プロフィール

渡辺新(わたなべ・しん)
塩シャンドットコム代表。ヘアスタイリスト。薄毛に悩み、幾多の育毛法を自ら実践・研究の末、塩シャンプーを発見。啓蒙活動に邁進する。サロンにて独自のヘアケア法や薄毛が目立たないヘアスタイルも開発。著書に『なぜサーファーにハゲはいないのか 塩シャンプーで髪が増えた!』(扶桑社)がある。
塩浴を試したら体毛が強く太くなった
※塩を肌に塗る際は、必ずパッチテストをしてください。少量を塗ってしばらく時間をおき、様子を見て、赤みやかゆみなどの異常が現れたら、直ちに中止してください。
私が薄毛に悩み始めたのは、高校生のころです。もともと私は父親譲りの薄毛体質で、20歳を過ぎると、明らかに額が後退し始めました。
なんとか進行を防ぎたい。髪のことで悩み続けた末、ヘアスタイリストの道に進みました。
思いつく限りの育毛法を実践し、目につくすべての育毛剤を購入しましたが、頭頂部の抜け毛は増えるばかり。とにかくハゲたくない一心で、あらゆる育毛法・増毛法を試しました。
そんな私を救ったのが、塩でシャンプーする「塩シャン」です(やり方は下項を参照)。
40歳を目前にしたある日、無理がたたったのか、突然、体調不良に襲われました。慢性的なだるさや不眠、のぼせに悩まされ、体と顔がむくみ、数ヵ月で別人のようになりました。複数の病院で検査を受けましたが、結果は異常なしです。
不調が続くなか、友人から、「塩浴というのがいいらしい」と聞きました。なんでも、塩を溶かした湯を体に塗ったり、塩を入れた湯船に浸かったりするのだそう。半信半疑で試したところ、不思議なことに、体調が徐々に快方に向かいました。
このときは心底困って、サプリメントを服用し、食事や飲み水まで変えていたので、塩浴だけのおかげではないかもしれません。
ただ、確実に塩の効果だと感じたことがあります。全身の体毛が、濃くなったのです。
高校生のころには普通に生えていた体毛ですが、頭髪と比例して薄くなっていました。塩浴を始める前、腕や足に、毛はほとんど生えていませんでした。
ところが塩浴をするうちに、体毛が増えたというか、1本1本の毛が、強く、太くなってきたのです。それなら、髪の毛にもいいのでは。そう考えたのが塩シャンの始まりです。
「髪が増えた?」と声をかけられる
2015年の4月から塩シャンを実践したところ、わずか数日のうちに変化が現れました。
髪の毛にコシが出て、根もとから立ち上がるようになったのです。やはり、増えたというよりは、力強くなった感じです。髪がしっかりと頭皮にくっついている感覚があります。
1ヵ月もすると、額に細かい産毛が生え始めたことに気づきました。「やっぱり塩シャンには育毛効果がある!」と喜びがあふれました。
一方、このころから、フケやかゆみに悩まされるようになりました。また、塩シャンをすると、頭皮からヌルヌルとした脂が出て、髪がべたつきます。
こうしたトラブルは、洗髪前に念入りに髪をブラッシングして、あまり気になるときは塩で洗っては流すことをくり返すとだいぶ改善できます。過ぎてしまえば、一時的な現象でした。
試行錯誤しながらも、続けること4ヵ月。会社で「最近、後ろから視線を感じるような」と思っていたら、同僚たちが私の頭頂部の変化を話題にしていたとわかりました。「髪が増えたんじゃない?」などと、声をかけられるようになったのです。
頭の手触りが以前と違うことは薄々感じていましたが、頭頂部をスマホのカメラで撮影してみました。多くの育毛法を試しては、そうして自分の薄毛ぐあいを確認してきた私です。

しかしそこには、それまで見知っていたのとは異なる光景がありました。円形状に薄くなっていた部分に、産毛が新たに生えて黒くなっていたのです。
正直、少し涙がにじんだほど、うれしかったのを覚えています。
頭頂部がフサフサになった今でも、塩シャンを継続中です。塩シャンのすばらしさを日々発信し、仲間を増やしています。薄毛に悩む人は、いっしょに塩シャンしてみませんか。
渡辺さんの塩シャンのやり方
塩シャンに向く塩
海水を原料とし、ミネラルを多く残して作られた、粒が小さめで溶けやすい塩がお勧め。精製塩や岩塩は向かない。
やり方
❶髪と頭皮を十分に濡らす。
❷塩を手に取り(大さじ1杯以上が目安)、髪の上にのせる。濡れた髪の水分で塩を溶かしつつ、髪の根もとや頭皮に、塩が溶けた水をやさしくすり込む。
❸頭皮をもむようにやさしくマッサージし、5分ほどおく。
❹多めの湯で、頭皮と髪を十分にすすぐ(リンスは使わない)。
※かゆみやフケが気になる場合は、①の前に3~5分ほどブラッシングする。
※④のあと、べたつきが気になる場合は、②以降を再度くり返す。
皮脂分泌が正常に戻り毛根が元気を回復
白金ビューティフルエイジングクリニック院長 山口麻子
合成シャンプーは、強い洗浄力で皮脂や保湿成分を取り除きます。すると頭皮は、不足する潤いを補おうと、皮脂を過剰に分泌。この悪循環のなかで急に塩シャンに切り替えると、頭皮が従来のペースで皮脂を出している間、どうしてもヌルヌルするのです。これは、湯で洗う湯シャンでも同じことです。
皮脂の分泌が正常に戻り、頭皮が健やかになると、毛根も元気を回復します。育毛にもいい効果が期待できるでしょう。
[別記事:【塩で体を洗う】美容皮膚科医がおすすめ 天然保湿因子が作用し健やかな肌に→]

この記事は『壮快』2021年12月号に掲載されています。
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