アボカドには大きな「種」が入っていますが、ダイエットや高血圧改善に有効な成分は、この種に多く蓄えられているのをご存じでしょうか。ペクチンやカテキン、クロロゲン酸など、いずれも水に溶けだす性質を持っているため、お茶にすれば手軽にこの有効成分を摂取できます。【解説】望月理恵子(管理栄養士)

解説者のプロフィール

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望月理恵子(もちづき・りえこ)

管理栄養士。山野美容芸術短期大学講師。服部栄養専門学校特別講師。管理栄養士として、食事による美肌作りや、健康増進の知識を教える。著書『やせる時間に食べてみた!』(主婦の友社)が発売中。

肥満や生活習慣病を防ぐ成分が豊富

※アボカドを食べて、アレルギー症状が出たことがある方は、種茶の飲用は控えて下さい。

アボカドの果肉の中には、大きな「種」が入っています。アボカドの栄養素の中でも、ダイエットに有効な成分は、この種に多く蓄えられているのをご存じでしょうか。

アボカドの種に含まれる成分として、まず「食物繊維」が挙げられます。アボカドの果肉(可食部)には、100g当たり約5gの食物繊維が含まれますが、種には約8gもの食物繊維が含まれているという研究報告もあります。

アボカドの種は1個40gと100gに満たない上に、可食部分ではないので、単純な比較はできません。しかし、果肉部よりも種の方が食物繊維の密度は高いのです。

そもそも食物繊維は、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」に大別されます。アボカドの種に含まれる食物繊維は4割が水溶性、6割が不溶性です。

水溶性食物繊維は水に溶けて腸内でゼリー状に変化し、食べ物をゆっくり運ぶ働きがあります。すると、消化物は吸収速度がゆるやかになるので、食後の血糖値の急上昇が抑えられます。

また、アボカドの種に含まれる水溶性食物繊維は、ほとんどが「ペクチン」です。このペクチンには、コレステロールを吸着し、体外に排出する働きがあります。つまり、コレステロール値を降下させてくれるということです。

ですから、アボカドの種の食物繊維は、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などを防ぐ効果が期待できます。

一方、不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸を刺激して内容物を先に送りだす動き(蠕動運動)を活発にします。その結果、お通じがよくなるのです。

近年、食生活の変化によって日本人の食物繊維摂取量は減り、平均摂取量は1日あたり男性が19‌g、女性が17g前後といわれています。厚生労働省の摂取目標量は18~64歳で男性21‌g以上、女性18‌g以上なので、少し足りていません。ですから、意識して食物繊維をとる必要があります。

話は戻りますが、アボカドの種にはポリフェノール(光合成によってできる植物の色素や苦味の成分)も豊富です。

ポリフェノールの種類としては、強力な抗酸化作用肥満防止作用のある「カテキン」、血圧降下作用肝臓への脂肪の蓄積を防ぐ作用のある「クロロゲン酸」などが含まれています。

こうした多くの有効成分を含むアボカドの種を、捨ててしまうのはもったいないことです。そこでお勧めなのが、アボカドの種を煮出して作る「アボカドの種茶」です。

お茶にすれば有効成分を手軽にとれる

前述した水溶性食物繊維やカテキン、クロロゲン酸は、いずれも水に溶けだす性質を持っています。アボカドの種を食べるのは無理がありますが、お茶にすれば手軽に有効成分を摂取できるというわけです。作り方も簡単です。

※注意
種をしっかり拭くと、切りやすくなる(ケガに注意)。
・アボカドを食べて、アレルギー症状が出たことがある方は、種茶の飲用を控える

まず、アボカドの種を包丁で1cm幅の半月切りにします。硬そうなイメージがあるかもしれませんが、実際に切ると、さほど硬くはありません。

生のニンジン程度の硬さといえばわかりやすいでしょうか。ただし、滑りやすいので、滑り防止のために、まな板にペーパータオルを敷くとよいでしょう。

画像: キッチンペーパーでよく拭き、1cm幅で半月切りにする。

キッチンペーパーでよく拭き、1cm幅で半月切りにする。

鍋に1.5Lの水と種を入れて中火にし、沸騰したら弱火で30分ほど煮ます。ハーブティーのようなきれいな褐色になるまで煮たら、密閉容器に移して冷蔵庫に保存し、2~3日で飲み切ってください。

画像: 鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして30分ほど煮出したら出来上がり。

鍋に入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして30分ほど煮出したら出来上がり。

アボカドの種茶は、温めて飲んでも、冷たくして飲んでも、構いません。土の香りが少しありますが、えぐみは少なく、比較的飲みやすいと思います。飲みづらく感じる方は、搾ったリンゴやレモン、ハチミツを加えてもよいでしょう。

画像: お茶にすれば有効成分を手軽にとれる

飲む目安は、朝昼晩の1日3杯にしてください。これよりたくさん飲んでもいいのですが、飲めば飲むほど効果を期待できるというものでもありません。

肝心の働きとして、一番に挙がるのはダイエットになります。その他、お通じの改善がみられた方もたくさんいます。

血糖値の急上昇が抑えられ過剰な食欲が落ち着く

2016年に、私はテレビ番組の企画で、アボカドの種茶を20代、30代、40代の女性にそれぞれ2週間続けて飲んでもらう実験を行いました。

20代女性は2日に1回だったお通じが毎日になり、おなかの張った感じが消え、体重は1kg減。30代女性は2~3日ないのもたびたびだったお通じが毎日になり、体重1kg減。慢性便秘に悩んでいた40代女性は、1.5kg減という結果でした。

同番組でお笑い芸人の、ゆりやんレトリィバァさんも、アボカドの種茶を飲むことに加えて、軽い運動を取り入れ、2週間で8kgの減量に成功しました。当時のゆりやんさんは「パスタ3人前をペロッと」というほど食事量が多い状態でした。

ところが、アボカドの種茶を飲むうちに自然と食欲が抑えられ、我慢せずに食事量が減りました。アボカドの種茶の効果で、血糖値の上昇が抑えられて、過剰な食欲が落ち着いたのでしょう。

なお、アボカドの種茶は、アボカドの果肉部と同様のアレルギー成分を含んでいます。アボカドを食べてアレルギー反応が出たことがある方は、飲用を控えてください

画像: この記事は『安心』2021年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年12月号に掲載されています。

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