肩や首がひどくこっている人ほど高血圧の傾向があります。これは、筋肉がこってかたくなることで血管が圧迫されるためだと考えられます。また逆に、高血圧が原因で肩がこることもあります。いずれにしても、緊張してかたくなっている筋肉を緩めることで、血管はその圧迫から解放され、血圧の降下が期待できるのです。【解説】青木大佑(あおき接骨院院長・柔道整復師)

解説者のプロフィール

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青木大佑(あおき・だいすけ)

あおき接骨院院長・柔道整復師。1984年埼玉県生まれ。帝京大学附属の接骨院にて研修を経て、2006年に柔道整復師免許を取得。その後、東京都内で分院長などを経験したのち、2012年北区西巣鴨にてあおき接骨院を開業。痛みを取るだけでなく、同じ痛みが再発しないよう、体を根本から治す施術を行っている。もともとは患者さん向けに開設した、Youtubeチャンネル『セルフ整体チャンネル[あおき接骨院]』も好評。
▼あおき接骨院(公式サイト)
▼セルフ整体チャンネル[あおき接骨院](YouTube)

緊張した筋肉をほぐすと血圧の降下につながる

私の治療院を訪れる患者さんの年齢はさまざまですが、共通しているのが肩こりの症状です。なかには、肩や首の筋肉がガチガチにかたくなっているにもかかわらず、肩こりの自覚症状がないという人もいます。

肩や首がひどくこっている人ほど、高血圧の傾向があります。血圧の高さを自覚していない人も、当院で血圧を測定したらその高さに驚いた、ということも少なくありません。

これは、筋肉がこってかたくなることで、血管が圧迫されるためだと考えられます。血管が圧迫されて狭くなると、血液の流れが悪くなり、血圧が上がってしまうのです。

また逆に、高血圧が原因で肩がこることもあります。これは、自律神経(私たちの意志とは無関係に働き、内臓や血管をコントロールする神経)の交感神経が優位になり、筋肉が緊張するためと考えられます。

いずれにしても、緊張してかたくなっている筋肉を緩めることで、血管はその圧迫から解放されます。そうすると、血管が広がって血流がよくなるので、血圧の降下が期待できるのです。

実際、高血圧で肩がこっている患者さんに、肩や首の筋肉をほぐす施術を行うと、血圧が下がることは決して珍しくありません。

覚えやすくて簡単なので長続きする

そこで当院では、血圧の高い患者さんに、ご自宅でできるセルフケアとして、首から肩、背中の筋肉を緩める「後ろ手伸ばし」をお勧めしています。誰でもすぐにできる、非常に簡単な体操です。

もともと当院では、治療の効果を持続させるためのセルフケアとして、施術後にストレッチを指導していました。しかし、家に帰るとやり方を忘れてしまったり、めんどうで継続できなかったりする患者さんが多くいました。

そのような人たちからの、「覚えやすくて、簡単な体操」という要望に応えて考案したのが、後ろ手伸ばしです。特に、運動嫌いな人、軽い運動を始めたいけど何をすればよいかわからないという人にお勧めです。

やり方は下記をご参照ください。このストレッチを行うことで、筋肉が緩み、血流がよくなってきます。

ネコ背の解消にもつながります。姿勢が悪いとどうしても筋肉がかたくなりやすく、肩がこってしまいます。それが高血圧につながることもあるので、姿勢が気になる人もぜひ実践してください。

この後ろ手伸ばしには即効性があります。ふだんから血圧が高い人は、体操の前後の血圧を測ってみると、効果がわかりやすいでしょう。

体を動かした直後は血圧が上がっていることもあるので、測る際は体操をして5分後ぐらいに測ってください。効果が実感できると、それがモチベーションとなって、続けようという気持ちにつながるものです。

後ろ手伸ばしのやり方

※1日に3セット行う。いつ行ってもOK。
肩や首などに痛みが出る場合は中止する。

両手を後ろに回し、左手の手首を右手でつかむ。
右に頭を倒して10秒キープ。つかむ手を入れ替えて、逆側も同様に行う。
①の状態に戻り、頭を時計回りに5回回す。次に、反時計回りに5回回す。つかむ手を入れ替えて、同様に行う。

画像: 後ろ手伸ばしのやり方

後ろ手伸ばしは負荷の軽い体操なので、何回行ってもかまいません。持続的な効果を得るためには、1日に最低3回は行いましょう。ただし、肩や首、手首の関節に痛みがある場合は、無理をせず、痛みが改善してから行ってください。

ふだん運動を全く行ってない人や、最近運動する機会が減って体がかたくなっているという人は、後ろ手伸ばしのような簡単な体操でもたいへんに感じるかもしれません。そのような人は、やりやすい動きだけでもかまいません。

少しでもいいので続けることができれば、それなりの効果は得られます。慣れてきたら少しずつ運動量を増やして習慣化すれば、血圧の安定につながることでしょう。

画像: この記事は『壮快』2021年12月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『壮快』2021年12月号に掲載されています。

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