多彩なショウガの食べ方の中でも、特にお勧めなのが「酢ショウガ」です。この二つの食材は、ダイエットをはじめ、血液や血管の健康維持、骨粗鬆症の予防、胃腸の調子の改善、うつ、気分の落ち込みの改善など、さまざまな病気・不調の改善に役立つ、最強の組み合わせなのです。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)

解説者のプロフィール

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石原新菜(いしはら・にいな)

イシハラクリニック副院長。医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での勤務を経て、現在、自然医学の泰斗で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療に当たっている。雑誌をはじめ、テレビやラジオなどのメディアへの出演が多数。『女のキレイは30分で作れる』(マキノ出版)、『病気にならない 蒸しショウガ健康法 』(アスコム)など、著書、監修書も多く手がける。近著、『新装版 カラダの不調が消える奇跡の「腹巻き健康法」 』(ロング新書)が好評発売中。
▼イシハラクリニック(公式サイト)

血液をサラサラにして動脈硬化を予防する

これまで、健康維持に役立つショウガの使い方・食べ方を紹介してきましたが、そんな多彩なショウガの食べ方の中でも、特にお勧めなのが「酢ショウガ」です。

酢ショウガとは、酢にみじん切りのショウガを漬けたもののこと。実は、この二つの食材は、生活習慣病をはじめとするさまざまな病気・不調の改善に役立つ、最強の組み合わせなのです。

では、改善が期待できる症状について見ていきましょう。

血液や血管の健康維持

ショウガの辛味成分であるジンゲロールと、ジンゲロールを加熱してできるショウガオールには、血管を広げて血流をよくしてくれる働きがあります。

また、ジンゲロールは血中の中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールを減らし、血液をサラサラにします。そのため、動脈硬化の予防にも役立ちます。

一方の酢は、主成分である酢酸が血圧の上昇を抑えたり、血中の中性脂肪を減らしたりする働きを持っています。さらに、食後血糖値の上昇を抑える効果や、血栓(血液の塊)をできにくくする効果も期待できます。

これらの作用から、動脈硬化や高血圧、高脂血症、糖尿病などが気になる人に、とてもお勧めの食品だと言えます。

ダイエット

当院の患者さんの中には、「酢ショウガを食べていたら、3~4kgやせた」という人が何名かいらっしゃいます。これは珍しい話ではなく、私も実際に、酢ショウガなどの常食で10kgやせた経験があります。

それもそのはず、酢とショウガには、それぞれダイエットにおいて見逃せない成分が含まれているのです。

まずは、ショウガについてです。ショウガのジンゲロールには、体の表面に近い部分の血流をよくして、汗をかきやすくする効果があります。ショウガオールは、体の深部の血流をよくし、内臓脂肪の燃焼を促します。

そのため、ショウガを生で食べても、加熱調理などに使用しても、それぞれ脂肪燃焼効果が期待できます。

酢の酢酸にも、脂肪の蓄積を抑えたり、内臓脂肪の燃焼を促したりする働きがあります。そのため、酢とショウガを一緒にとれば、これらのダイエット効果を一度に得られるのです。

骨粗鬆症の予防

女性は、閉経後に骨密度が低下しやすくなります。これは、女性ホルモンの分泌が減ることで、骨の新陳代謝のバランスが乱れるためです。

そんな骨の弱りを抑えるのにも、酢ショウガが役立ちます。

酢の酢酸には、カルシウムの吸収を高める働きがありますし、ショウガに含まれる亜鉛は、女性ホルモンのバランスを整えます。さらに、全身の血流がよくなることで、骨の新陳代謝も高まり、骨密度の低下を抑えやすくなります。

胃腸の調子の改善

ショウガの辛味成分には、健胃作用があります。また、二日酔いや抗がん剤の副作用による吐き気止めにも、ショウガが役立つと言われています。

酢に含まれるクエン酸も、胃酸の分泌を促して、消化吸収を助けます。さらに、酢は発酵食品でもあるため、便通の調子を整える効果も期待できます。

うつ、気分の落ち込みの改善

ショウガやシソの葉、シナモンは、漢方では「気剤」と呼ばれます。生命エネルギーの一種である「気」の流れをよくすることで、うつや気分の落ち込み、不眠などの解消に役立つからです。

このようなショウガの効果に加え、酢とショウガの二つの力で血流がよくなり体が温まれば、気分も晴れやすくなるでしょう。

胃が弱い人は少量から始めよう

酢ショウガの作り方は、次の項をご覧ください。食べる量は、1日に大さじ2~3杯を目安にするとよいでしょう。これより多くとっても、基本的には問題ありません。

ただし、空腹時にいきなりたくさんの量を食べると、胸やけなどが生じることがあります。また、胃が弱い人の場合は、少量から始めてみてください。

酢ショウガを作る際は、目的に合わせて酢を使い分けるのもお勧めです。特に、生活習慣病の予防・改善にお勧めしたいのが、きび酢(サトウキビが原料の酢)です。

実は、最近の研究で、きび酢には米酢の約10~20倍のミネラルが含まれていることがわかりました。一方で、過剰に摂取すると血圧が上がる要因になるナトリウムが、他の酢と比べて少ないことも判明しています。

こうした酢とショウガを合わせれば、より高い健康効果が期待できると考えられます。 

画像: 【酢生姜の作り方】血液と「気」の流れを改善する常備食   生活習慣病からメンタルの落ち込みまで防ぐ

酢ショウガのここがすごい!
血流改善に役立つ
酢…血圧や食後血糖値の上昇を抑える+血栓ができるのを防ぐ
ショウガ…血中の中性脂肪やLDLコレステロールを減らす+血液をサラサラにする
ダブルで脂肪を燃焼!
酢…内臓脂肪を燃焼+脂肪の蓄積を抑える
ショウガ…発汗作用+内臓脂肪の燃焼
使う酢で効果がアップ!
黒酢…ダイエット効果に◎
きび酢…生活習慣病の予防・改善に◎

酢ショウガの作り方

画像1: 酢ショウガの作り方

材料
ショウガ……200g(市販のもので2~3個)
酢……約200ml(ショウガが浸る程度の量)
ハチミツ……大さじ1(好みで増減してもよい)
密閉できる保存瓶……1本(ガラス製がお勧め)
※使用する酢は、米酢、黒酢、リンゴ酢、きび酢など、醸造酢であればなんでもよい。

画像2: 酢ショウガの作り方

ショウガはよく洗い、皮をむかずにみじん切りにする。

画像3: 酢ショウガの作り方

①を耐熱容器に入れ、少量の水(分量外:大さじ1〜2程度)を加えてラップをかけ、電子レンジ(600W)で1分30秒ほど加熱する。
※加熱することにより、ショウガの体を温める効果がアップする。
※水を加えるのは、加熱中にショウガが焦げるのを防ぐため。

画像4: 酢ショウガの作り方

②の粗熱が取れたら、保存瓶に移し、酢を注ぎ入れる。ハチミツを加えて、全体を軽くかき混ぜる。

画像5: 酢ショウガの作り方

ふたをして冷蔵庫で一晩漬け込めば出来上がり。冷蔵庫で保存し、2週間以内で食べ切るようにする。

■イラスト/本山浩子

画像: この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2022年1月号に掲載されています。

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