最初のうちは、頭や体がヌルヌルしたり、嫌なにおいがしたりと、かなり戸惑いました。けれども数日するとそれも落ち着き、ウロコのように荒れた肌が改善。かきむしった傷あとも薄くなり、皮膚の状態が劇的によくなったのです。【体験談】松本和子(塩浴研究家・株式会社三栄代表取締役)

プロフィール

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松本和子(まつもと・かずこ)

塩浴研究家。株式会社三栄代表取締役。父の松本永光氏は「伯方の塩」で知られる伯方塩業株式会社の創立メンバーの1人であり、『塩浴革命』(三栄)ほか、塩についての著書多数。2001年に亡くなった父の志を受け継ぎ、塩浴を実践し、普及に努めている。著書に『塩だけで顔も体も洗ってしまう新習慣 塩浴生活をはじめよう!』(KADOKAWA)がある。

原因不明の湿疹に「塩浴」を試した

※塩を肌に塗る際は、必ずパッチテストをしてください。少量を塗ってしばらく時間をおき、様子を見て、赤みやかゆみなどの異常が現れたら、直ちに中止してください。

今から30年以上も前、10代のころの私は、原因不明のひどい湿疹に悩まされていました。

手荒れのような状態から始まり、指に小さな水泡ができました。かゆくなってかくうちに、腕や首、顔までポツポツが広がり、しまいには全身がかゆくてたまらなくなったのです。

あとから考えると、当時はアルバイトで洗剤を使った水仕事をすることが多く、それが発端になったのだと思います。化学物質へのアレルギー反応だったのかもしれません。

寝ている間もかゆくて、無意識のうちにかいてしまうため、朝起きたら、手や首、寝具が血まみれ状態。水泡が破れると、皮膚がカサカサに乾き、さらにウロコのようになって、首の皮膚はまるで恐竜のようでした。

あまりにつらく、このころから20歳までの写真は、私の手元にほとんどありません。まれに写り込んでいても、写真の中の私は、顔が見えないほどうつむいています。とても被写体になれる状態ではなかったのです。

もちろん、いろいろ治療法を探りましたが、いっこうによくなりません。そんな私がすがる思いで試したのが、「塩浴」でした(やり方は下項を参照)。

塩浴は、たっぷりの塩を溶かした湯を髪や体に塗ることで、全身を洗う入浴法です。私の父が、医師の湯浅寛先生(故人)から教えを受け、研究と実践を重ねた末に確立しました。

実はそれまでにも、父から塩浴を勧められたことは、何度もありました。若かった私は、父に対する反抗心や「シャンプーも石けんも使わないなんて、ありえない」という思い込みもあり、応じませんでした。

けれどもこのときは、あまりにひどい症状を見かねた父が熱心に勧めてきたので、試すことにしたのです。それは忘れもしない、21歳のゴールデンウィーク。予定を入れず、引きこもる覚悟で塩浴を始めました。

松本さんの塩浴のやり方

用意する物
塩…160g程度(粒が大きくなく添加物の入っていない物)
500ml以上入る広口の容器(プラスチックなどサビにくい材質の物)

塩湯の作り方
塩と、40度くらいの湯500mlを、容器に入れてよく混ぜる。溶け切らない塩が容器の底に少し残るくらいが目安。

やり方
湯船に浸かり全身を温める(シャワーでも可)。
洗いに出たら、塩湯を手ですくい、頭から足先まで、全身に塗り延ばす(塩の粒を直接肌に塗ったり、こすったりしない)。
湯でよく洗い流す。さらに湯船に浸かるとなおよい。
仕上げに冷水を浴びる(難しければぬるま湯でも可)。
※塩湯は好みで薄めて使ってもよい。
※洗髪は、洗面器に濃いめの塩湯を作り、頭ごとその中に浸けて、ゆすいでもよい。

今は全身をお湯で洗うだけ

最初のうちは、頭や体がヌルヌルしたり、嫌なにおいがしたりと、かなり戸惑いました。けれども数日するとそれも落ち着き、日が経つにつれて気にならなくなりました。

すると、連休が終わるころには、ウロコのように荒れた肌が改善。かきむしった傷あとも薄くなり、皮膚の状態が劇的によくなったのです。その後も続けるほどに、肌が健やかになっていくのを実感できました。

だんだん、ヌルヌルした脂が出なくなり、3年ほどで「もういいかな」と思ったことから、塩浴の回数が、自然と減りました。

以来、塩すらほとんど使わず、全身をお湯で洗うだけ。それでも、30歳になる前には「昔は荒れてボロボロだった」と話しても信じてもらえないほど、キレイな肌に変身しました。

振り返れば、塩浴を始める前の私は、汗をかかない体質だったようです。たまに汗が出てもひじの内側ににじむ程度で、すぐにあせもになりました。

けれども塩浴を続けるうち、皮膚がきちんと機能するようになったのでしょうか。普通に汗をかけるようになり、あせもも出にくくなりました。

メイクは全くせず、化粧水などの基礎化粧品すら使いませんが、肌はスベスベです。私は今年で51歳になりますが、同年齢の人に比べ、シミやシワが少ないほうだと思います。白髪も、ほとんどありません。

当初はあれほど否定していた塩浴ですが、今は父にとても感謝しています。同じように悩むかたは、まずは1週間、塩浴を試されてはいかがでしょうか。

ミネラル成分も手伝い肌トラブルが改善
白金ビューティフルエイジングクリニック院長 山口麻子

お父様が考案された「塩浴」は、塩を溶かした湯で全身を洗う入浴法とのこと。塩を直接すり込むと肌が傷つくおそれがあるので、塩湯を塗るのはとてもいい方法だと思います。

松本さんの塩湯は飽和食塩水で、塩分濃度が高いため、肌に炎症があると染みるおそれがあります。やりかたにあるとおり薄めて使ってもよいでしょう。

ひどい湿疹などの肌トラブルは塩のミネラル成分も手伝って、改善したと思われます。

[別記事:【塩で体を洗う】美容皮膚科医がおすすめ 天然保湿因子が作用し健やかな肌に→

画像: この記事は『壮快』2021年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年12月号に掲載されています。

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