インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、「アグニ」(消化力)が弱いと、老化や病気の元凶として考えられている「アーマ」(未消化物・毒素)がたまっていくとされています。アグニを高めるためにさまざまなスパイスを活用しますが、その代表格がショウガです。今回は「ショウガオイル」を使ったうがいと点鼻、そして頭皮マッサージをご紹介しましょう。【解説】西川眞知子(西川眞知子アーユルヴェーダ研究所代表)

解説者のプロフィール

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西川眞知子(にしかわ・まちこ)

西川眞知子アーユルヴェーダ研究所代表。上智大学外国語学部を経て、佛教大学卒業。第24代ミス横浜。幼少期に病弱だったのを自然療法で克服したのをきっかけに、大学時代にインドやアメリカを歴訪し、ヨガや自然療法に出合う。その経験と研究をもとに「日本ならではのアーユルヴェーダ」を提唱。『アーユルヴェーダで我慢しないアトピー生活』(農文協)、『ヨガのポーズの意味と理論がわかる本』(マイナビ)など著書多数。
▼西川眞知子ライフデザイン研究所(公式サイト)

老化や病気の元凶「アーマ」を排出する最強コンビ

インドの伝統医学アーユルヴェーダでは、老化や病気の元凶として考えられている、「アーマ」(未消化物・毒素)という概念があります。

アーマは、体と心にたまるススのようなもの。「消化の火」と呼ばれるアグニが弱いと、燃やしてエネルギーにできずに、体内にアーマがたまっていくとされているのです。

アグニ(消化力)を高めるために、アーユルヴェーダではさまざまなスパイスを活用しますが、その代表格がショウガです。食べたり飲んだりする他、外用としても非常に重宝されています。

今回は、その中からショウガのエキスをゴマ油に抽出した「ショウガオイル」を使ったうがいと点鼻、そして頭皮マッサージをご紹介しましょう。

ゴマ油もアーユルヴェーダでは欠かせません。浸透力が非常に高く、アーマを引き出して排出する、デトックス(毒出し)効果があり、さらに抗酸化作用のあるゴマリグナンやビタミンEが豊富で、アンチエイジング効果も高いのです。

ゴマ油といっても、一般的に料理に使われる、焙煎された香ばしい茶色のゴマ油ではなく、生のゴマから抽出した、「太白ゴマ油」を用います。

太白ゴマ油はほぼ無色無臭のサラッとしたオイルで、肌などにぬったときに吸収されやすいという特長があります。スーパーなどで販売されている食用のもので構いません。

ゴマ油の効果にショウガの効果をプラスした「ショウガオイル」は、双方の相乗効果でアーマを強力に取り去ることができるというわけです。

ショウガオイルは、刻んだショウガがひたひたになる程度にゴマ油を入れ、100℃前後に加熱(キュアリングと呼ぶ)すれば出来上がりです。

キュアリングによってゴマ油が活性化して、より浸透しやすくなり、ショウガの成分もよく油の中に浸出されます。

110℃を超えないように加熱する必要があるため、今回は湯煎での作り方をご紹介します。

画像: 消化の火(アグニ)の力を強化する

消化の火(アグニ)の力を強化する

ショウガオイルの作り方

画像1: ショウガオイルの作り方

材料
ショウガ…1~2個(保存瓶の大きさに合わせる)
太白ゴマ油…適量

画像2: ショウガオイルの作り方

ショウガはよく洗い、水気を取って皮ごとみじん切りにする。

画像3: ショウガオイルの作り方

耐熱ガラス瓶にショウガを入れ、太白ゴマ油を被る程度に注ぐ。
瓶の7分目以上に入れないようにする。

画像4: ショウガオイルの作り方

深めの鍋の中にキッチンペーパー(鍋肌に直接当てないのと揺れ防止のため)を敷いた上に②の瓶を乗せ、ショウガオイルより上(瓶の8分目程度)まで水を張る。中火にかけて、水が沸騰したら弱火にして15分加熱し、火を止めてそのまま冷ます。

画像5: ショウガオイルの作り方
画像6: ショウガオイルの作り方

オイルが冷めて常温になったら、ペーパーフィルターでこす。

画像7: ショウガオイルの作り方

出来上がり。冷暗所で保存し、2ヵ月以内を目安に使用する。

口臭が消えて白くツルツルの歯に

こうして作ったショウガオイルは、さまざまな使い方ができます。今回ご紹介する、オイルでうがいや点鼻をする(やり方は下項参照)というのは、アーユルヴェーダでは長年培われてきた健康法です。

口内の殺菌とアーマの排出に加え、口内粘膜から吸収されることで、全身、特に頭部のアーマの排出に役立ちます。

オイルうがいや点鼻をした後、鼻水や涙が出ることがよくあります。これは、たまっていた悪いものが、体内から排出されている証拠なので、どんどん出してしまいましょう。出し終えた後は、ものすごくスッキリするはずです。

オイルうがいで即座に感じられるのが、口臭が消えて舌苔が付きにくくなり、歯茎が引き締まる効果です。歯の汚れも落ちやすくなるので、オイルうがいの後に歯を磨くと歯のくすみや歯垢が取れ、白くツルツルになるのを、実践したほとんどの人が実感しています。

声枯れの改善にも非常に効果的で、声に張りが出て若々しく変わります。久しぶりに友人に電話をしたら「別人のようだ」と驚かれた方もいます。

オイル点鼻は、鼻粘膜はもちろんですが、うがいだけでは届きにくい上咽頭(鼻の奥とのどの境目)の粘膜のデトックスに非常に効果的です。

上咽頭は免疫(体の防御機構)に重要な働きをしている部位で、ここの慢性的な炎症がさまざまな病気の元となることが知られています。

鼻づまりや鼻炎、花粉症の改善に高い効果がありますが、それ以上に、五感の感度がよくなる爽快感を、ぜひ皆さんにも実感してほしいと思います。

視覚・聴覚・嗅覚・味覚や脳が、年齢とともに、なんとなくモヤーッと鈍くなった感覚がないでしょうか。オイルうがいやオイル点鼻で頭部のアーマを排出すると、こうしたモヤモヤが、まるで霧が晴れるようにスカッとします。

目に関して言うと、かすみやショボショボ感がなくなったという声が非常に多く、私自身も未だに全く老眼に悩まされずに済んでいます。耳では、耳鳴りや聞こえにくさが改善した人もいます。

さらには、粘膜から吸収されて全身のアーマの排出にもなり、体の痛みの解消、血液の浄化にも役立ちます。

また、肌のくすみやたるみ、薄毛・白髪など髪の悩みの解消には、ショウガオイルを使った頭皮マッサージがお勧めです。

頭皮の毛穴は、毒素の出口の一つですから、ショウガオイルをもみ込むようにマッサージすることで、頭部のアーマが効率的に引き出されます。

髪に張りとコシが出て、ふんわりとボリュームアップし、白髪になりにくくなります。肌には透明感が出て、引き締まってきます。

頭皮マッサージのついでに、耳にもショウガオイルをつけてもみほぐすと、さらに効果的です。

ショウガオイルの使い方

※万が一肌に異常が出たら、使用をやめてください。

ショウガオイルうがい

大さじ1弱のショウガオイルを口に含み、クチュクチュうがいを30秒、ゴロゴロうがいを30秒行う。
うがい後のオイルは飲み込まずにティッシュなどに吐き出し、燃えるゴミとして捨てる。

画像1: ショウガオイルうがい
画像2: ショウガオイルうがい
画像3: ショウガオイルうがい

ショウガオイル点鼻

ショウガオイルをスポイトに取り、片鼻に2~3滴垂らす。指で小鼻を押さえて軽くもみながら、1分ほどかけて鼻の奥に行き渡らせる。逆側の鼻腔も同様に行う。のどに垂れてきたら、ティッシュに
吐き出し、燃えるゴミとして捨てる。

画像1: ショウガオイル点鼻
画像2: ショウガオイル点鼻

ショウガオイルのヘッドマッサージ

手のひらのくぼみに10円玉大でたまる程度のショウガオイルを取る。

画像1: ショウガオイルのヘッドマッサージ

乾いた頭皮にショウガオイルを何ヵ所かに分けてつけ、毛穴にすり込むようにマッサージする。白髪や薄毛が気になる箇所は特に念入りに。耳も合わせてもみほぐすとよい。

画像2: ショウガオイルのヘッドマッサージ

シャワーキャップやタオルを巻いて5分以上おく。その間に体を洗ったり湯船につかって温まったりするとよい。その後、シャンプー(ベタつきが気になるなら2度洗い)をして洗い流す。リンス・トリートメントも通常通り行う。

画像3: ショウガオイルのヘッドマッサージ
画像: この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。

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