ショウガには優れた血行促進作用、消炎・鎮痛作用、殺菌・抗菌作用があり、活性酸素を消去する「抗酸化物質」も豊富に含みます。太白ゴマ油にも消炎作用、強い抗酸化作用があり、ビタミンEなども含んでいます。「ショウガ油」は、痛みやこり、肌のかゆみの解消からめまいやセキの鎮静まで幅広く活躍する、家庭の万能薬といえるでしょう。【解説】三浦直樹(みうらクリニック院長)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

三浦直樹(みうら・なおき)

みうらクリニック院長。兵庫医科大学卒業。関西医科大学、西本クリニック等を経て、2009年みうらクリニック開院。肉親のがんをきっかけに、西洋医学の限界と矛盾を強く認識。以来、約20年間、治療法の選択肢を広げるべく、自然療法の研究・実践を開始。病気にならない生活習慣のアドバイスを行う一方で、「難病と言われても諦めない」をモットーに、他の病院では行っていない治療法なども効果や安全性を考えながら取り入れている。『顔を見れば隠れた病気がわかる』『薬だけに頼らず病気を治す家庭療法の教科書』(マキノ出版)など著書多数。
▼みうらクリニック(公式サイト)

血行促進、消炎鎮痛、殺菌抗菌、保湿に幅広く活躍

私のクリニックでは、薬だけに頼らず、食事やストレスケアなども含め、体が本来持っている自然治癒力を引き出す診療を行っています。

古来伝わってきた、身近な植物や食材を使った「手当て法」は、ご家庭で安全に実践できる知恵の結晶です。私も、患者さんにセルフケアとして指導しているものが多くあります。

中でも、ショウガの搾り汁と太白ゴマ油(生のゴマから抽出したほぼ無色無臭のゴマ油)を混ぜて乳化させた「ショウガ油」は、痛みやこり肌のかゆみの解消からめまいやセキの鎮静まで幅広く活躍する、家庭の万能薬といえるでしょう。

ショウガには、優れた血行促進作用、消炎・鎮痛作用、殺菌・抗菌作用があり、さまざまな病気の元凶となる活性酸素を消去する「抗酸化物質」も豊富に含みます。

一方の太白ゴマ油にも消炎作用があり、強い抗酸化作用を持つセサミノールや、若返りのビタミンとの別名を持つビタミンEなどを含んでいます。

油なので高い保湿作用がありますが、浸透性が高いためベタつきが残りにくく、使いやすいでしょう。有機栽培原料を低温圧搾したものだと、さらに安心です。

生姜油をすり込みながらマッサージすると効果的

ショウガ油は、消炎作用と高い保湿作用から、カサカサタイプのアトピー性皮膚炎や老人性皮膚掻痒症、しもやけなど、冷えや乾燥からくる肌のかゆみの改善に、非常に効果的です。

先日も、アトピー性皮膚炎の小学生のお子さんをお持ちの方からこんな話を伺いました。

お子さんは幼少時からアトピーで、ステロイドと保湿剤が欠かせなかったそうです。それでも就寝前になると背中のかゆみがひどくてなかなか寝付けず、就寝してからもかゆみで目が覚めてしまうことがよくあったとのこと。

それが風呂上がりにショウガ油をぬったら、直後からピタッとかゆがらずに熟睡でき、「処方薬より、よっぽど効きました」と大変喜ばれていました。

ただし、ジュクジュクしたタイプのアトピー性皮膚炎には不適です。かえって悪化するので使用しないでください

また、特に冷えると悪化するひざや腰などの関節痛や関節リウマチ、生理痛などの婦人科疾患、肩こりやそれに伴う頭痛などには、患部にショウガ油をすり込みながらマッサージをするのが効果的です。ショウガ油をガーゼなどに染み込ませ、湿布にしてもよいでしょう。

私自身も、肩がこったときには肩にショウガ油をすり込み、温熱パッドなどを当てて温めるなどして、ケアしています。

また、血管や気管を拡張する作用を利用して、めまいや頭痛、ぜんそく発作やセキの鎮静にも役立ちます。

ただし、初めて肌につけるときには、いきなり広範囲にぬらず、必ずパッチテストを行って、皮膚に異常が起こらないことを確認してください。

就寝前に二の腕の内側など皮膚の柔らかい部分に10円玉大にショウガ油をぬり、翌朝、肌に赤みや腫れ、かゆみなどが起こっていた場合は、使用してはいけません。

ショウガ油の作り方

画像1: ショウガ油の作り方

材料
ショウガ…搾り汁が10~15ml取れる分量
太白ゴマ油…ショウガ汁と同量

画像2: ショウガ油の作り方

ショウガをよく洗い、水気を取って皮ごとすりおろす。搾って10~15mlの汁を取る。

画像3: ショウガ油の作り方

深めの小皿にショウガ汁と同量の太白ゴマ油を入れ、ショウガ汁を1~2滴加える。最初から一気に混ぜると分離したままになるので注意。

画像4: ショウガ油の作り方

指でよくすり混ぜ、混ざったらまた数滴ずつショウガ汁を加えて混ぜるのをくり返す。ショウガ汁の割合が増えるにつれ、加える量を3~5滴、7~8滴と少しずつ増やしてよい。

画像5: ショウガ油の作り方

薄黄色のトロッとした乳液状になったら出来上がり。

画像: 【生姜油の作り方】材料は2つだけ  冷えると悪化する痛み、乾燥による皮膚のかゆみにおすすめのセルフケア

※基本的に使う量だけその都度作る方がよいが、何回分かをまとめて作っておいてもよい。その場合は保存容器に移して冷蔵庫で保存し、1ヵ月以内に使い切る。酸化しにくい、口の小さな容器がお勧め。分離した場合は、再度乳化させて使うこと。

ショウガ油の使い方

※万が一肌に異常が出たら、使用をやめてください。

症状が出ているときには即時ぬる。その他、予防的には1日3回程度ぬるとよい。
初回は必ずパッチテストを行う。夜寝る前に二の腕の内側に少量のショウガ油をぬり、翌朝、ぬった部分の肌に赤みやかぶれなどの異常が起こっていないかを確認すること。

[頭痛・めまい]
耳の後ろ、首すじ、肩にたっぷりとすり込む。

画像1: ショウガ油の使い方

[セキ・ぜんそく]
のどから胸にかけてたっぷりとすり込む。

画像2: ショウガ油の使い方

[ひざ、腰などの関節痛]
痛みのある部位にたっぷりすり込む。または、ガーゼなどにショウガ油を染み込ませ、患部に当てる。服や周囲に付かないようラップで覆っておくとよい。1時間ほどで外し、ベタつくようなら拭き取る。

画像3: ショウガ油の使い方

[アトピー性皮膚炎・老人性皮膚掻痒症]
かゆみのある部位にたっぷりとすり込む。

画像: この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。

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