市販の国産アズキのポリフェノールは他の食品を圧倒する量で、赤ワインの約1.5倍の含有量になります。当の吸収や血糖値の急上昇を抑えるので、ダイエットにもつながります。また、中性脂肪、コレステロールの数値が気になる方、高血圧の方にも、アズキスープはお勧めです。【解説】加藤淳(名寄市立大学栄養学科教授)

解説者のプロフィール

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加藤淳(かとう・じゅん)

名寄市立大学栄養学科教授。農学博士。帯広畜産大学大学院修了。豪州クイーンズランド大学、北海道立総合研究機構・中央農業試験場、道南農業試験場などを経て現職。豆類の研究を行うとともに、「アズキ博士」として講演や普及活動に尽力。
▼専門分野と研究論文(CiNii)

糖が吸収されにくくなり血糖値の上昇が緩やかに

私は長年、豆類の研究を続けてきました。その中でも特に、アズキは優れた健康食材と言えます。メタボリック症候群から始まる生活習慣病の防止、女性に多い冷えやむくみ、便秘の改善、さらにはダイエット効果も期待できます。

アズキに含まれる健康成分を余さず取れる調理法として、私が特にお勧めしているのが、ここで紹介する「アズキスープ」です(詳しい作り方は下項を参照)。毎日とることで、ダイエットに成功した方も多くいます。

テレビ番組『解決! ナイナイアンサー』(日本テレビ系)では、島田晴香さん(元AKB48)がアズキスープを2週間、食前にとり続けたところ、おなか周りがスッキリして3kgやせたと話されていました。

また、テレビ番組『ピラミッド・ダービー』(TBS系)では、お笑いコンビ「北陽」の伊藤さおりさんが同様にアズキスープを1週間、食前にとるダイエットに挑戦。結果、3.6kgの減量に成功されました。

なぜダイエット効果があるのかを、アズキの成分から解説していきましょう。

まず、アズキの成分の中で最も注目すべきは「ポリフェノール」です。ポリフェノールとは、植物が身を守るために作り出す成分で、強力な抗酸化作用(老化を招く活性酸素を除去する働き)があります。

アズキに含まれるポリフェノールには、カテキングルコシド、カテキン、ルチンなどがあります。市販の国産アズキ100g中には300~600mg程度のポリフェノールが含まれます。これは他の食品を圧倒する量で、ポリフェノールが多いことで知られる赤ワインの約1.5倍の含有量になります。

私たちは、このアズキのポリフェノールに血糖値の上昇を抑える作用があることを、動物実験で確認しています。

マウスに砂糖水を飲ませると、人間と同じく血糖値が急激に上昇します。通常、そのピークは30分後ですが、あらかじめマウスにアズキのポリフェノールを与えておくと、そのピークが60分後になり、しかも血糖値の上昇が緩やかになりました。

ヒトでの研究でも、多少のばらつきはあるものの、同じ傾向が認められました。

血糖値の上昇が抑えられるのは、アズキのポリフェノールが腸内で、糖を分解する酵素の働きを抑えるためと考えられます。それによって、糖が吸収されにくくなり、血糖値の上昇が緩やかになるのです。

このことは、糖尿病対策に役立つのはもちろん、糖の吸収を抑えるので、ダイエットにもつながります。

また、ヒトを対象とした研究で、アズキのポリフェノールを4週間とると、高かった中性脂肪の検査値が下がるという結果も出ています。

中性脂肪は、糖質をとり過ぎると増え、体脂肪に変わっていくものですから、この働きもダイエット効果につながります。

同時に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール値)も、アズキのポリフェノールを4週間摂取すると下がりました。中性脂肪だけでなく、コレステロールの数値が気になる方にも、アズキのポリフェノールをふんだんに含むアズキスープはお勧めです。

また、遺伝的に高血圧になる実験用のラットに、アズキのポリフェノールを与えた実験では、高血圧にならずに血圧が維持されました。さらに、すでに高血圧になったラットにアズキのポリフェノールを与えると、血圧が下がるという結果も出ています。

このように、動物実験と人間の臨床試験の両方において、アズキは生活習慣病の防止に有効と示唆されています。

サツマイモやゴボウより食物繊維が多い

さらに、アズキは食物繊維が豊富です。ゆでたアズキ100g当たりの食物繊維含有量はなんと12.1g。焼きイモが3.5g、ゆでたゴボウが6.1gですから、その多さは際立っています。食物繊維を多くとると、満腹感が増して、食べ過ぎを防げます。

また、アズキの食物繊維の9割は水に溶けない不溶性食物繊維で、便のかさを増して便秘を解消し、大腸をきれいにしてくれます。

実際のところ、アズキをとっていたら、便秘やむくみが解消したという方が多くいます。

前述のアズキスープは、水溶性のために煮汁に出てしまうポリフェノールも逃しませんし、食物繊維も全て取れます。

私自身もアズキをスープにしてよく食べています。そのためでしょうか、62歳の今も30代の頃から体重が増えていません。身長165cmで体重60~62‌kg。肥満度の指標となるBMIは、一般に最も健康的とされる「22」を維持しています。健康診断の血液検査の結果もなんら問題なしです。

私は2年前に還暦を迎え、大学の教授の職に就きました。年齢に加えて、コロナ禍もあって研究者時代よりも運動量が格段に減りました。それでも太らないのは、アズキのおかげでしょう。

ダイエット、むくみ、冷えに!
アズキスープの作り方

画像: ダイエット、むくみ、冷えに! アズキスープの作り方

材料(1 日分)
アズキ……50g 
塩……適量
熱湯……400~500ml
保温ポット(魔法瓶)

作り方
①保温ポットにアズキと塩を入れる。
②熱湯を①に注ぐ。
③しっかりとふたを閉めた②をよく振って、横に倒して7時間以上おく。

基本のとり方
朝昼晩の食前に飲む。アズキを一緒に食べてもよい。

■調理・スタイリング/古澤靖子

画像: この記事は『安心』2021年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2021年12月号に掲載されています。

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