、そういった方々にも、すごい効果が見られました。いくつか症例をご紹介しましょう。
Aさん(80代男性)は、5年前から頻尿に悩まされていました。夜中は5回ほど尿意で目が覚めてしまい、薬も効かないそう。「寝不足で非常につらい」とおっしゃっていました。
そこで、施術とともに、寝る前に炒ったギンナンを5個食べるようお伝えし、翌日からは10個に増やしてもらいました。
すると、ギンナンを食べ始めて2~3日後には、夜中のトイレが1回に激減したのです。「よく眠れるようになり、体もらくになった」と、とても喜んでいました。
さらに、子どもの夜尿症にも効果がありました。まだおねしょが続いているという中学生が修学旅行に行くときに、炒ったギンナンを持たせました。それを毎晩3個ずつ食べるよう勧めたところ、おねしょをせずに過ごせたそうです。
なお、さらに幼いお子さんの場合は、1~2個にしましょう。この量でも、効果は見込めます。
3個程度から始めて徐々に数を増やす
では、なぜギンナンは、こうした尿トラブルに効果があるのでしょうか。
ギンナンは、血流を促して体を温める強い効果を持っています。近年、この効果が「ギンコライド」という、ギンナン特有の成分によるものだということがわかりました。そのため、冷えから来る頻尿に、特に効果を発揮すると考えられます。
また、ギンナンにはマグネシウムが豊富なため、尿道括約筋の働きを強化する働きもあるのだそうです。ちなみに、緊張したときにトイレに行きたくなる、心因性の頻尿に有効だった例もありました。
さて、ギンナンの食べ方ですが、私の場合は、フライパンで炒る調理法が最もお気に入りです。この方法で加熱したギンナンは、香ばしくてとてもおいしいので、ぜひお試しください。
殻をむくのが面倒な人にお勧めなのが、電子レンジを使う方法。紙製の封筒にギンナンを入れ、電子レンジで加熱するだけで、殻がパンパンと破裂し、すぐ食べられる状態になります。
食べるタイミングは、夕食時か寝る前がよいでしょう。初めて食べるときは、3個程度から様子を見て、徐々に増やすことをお勧めします。症状が改善したら、その量を毎日食べ続けるのが一番安心かと思います。
また、コンサートや観劇、結婚式など席を立ちにくいイベントの前に、ギンナンを多めに食べるという方法も効果的です。
ただし、どんな食べ物でも食べ過ぎはよくありません。
特にギンナンは、過剰に摂取するとメチルピリドキシンという成分がビタミンB6の働きを阻害し、下痢や吐き気などの中毒症状を起こす場合があります。私自身は10~20個食べても平気ですが、体質に合わせて、量を調整してください。
また、妊娠中の女性に対する安全性は、まだ確かめられていません。該当する人などは、摂取を控えた方がよいでしょう。
ギンナンの食べ方
【フライパンで炒る】
①ギンナンを食べる数だけペンチで割る。
②ギンナンを殻ごとフライパンに入れ、両面が焦げるくらいまでコロコロと炒る。

③ギンナンに焦げ目がついて香ばしい匂いがし、実が黄色から緑色の透き通った色に変わったら、火からおろす。
④殻と薄皮を取って食べる。
【電子レンジで加熱する】
①ギンナンを食べる数だけ封筒に入れる。

②封筒の口を二重に折り、電子レンジで1~2分加熱する。

③封筒を電子レンジから取り出し、ギンナンを出す。殻と薄皮を取って食べる。
※ギンナンが熱くなっているので、やけどに注意する。

この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。
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